あまり紹介したくなかったが、やはりこの名盤はもっと世間から高い評価を得て良いのでは?との想いから書いてみた。
歴戦のツワモノが集まったこのブルース・バンドを知っている人は、はたしてどれ位いるのだろう?
過小評価されている!?としたら、世の中はやはり不条理だ。
iTunesからも購入出来るが、「森重樹一の書く詩はぜひとも視覚でも感じたい。」と
常々、そう思っているので今回も(「安さ」は魅力的だけれども、その魅力以上のモノがこのアルバムにはあると思ったので)現物を手に取ることにした。
その昔、The Rolling Stonesが落とした一音は波紋を生み出し、巨大な波へとなって世界中を駆け巡った。
波はいつしかブリテッシュ・ロックと呼ばれ、当時の少年達を飲み込んで行った。
その音楽性は当時のアメリカでは忘れられていた南部のブルースがベースとなり、ブリティッシュ・トラッド、フォーク・サウンドが混じっている。
同じイギリスでも1960年代のザ・ビートルズとはまた違った方法論である。
Rockという音楽は「表裏」のある大衆音楽である。
受け継がれた「種」の進化を求めて「変化」し続けることもあれば、先人が築き上げた伝統を「保守」し続けることもある。
イギリスでは、Led Zeppelin、Deep Purple、Whitesnakeなど多くの有名なBandを輩出し、90年代に入ると更なる進化をTHUNDERが求めた。
アメリカでは、Aerosmith、Guns N' Roses、Velvet Revolver、BuckcherryなどがStonesのサウンドを進化させたBandだと思える。
そして極東にStonesのサウンドを受け継いたBand「THE PRODIGAL SONS 」がいる。
松尾宗仁と五十嵐"Jimmy"正彦が、キース・リチャーズの代名詞とも言える「5弦・オープンGチューニング」を受け継ぎ、そのブルース・サウンドを代える事なく変えてゆく。
「保守」という名の剣で、変化し過ぎた現在の音楽シーンに切り込んで行くかの様に聞こえる古典回帰的なサウンドは、何処か懐かしいというよりも斬新に聴こえる。
クランチトーンが絡み合うツインギターを十二分に楽しむためにもヘッドホンで聞く事をお勧め。
1957年製フェンダー テレキャスターのサウンドを堪能して頂きたい。
THE PRODIGAL SONSのメンバーは言わずと知れた「実力者」揃い。
数々の修羅場をくぐり抜けた強者達だからこそ「出せる音」が響いている。
リズム隊が繰り出すグルーヴは「いぶし銀」のウネりが感じられる。
ブルース・サウンドに日本語を乗せて大失敗したミュージシャンは星の数ほどに居るが、このアルバムの曲達は見事に日本語が解け合っていると思う。
「日本語でもココまで出来るんだ!」と可能性を見せてくれたと思う。
・・・と言うかココまでの音を表現できるBandを探すのは容易いことでは無いと思う。
この一枚のアルバムこそが堂々と世界へ「輸出」できるMade in JapanのRockではなかろうか。
音楽「輸入」大国の日本に、世界と対等に肩を並べることが出来る実力者達が居ることに喜びを持とう!
吐いて捨てるほど沢山の商業主義音楽が流れているが、「本物」はここにある。
このアルバムを聴いていると、南アメリカの宏大な風景が目蓋に浮かぶ。
ブルースの故郷だ。
ウィスキーが似合うこの名盤を聴きながら、今宵も南アメリカに思いを馳せたい。
(追記)
「使用機材/THE PRODIGAL SONSのBlogより抜粋」
M-1「青い鳥~期待の無い朝希望は降る~」
松尾宗仁(Guitar)
「ある一つの名言がある!サビの歌でワクワクし、盛り上がるのはポップス。イントロでワクワクし、鳥肌が立つのがロックンロール。」
ギター/1957年製フェンダー テレキャスター
アンプ/オレンジ
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
ギター/ギブソン SG スタンダード
アンプ/フェンダー トーン マスター
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/ジャズベース
アンプ/アンペグB-50R
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
M-2「くたばっちまうには... 」
松尾宗仁(Guitar)
ブリティッシュビートのナンバー
この曲のキーは「B」
ギター/1968年製フェンダー テレキャスター/ゼマイティス シェルトップ
アンプ/オレンジ/フェンダー ツインリバァーブ
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Gibson SG std♯06
Amp/Fender Tone Master
FX/Durham SEX DRIVE
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/Seen(シーン/松下工房オリジナル)
アンプ/アンペグB-50R
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
M-3「サンシャイン浴びながら」
松尾宗仁(Guitar)
ギター/1968年製フェンダー テレキャスター/1971年製ギブソンES-335
アンプ/フェンダー ツインリバァーブ/オレンジ
エフェクト/MXRフェイズ90/BOSSアナログ ディレイ
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Fender Telecaster 1971年
Amp/Fender Tone Master
FX/Exotic EP Booster、Boss DM-2
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/ムーン・ジェームスモデル
アンプ/アンペグB-50R
「この曲は60年代のスタックスサウンドをイメージしました。ノリはハネているんだけど、フレーズはあまりハネていない…、この手の曲はあからさまにハネるとしょっぱくなるからね。R&RバンドがR&Bナンバーをカッコ良くプレイする時の秘訣だね」
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
ソナーのメイプル
「宗仁君からのリクエストに応えて「やんちゃ」な感じでプレーしました。この手のタイプの曲は油断してプレーしてしまうとただの安っぽいJ-POPになってしまうからね。」
M-4「空の見えない部屋」
松尾宗仁(Guitar)
ギター/1968年製フェンダー テレキャスター/グレコ GZ-A 12弦アコースティック
アンプ/オレンジ
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Gibson HC Les Paul 56rei&Zemaitis Wood Top(Solo)
Amp/Fender Tone Master
FX/BOSS Dm-2
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/Seen
アンプ/アンペグB-50R
「気分はダニー・ハザウェイの「ゲットー」みたいな?ラテンのノリが入ったソウル」とのこと。
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
ソナーのベルブロンズのピッコロ
「俺はドラマーがパーカッションを入れて逃げる(笑)のが兎に角好きじゃないから!出来る限りパーカッションのパートまでドラムで表現するようにしてて、その意気込み(笑)を出しました。」
M-5「朝の光の中で」
松尾宗仁(Guitar)
「1970年代の素朴感のある郷愁が感じられる曲にした」とのこと。
ギター/ゼマイティス Z-JHW #1 アコースティック/グレコ GZA 12弦アコースティック
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Gibson HC Les Paul std 56rei
Amp/Fender Tone Master
FX/BOSS 70's CE-1
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/フェンダージャパン・ジャズべース
アンプ/アンペグB-50R
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
プレミアの60年の4インチのスネア
「スネア、タム、フロア、バスドラの打面にタオルを貼ってビートルズのドラムサウンドを再現してみた」とのこと。
M-6「新しい風が」
松尾宗仁(Guitar)
ギター/1968年製フェンダー テレキャスター/2005年製グレッチ ホワイトファルコン
アンプ/フェンダー ツインリバァーブ
エフェクト/MXR フェイズ90/BOSS アナログ ディレイ
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Zemaitis Wood Top
Amp/Fender 70's Twin Reverb
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/Seen
アンプ/アンペグB-50R
「僕のベースは余計な事をせずひたすらグルーブ、ニュアンスをキープ、その上を皆が楽しく遊んでいる感じ?」
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
「ロックバンドスタイルのレゲエ。ライブの時はスネアでやっているんだけど、レコーディングはスネアを使わずにティンパレスでやってみた」とのこと。
M-7「DON’T THINK’BOUT IT,JUST FEEL IT」
松尾宗仁(Guitar)
「この曲で特に気を付けたのが、お互いのリフやフレーズの隙間とクールな音色」とのこと。
ギター/1968年製フェンダー テレキャスター/1971年製ギブソン ES-335
アンプ/オレンジ
エフェクト/MXR-フェイズ90
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Gibson Les Paul std 56rei
Amp/Fender Tone master
FX/Durham Sex Drive(Solo)
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/Seen
アンプ/アンペグB-50R
「プロディ流ファンクナンバー。(中略)。R&Rと同じでファンクとは生き方とか気持ちの事。アメリカのJガイルズバンド、イギリスのイアン・デュリー&ブロック・ヘッズ、そして日本のプロディガル・サンズ」
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
ソナーのベルブロンズのピッコロ
「イントロはBo Diddley風のジャングルビート、Aメロは16ビートのファンク、Bメロは8ビートの押し出す感じ、サビにジャングルビートに戻る感じでリズムの切り替わりが大変だった」とのこと。
M-8「独白(モノローグ) 」
松尾宗仁(Guitar)
南部系シャッフルのロックンロール。
ギター/1957年製フェンダー テレキャスター
アンプ/オレンジ
オープンGチューニング(5弦)
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Fender japan ST-71custom(Mr.Go mod)
(ローウェル・ジョージ風デカ・ヘッドのストラトキャスター)
Amp/Tone master
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/Seen
アンプ/アンペグB-50R
「モータウンのベーシトのジェームス・ジェマーソン的なアプローチでスィングしている」とのこと。
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット。
M-9「救いの手」
松尾宗仁(Guitar)
ギター/1957年製フェンダー テレキャスター
アンプ/フェンダー ツインリバーブ
エフェクト/MXRマイクロ アンプ
オープンGチューニング
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Gibson Les paul std 56rei
Amp/Tone master
オープンGチューニング
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/Seen
アンプ/アンペグB-50R
「バンカーズ風の気だるい感じの曲」
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット。
「タイトル通りの重ためのスローブルースナンバー。使用スネアは51年のグレッチに太いリングミュート装置」
M-10「綺麗事で飾り立てた 自我を脱ぎ捨てたい」
松尾宗仁(Guitar)
ギター/ゼマイティス Z-JHW #1 アコースティック
ギター/グレコ GZA 12弦アコースティック
「コンセプトは1960年後期のストーンズがやってた様な、バロック調が入った牧歌的なアイリッシュ,サウンド(アイルランドの土着的な音楽)とのこと。最後のCメロの繰り返し部分の唄はボーカルをダブルで歌ってもらい後からミックスの時に微妙にタイミングをズラすという事をやっているとのこと。普通、J-POPなんかではピッタリ合わせるが敢えてズラした。ミックのソロアルバムからヒントを得た」とのこと。
五十嵐"Jimmy"正彦(Guitar)
Guitar/Guild D-35(1980年)
「アイリッシュ・マナーなフォーク・ソングにした」とのこと。
市川"JAMES"洋二(Bass)
ベース/フェンダー・プレシジョンベース
アンプ/アンペグB-50R
「この曲のベースのイメージはビートルズ時代のポール・マッカートニー」とのこと。
大島治彦(Drums)
1952年のグレッチのドラムセット
使用スネアはプレミアの60年の4インチ
「この曲はWENDY JAMESのBASEMENT KISSという曲を意識してリズムアレンジをした」とのこと。
THE PRODIGAL SONS
STONESのDNA