「今日は昼前から、風が出るかも知れませんね」
「11時くらいから、出る予報でしたね」
「それまでの朝間詰め勝負ですね」
赤木さん親子に下道さんと、今日の天気について出港前に話をする。
港を出た頃は、風は吹いていなかった。
「今がチャンス」
最近、ベイト反応が出ているポイントに向かう
潮は、緩い上り潮が流れている。
魚探にベイト反応が出ている事を確認して、竿だしを進める。
二流し目に、赤木(息子)さんに、大きなアタリが来た。
「来ました」と、声がして振り返ると、竿先が海面に突き刺さっている。
「ゆっくりやってよ」
ラインが引き出されて、獲物が走っている。
急ぎ、カメラを構えるが…。
「切られました…」
走りに耐えられずに、10号リーダーが切られた。
三流し目には、下道さんに強いアタリが来た。
針掛かりしていた、鰺子をそのまま餌にしていた。
ラインが、思い切り引き出されている。
2度目の強烈な突っ込みが来た。
これも、ラインが耐えきれずに、切られた。
時間は、午前9時過ぎ。
「まだ、大丈夫ですよ。まだ、当たると思います」
そう思って、船を戻すが…。
西寄りの風が、強く吹き始めた。


どんどん強くなる西風を避けて、岸寄りに移動する。
近くに居た漁船も、潟寄りに移動し始めた。
「昼前までは、大丈夫」
天気予報では、そうなっていたが、風が予想よりも早く吹き始めた。
赤木(父)さんと相談して、風波が高くなる前に引き上げる事にした。
「朝間詰めの、二発が悔やまれる」
「次は、何とかして獲りましょう」
ちょっぴりの悔しさを残して、帰港した。