俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月26日(月)

2024-08-26 22:31:18 | 日記
晴れたり、曇ったり

●夏が終わろうとするのに、暦の上ではもう秋だが、朝顔に蕾が付いているのに気づいた。数えると5個あった。ハイポネックスをやって4日ぐらいなのだが、これが効いたのだろうか。そうは思えない。夏が暑すぎたのだろう。暑さが少し落ち着いて、今がちょうど昔のような夏なのかもしれない。それにしても、蔓を抜いてしまわないでよかった。

●歯科検診。午後からの歯科検診が気になって、済むまで仕事が手につかなかった。治療の必要が無くて今日で済んだ。

●『郷愁』を読んでいる。ヘッセの出世作となった27歳の時の小説だが、若い時は気づかなったが、文章が上等なのだ。ヘッセが後にもらったノーベル賞の授賞理由に「人間の古典的博愛精神と、上質な文章の例示」があげられている。高橋健二の翻訳のすばらしさもあるが、真似のできようのない文章の上手さだ。「上手」というのではなく、やはり「上質」と言わなければいけないのだろう。

『郷愁』の原題は主人公の名前の『ペーター・カーメンチント』。それを『郷愁』と訳して問題はないくらい内容に合っている。老年の今この書を読むと、青春の事柄が、疵がヒリッとするように思い出される。

60年が早もすぎている田舎の高校の級友のこと。級友は男子生徒だが、隣町から通ってきている、初めて出会った子だった。医者の家の子で、軽い小児麻痺を患って、教室を移動するのに、両サイドの机に両手を着き、両腕を支えに足をうかしてスイと移動していた。ふざけてもいたが、小柄で痩せていて、母親の顔立ちを彷彿させる、色の白い美しい顔をしていた。いつも体に少し余った制服をきれいに着ていた。一言も話したことはないが、気づくと目が合い、目が合うと彼はいつも目を逸らした。その横顔は青白くそばかすが浮いて、静かすぎた。一言声をかけ、何かを聞いてあげればよかったと、今思う。今ならそうするだろうが、全く未熟な固い果実そのままの女生徒だった。学年の人数も少ないから、彼の名前はK・Kと覚えている。

コメント
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