俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

2月11日(土)

2012-02-11 06:15:48 | Weblog
★下萌えは大樹の太る根もとより   正子
大きな素晴らしい樹のもとから、早春、地中から草の芽が萌えて出て、春が来た事を知らせてくれますね。素敵な句ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
利根川に道真っすぐや蓬摘む/小口泰與
利根川は関東平野を延々と流れる大河であるのは言うまでもないが、利根川に沿う道がまっすぐであること、それほどの川であることに意外性がある。真っ直ぐな土手道に蓬を摘む楽しさは、どんなであろうか。(高橋正子)

○辛夷
風摶つや辛夷もろとも雑木山/石田波郷

高さ6-9メートルに達する落葉喬木。新葉の出ぬ前白色の花を、梢頭樹間に開く。雨に濡れたり、土埃をかむったりすると、退色して、紙屑のようにきたなくなる。古名をヤマアララギ、コブシハジカミという。

辛夷は、私にとっては、堀辰夫の小説のイメージが強い。横浜に転居するまでは、辛夷は、希に、もしくはほとんどと言っていいほど見たことがなかった。どんな花だろう、この目で見てみたいと思っていたものだ。似ている花の白木蓮は、庭木などで、家々によく咲いていた。新しい住宅が建つなどすれば植木にも流行があるのか、どの家にも同じ木が植えられる。白木蓮もその一つではなかったかと思う。横浜に転居してからは、近所に始まり、至るところに辛夷を見かける。旅をすれば、雑木山に辛夷が咲いているのが目撃できる。辛夷の花が咲くころは風がたしかによく吹く。風に雑木山ごとなぶられるようなこともある。白木蓮のように明らかな形で咲かないで、くしゃくしゃと咲く。この決まりなさがいい。スケッチするなら、白木蓮より辛夷がいい。風に打たれやすく、雨に傷みやすくて、儚く美しい文人好みの花であろう。シデコブシというのがあって、いい花だと思う。

◇生活する花たち「黄水仙・椿・桃花芽」(横浜日吉本町・金蔵寺)
コメント (1)
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