140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

獣の戯れ

2016-09-24 00:05:23 | 三島由紀夫
「『獣の戯れ』は、三島由紀夫の長編小説。3人の男女の間に生まれた奇妙な愛とその共同生活と終局への決断が、
西伊豆の村の豊かな自然や花を背景に高雅なタッチで描かれた物語。
扇情的なタイトルとは裏腹に、静寂的な作品となっている」と
ウィキペディアに書いてあった。

獣(けもの)というのは獣(けだもの)という意味ではなくて、
確かにタイトルだけ見ればそういう受け取り方をしてしまうかもしれないが、
意味に取りつかれて意味から離れられない人間と対照的な存在としての獣だと思う。
動物と我々を隔て万物の霊長と言わしめる根源となっている知性と呼ばれるものは、
あらゆる事物について事象について意味とか価値を付与する。
そういう活動が人間の不幸を招いているというか、
不幸そのものも人間としての活動を推進して行くための道具にすぎないのかもしれないし、
そうやって改めて自分たち人間の活動を見通してみると益々悲しくなってしまう。
失語症の人物が登場するのはその意味とか価値といったものを超えようとする意図があるのだと思う。
そうして意味なき意味を作家は書こうと企てているようだ。
その物語の結果を法律や社会規範に照らし合わせて
愚かであるとか素晴らしいとか言えるだろうか?