俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

2月9日(木)

2012-02-09 15:36:48 | Weblog
★春浅し立ちたる草の鳴りづめに   正子
早春の野原や山には未だ冬枯れした萱の様なやや長めの草が立ったままに残っています。
カサカサと軽い音をたて東風に靡き続けている景を想い浮べます。その音は新芽を促がす音の様にも思われます。枯れ草の根元から青々とした新芽が出て一面青い野原になるのも間近いことでしょう。場所によっては野焼きが行われるのもこの頃でしょうか。(佃 康水)

○芹
★薄曇る水動かずよ芹の中/芥川龍之介

俳句の季語では、春の芹と新年七草の芹とは、別である。芹は、水田や、小川のほとりや湿地などいたるところに生えている。また食用のためにも栽培される。葉茎ともに特殊の香気がある。
先日、朝食のみそ汁に芹を入れた。豆腐と芹の単純なみそ汁だが、まだよく目が覚めない家族のひとりが「この三つ葉はおいしいね。」と。よく目が覚めている家族のひとりが「この芹はうまいなあ。」という。三つ葉と言った家族には、芹と訂正し、芹は今が一番おいしい時と説明した。
子どものころは、まだ川の水がきれいで、水は手を切るように冷たかったが、子供たちも遊びながら芹を摘んだ。芹が食用に栽培される時代ではなかったので、本格的に芹を食べるときは、大人の出番で、大人が摘んできた。うどんにもすき焼きにも芹が入っていた。早春のかぐわしい食べ物で子どもにもその香気がうれしかった。

○今日の俳句
包み紙少し濡れいて蕗の薹/佃 康水
蕗の薹を包んでいる紙がうっすらと濡れている。朝早く採られた蕗の薹だろうか。蕗の薹の息吹であろうか。しっとりとした命の、春みずみずしさがある。(高橋正子)

◇生活する花たち「クリスマスローズ・椿・へくそかずら」(横浜日吉本町)

コメント (1)
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