珈琲一杯分の話

2018年2月26日スタートのただのボヤキカフェです。
毒とユーモアを楽しんで頂ければ幸いでございます。

料理の話

2018-09-20 | 日記
世の奥さんは皆、料理をする。
これは錯覚である。
世の奥さんは皆、料理が大好き。
これになると、もはや幻想と思う。

実は「しない奥さん」「ほぼほぼしない奥さん」「相当手抜きの奥さん」というのは結構いる。
表立って言わないだけである。
夫の浮気の修羅場の如く、それは秘め事にされているだけで。
 

ブログなどで、手料理を見せびらかす主婦がアクセスを稼ぐのは、同じくらい「しない派」「とてもできない派」の人が羨望をもって見ているからと思う。

子どもが幼稚園くらいまで、近所に住んでいたママ友もそうだった。
どう見ても、おしとやかで家庭的に見えた彼女が、ある日私に
「私、おでんってコンビニで買ってくるものと思っていたけど、どう作るの?」
と聞いてきた時、ああこの人もかと思った。
「あんなの、適当な具剤をなべにぶっこんで、これとこれを入れれば勝手にできるわよ」

私は、彼女の「見栄をはる」という余計なプライドをもっていない、少女のような素直さが大好きだった。
「お昼食べていってよ」と言われて一緒にカップラーメンをすすったり、一度だけ茹でたパスタにレトルトのソースをかけたものをご馳走になった時は、まだ麺に芯が残っていたのも楽しい思い出である。

ある時ママ友が、主人のお母さんが泊まりに来るとパニックになっていたので、二人で作戦を練った。
お姑さんは、以前
「ヨシコさん(匿名)、おにぎりは作るもので買ってくるものではないのよ」
とやさしく諭した、ごくごく常識的な人である。

「朝はバターロールにハムと目玉焼きでなんとかなるとして、問題は夜。
サバ缶かシャケ缶あるでしょ。あれに大根おろしをかけて、ネギを散らすの。それだけで案外年寄りは喜ぶ。
いい?何かあったらネギかゴマをかける。これが意外に料理してますみたいなポイントねん。
それからサラスパ。
たっぷりのレタスときゅうりとトマトと、あればツナ缶かカニカマでもいれて大皿(これがポイント)に持ったらなぜかご馳走風に見えるから」

彼女はその通り実践して、「まあこんな食べ方があるのね。美味しいわ」と感嘆されたと言っていた。(実話)

でもこの奥さん、有名付属名門校で教師を勤める旦那様に、毎日お弁当を持たせているそうである。
「何詰めてるの?」と訊いたら、宅配業者の冷凍フライをチンしてると言っていた。

ご主人は車が好きで、いつも自慢のピカピカの高級車に乗っておられた。
休日にそんな車で家族でお出かけする様子を傍から見て「いいなあ」「幸せそう」に見えても、他人のことなど、実際はわからないものである。







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