鴨着く島

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懸念された夏季マラソン

2019-10-19 22:17:10 | 日本の時事風景
国際オリンピック委員会のバッハ会長が来年の東京オリンピックのマラソン競技を「東京ではなく札幌で行うことを決定した」と、表明した。

JOCの森会長が開催地である東京都の小池百合子知事にそう伝えたところ、全くの「寝耳に水」だったようで、「涼しい所なら北方領土でやったらどうか」と応酬したのが話題になっている。

この人らしい言い方だが、小池都知事によれば暑さ対策として道路にこもる熱を吸収して逃がすような改良工事等で300億円以上掛けているそうである。

それがまったく無駄になるかといえばそうではないだろう。都民も道路が涼しいほうが良いだろうし、観光で訪れる外国人などにとっても快適なはずだ。

国際オリンピック委員会側は先日行われた中東のドーハでのマラソン競技の結果を見てすぐに決めたようだ。暑さを避けて真夜中に行われたにもかかわらず、半分近くの選手が途中棄権をしたからだ。

2020東京オリンピックの開催期間7月24日から8月9日というのは、梅雨明け後で湿度は低くなっているとはいえ冬の時期のように30パーセントを下回るというようなことは絶対なく、たぶん5~60パーセントは下るまい。また気温のほうも最も暑い時期で熱帯夜が当たり前だから、夜明けと同時に30度近くになるだろう。

9月15日に東京オリンピックと全く同じコースで走った「グランドマラソンチャンピオンシップ」(GM
C)をテレビで見ていたが、秋が間近なはずなのに走っているときの気温は30度を超えており、各選手の苦しそうな走りは気の毒であった。

日本記録を持っている大迫選手でさえ記録は6分も遅い2時間11分台で3位。オリンピック出場を内定した優勝・準優勝の両選手も2時間11分台だったのは、ひとえに暑さのせいだろう。

この結果を見て、来年の8月2日に行われるという男子マラソンだが、「さらに暑い日に行われるとなったら競技への出場そのものを棄権する外国選手が出てくるのではないか」と危惧したのは自分だけではあるまい。

バッハ会長の言うように札幌なら8月の初めの時期は東京より5~6℃は低いはずで、そっちのほうが選手のためにはいいに決まっている。

マラソンは地球上至る所で行われている極めて国際的に普及した競技で、何もオリンピックの成果だけがマラソンではない。

東京の真夏の暑熱の中で走って体調でも崩されたら選手生命を棒に振りかねない。小池都知事もここは「選手ファースト」と意識を切り替えるべきだろう。

真夏にオリンピック開催をするようになったのは1984年のロサンゼルス大会辺りからのようで、秋に活発な大リーグやアメリカンフットボール、バスケットボールの放映を大きな資金源としているテレビ局の都合からと言われている。

1964年10月10日の秋の爽やかな快晴下での東京オリンピック開会式が目に浮かぶ。昭和天皇のあの「オリンピアードの開会を宣言します」の高揚感溢れるお言葉も懐かしい。≺strong>

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