鳩ぽっぽダイアリー

鎌倉→北千住→千葉県在住。
いけばな(小原流:休止中、花朋の會:2018年4月~)。日々のできごとなど・・・

2012年新年初会

2012-01-21 09:58:35 | いけばな


先週、新年初会がありました。
去年は鎌倉支部35周年で記念の花展を建長寺で行う予定でしたが
3月の震災で中止となり、代わりに今回式典が行われました。

小原流理事長や工藤先生もいらしてくださり、
お言葉をいただきました。

お家元にもお会いしたかったですが、
3月の花展の準備等でお忙しく
今回は直接ではありませんでしたが、
理事長が替わってお家元のお言葉を伝えてくださいました。


写真のお花は、支部で生けたものです。


最近本屋で興味深い本、2冊に出会いました。

1つは『男の一日一作法』(小笠原敬承斎 光文社新書)2011年11月。

今年の私の目標は、自分を律するというもので、
そう書くと大げさですが、なんのことはない日常の自分の行いを見直したいなと。
例えばすぐいらいらしないとか、毎日時間が足りないのでもっと効率良く
省けることは省いてすばやく行動できないかとか、漠然とイメージしていたのですが、
そんな私にまさにお手本のような本です。

著者は小笠原流礼法の家元で、小笠原流に伝わる礼儀作法の心を
分かりやすく、現在に応用しやすい内容で紹介しています。
色々内容がすばらしいのですが、例えばお辞儀の仕方について目から鱗の内容が!

頭を下げる時、1・2・3と下げます。
頭を上げる時も、1・2・3と少し間を置きながら上げる←ココ!!

案外、頭を上げる時ってすぐにサッと起き上がってしまいませんか?
相手を敬う気持ちを表すお辞儀であれば、丁寧に、十分気持ちを込めた
お辞儀がいいですよね。
それを表すのに戻るときにためを作る。
なるほど~!です。

そういえば・・・なのですが、
この前銀閣寺に行った時、お花の先生が私達生徒の前に来て
今年もよろしくとお座敷なので正坐でご挨拶されたのですが、
お互いに畳に手をついてお辞儀し、私が頭を上げると
先生はまだ頭が下がったままで、あわてて私も下げ直したのでした。
あれか!!!
これほど頭に理解がたたきこまれる瞬間ってないですね。
本当のお辞儀を目の当たりにできたし、
次からは私も実践するぞ!
先生はほんとにお花以外の事でもお手本にしたいような
素敵な方です。


もう1冊は、『麗しい生き方』(池坊専永 PHP研究所)2010年11月。

文章も内容も大変良いのですが、いけばなの写真がすごく良いです。
写真集じゃないのでいっぱいあるわけではないのですが、
何かひきつけられるようないけばなばかり。

写真集があったら見てみよっと。


どちらにも共通しているのですが、
和の美って、目に目ないところにある精神というか心というか、
それが表にあふれてきて形になったものじゃないかなぁ。

それを少しでも自分の中にとりこめるよう頑張る1年にしようと思いました。


さて、もう1つ最近あった印象深い関連する出来事。

私が愛読している花宇の西畠清順さんのブログに書かれていた記事で、
武者小路千家の千宗屋さんが年末に床の間に花を立てたいとおっしゃっていたので
お土産に椿を3種類お持ちした時のこと。

1つは正月らしい紅白の名花「岩根絞り」。
1つはお茶では親しまれている「白玉」。
もう1つはベトナム椿「ハイドゥン」。

この中から千さんがどれを使うか西畠さんは楽しみにしていました。

で、どれを選ばれたでしょうか?

答えは「ハイドゥン」。

これについて西畠さんは、
温室でこの花が咲いているのを見て千さんに持っていったら喜ぶだろうなぁと思っていたこと、
知識人っぽい茶人は教科書的に茶花らしい古典の花を選びがちだが千さんなら常識や形式にしばられない
花の美しさやおもしろさを必ず見出すだろうと思っていることなどを書かれています。

私はこのやりとりを見て、ちょっと感激してしまいました。
千宗屋さんは、もしかして、
西畠さんがそのように感じているのを感じとって、ハイドゥンを生けたのではないか?
もちろん、ハイドゥンはおもしろい花ですが、きっと他の2つもきれいな花だったろうと思います。
でも、ハイドゥンはどこにでもあるものではないし、この時期にこの日本で花を咲かすには
温室が必要。
また、この時にちょうど花を付けているタイミングとなるとなかなか狙えたものではないのではないでしょうか。
茶人はもてなしの心として先を読むと言います。
また相手に心を沿わせる。
西畠さんが千さんの事を思って花を選んだように、千さんも西畠さんの気持ちを思って花を選んだ。

ほんとはどうかは本人にしか分からないけど、
私はそう感じとって、1人で笑顔になっていました。