★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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自転車に乗って(12)

2009年12月28日 | 短編小説「自転車に乗って」
 そういえば、いつの間にか、僕の自転車は住宅街を抜け土手の上の道路を走っていた。
 川の方を見れば、広い河川敷があり緑の草原が広がっている。その草原の中には、菜の花が群生して生えており、緑と黄色の織り成す河川敷は実に清々しい景色だ。
 その向こうには、テニスコートやグランドが・・・あれ?ちょっとした空き地にはなっているがテニスコートもサッカーグランドもない。場所が違ったのだろうか。確かに川べりの道路というものは、どこも似たような感じで勘違いしてもおかしくはない。
 それに、見知らぬ住宅街に入ってから、周りの景色は僕の記憶のデータとは全く一致していない。近所ではあるはずだが見知らぬ風景が続いている。不思議なものだ。
 タタン・タタン・タタン・・と遠くから音が聞こえてくる。かなたの鉄橋を電車が通る音だ。その音の方向を見てみると、銀色の鉄橋を白地に赤のラインが入った電車が走っていく。

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