140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

名古屋フィル#91最後の傑作

2019-06-02 20:25:50 | 音楽
第468回定期演奏会<最後の傑作>
バルトーク:ハンガリーの風景 Sz.97
バルトーク:ヴィオラ協奏曲 Sz.120[シェルイ補筆版]
シベリウス:交響曲第6番ニ短調 作品104
シベリウス:交響曲第7番ハ長調 作品105

シベリウスの交響曲第7番は1924年、最後の完成作である交響詩タピオラは1926年に完成されたそうだ。
その後、さらに30年生きたが、大規模な作品が完成することはなかった。
1865年生まれだから1926年時点で60歳を超えている。
60歳から90歳までの30年間を隠居していたからと言って非難されるのは割に合わない話だ。
本当に彼が20世紀を代表する作曲家であるなら、死の間際まで作曲していてもおかしくはないはずだと
凡人の腹いせと知りながら、私たちはその手の要求を突き付け、同じ地べたに引きずり降ろそうとする。
交響曲第8番の自筆譜は1945年に本人によって焼却されたという話がある。
1945年であれば第7番から20年間、創作に取り組んでいたなら、非常な苦しみを伴っていたかもしれない。
同時期を生きたグスタフ・マーラーは彼より40年短い生涯をとっくに終えてしまった。
バルトークやショスタコーヴィチを才能のある若い世代と認めていたという。
ロシアからの独立という時期に音楽により国民を鼓舞したことにより名声を得た。
そして最後の作品を完成させてから、音楽上の新しい試みが結実することはなく30年の年月は過ぎた。
私たちの人生もそのようなものかもしれない。
何かやろうと思い立っても、何もできないまま時間だけが通り過ぎて行く。
何も出来なかったという罪悪感から逃れることは出来ない。