日本庭園こぼれ話

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首かけイチョウ=巨木の話(2)・・・東京都(改編)

2021-09-19 | 巨木・御神木

多くの巨木には、様々な伝承やエピソードが伝わっています。

それらによって、巨木は、太さや高さといった外観以上の存在感を私たちに与えている気がします。

この「首かけイチョウ」という、なんだか不気味な名前のイチョウの巨木も、その一つ。

 このイチョウは、日本初の「洋式庭園」として知られる日比谷公園(東京都)にあります。

日比谷公園が開園したのは、明治36年(1903)のこと。公園の設計の中心となったのは、林学博士・本多静六氏です。

日比谷公園というと、開放的な芝生広場や華やかな花壇がイメージされますが、意外に緑が濃いことに驚かされます。

上の写真は鶴の噴水。公園の装飾用噴水としては、日本で3番目に古いということ。

また、江戸城の石垣を景に組み入れるなど、和風の趣が見られる景もあります。(下の写真)

そして「首かけイチョウ」。このイチョウの木は、それまで公園の外の日比谷交差点付近にあったそうですが、開園の2年前の明治34年、日比谷通りの拡張に邪魔という理由で、伐採されることになったのでした。

しかし、本多静六氏が伐採中止を要請。移植は困難という意見に対し、「私の首を賭ける」と言って、園内に移植したそうです。

現在、「首かけイチョウ」は、幹周り:6.5m、 樹高:16m。推定樹齢は、300年。

100年の歴史を背景に、巨木の多い日比谷公園の中でも、シンボル的存在として、公園の中央部にあるレストラン「松本楼」のかたわらに、どっしりと鎮座しています。

開発の妨げになるという理由で、市街地や近郊の巨木がどんどん切られていく現在、この「首かけイチョウ」のエピソードは、私の中で、ますます印象深いものとなっています。

 

 

 

 


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