紫外線撮影の画像サンプルです。左が可視光撮影、右が紫外線撮影です。
下:上の画像をモノクローム化してみました。
以下、紫外線撮影時の撮影データです。
カメラ:カシオEX-H30(Dマウント化改造、全光線透過改造) レンズ:日本光学 Cine-NIKKOR 13mm F1.8(8ミリカメラ用レンズ)
フィルター:HOYA U-340 、Kenko DR655
ISO:80 絞り:F2.8 SS:2秒~6秒 三脚使用
トリミング & リサイズ 画像補正
ちょっとしたことがきっかけで紫外線撮影に興味を持ち、チャレンジしてみました。
紫外線撮影について:
太陽光は波長の短い方から紫外線、可視光線、赤外線の領域に分けられます。ジジイがチャレンジしたのは、可視光線&赤外線を排除し、紫外線の中でも、可視光線に近い300~400nmに透過のピークを持つフィルターを使い、近紫外線のみで撮影するというものです。
カメラについて:
一般にデジカメには紫外線や赤外線領域の波長にも感応する撮像素子(CCDやCMOS)が使われています。しかし、撮像素子の前には可視領域の画質を改善するためのフィルターが取り付けられていて、それらの働きで、紫外線や特に赤外線が撮像素子まで届かない構造になっています。紫外線撮影や赤外線撮影を行うには、これらのフィルター類を取り去ったカメラ(全光線透過カメラと呼ぶことにします)を使って、目的に応じ、必要なフィルターをかけなおすという手法が一般的です。
ジジイの場合、だいぶ前にDマウント(8ミリカメラのレンズマウント)に改造したコンデジ(カシオEX-H30)がありましたので、これを全光線透過カメラに再改造しました。再改造といっても、今回は最初の改造のときに撮像素子の前に接着剤で軽く張り付けておいたIRカットフィルター(赤外線カットフィルター)をはがしただけです。
レンズについて:
紫外線透過率の高いガラス材を使った専用設計のレンズは種類が限られますし、非常に高価です。そこで、紫外線を比較的よく通すとされる引き伸ばし用レンズをヘリコイドユニットに取り付けたレンズが使われたりします。そのうちジジイも作ってみようと考えています。
今回はベースカメラの関係でDマウントレンズを使ってみました。日本光学(ニコン)製のCine-nikkor 13mm F1.8は8ミリカメラ用のレンズですが古いわりには良く写るレンズです。このレンズが紫外線をよく通すかどうかわかりません。しかし、紫外線撮影用のフィルターを付けたままでも、屋外なら曇天でも、絞りF2.8でライブビューが可能でした。これはかなり有用です。紫外線撮影に使用するフィルターは紫外線透過・可視光吸収(遮断)フィルターですので、ミラー式一眼で光学式のファインダーをのぞいても、真っ暗で何も見えません。そこで、一度フィルターを外してピントを合わせ、再びフィルターをつけて撮影という方法が採用されますが、フィルターの有無でピントの位置がが変わるフォーカスシフトの問題が残ります。フォーカスシフトは絞りの値がちがってもおこります。紫外線撮影では、絞りをプリセットした状態でライブビューでピントを合わせることのできる機材が適していると思います。
フィルターについて:
近紫外線だけを通し・可視光線・赤外線を遮断する特殊なフィルターとして、HOYA U-340紫外透過・可視吸収フィルターを使用しました。ただ、このフィルター、ごくわずかですが、700nm付近の赤外線も通してしまいます。自然光の下での撮影では、赤外線の影響が出てしまったようで、赤色の強い画像となってしまいました。そこで、KenkoのDR655という近赤外線をカットするフィルターを重ねてみました。IRカットフィルターを外す改造を行っていながら、似たような性質のフィルターを重ねるというのもおかしな話ですが、実は、一般的なIRカットフィルターは、紫外線もカットしてしまいます。その点、DR655は近紫外線紫をあるていど透過することから、このような構成となりました。
U-340は50×50mmの角フィルターです。カメラのレンズに取り付けるための専用ホルダーもあるのですが、コストを下げるため、手持ちの材料でホルダーを自作しました。
上:撮影機材
上:近赤外線カットフィルターDR655のみ使用。可視光撮影の画像です。
上:U-340 & DR655使用。紫外線撮影の画像です。可視光撮影で撮った花と同じ花ですが、花びらの紫外線を反射する部位と吸収する部位が明確に分かれ、別な花に見えます。
上:フィルター無し。全光線透過の画像です。
以下、可視光撮影と紫外線撮影の比較画像です。ソフトによる画像補正を加えています。上段が可視光撮影、下段が紫外線撮影です。紫外線撮影のデータは、ISO80 絞りF2.8 シャッター速度2秒~8秒 です。