20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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村上肥出夫展

2012年07月22日 | Weblog
              
              
 川端康成、石川達三、北方謙三など作家たちに愛された孤高の画家、村上肥出夫展を見てきました。
 銀座の資生堂ビルの裏手にあるビルの8階にある兜屋画廊で。
 この画廊をそして村上肥出夫展を教えて下さったのは、blogのお友だちの「りょう」さんです。
 りょうさんは陶芸家でいらして、来年の10月この兜屋画廊で個展をおやりになるそうです。

 村上肥出夫という画家を私はそれまで知りませんでした。しかしギャラリーに足を踏み入れた瞬間飛び込んできたパリの光景。ニューヨークの闇。なんとも不思議な秋葉原の風景は、村上氏特有の感性で塗られた色彩と構図には、少なからずショックを受けました。

 足を進めるごとに,私の興味を惹いたのは彼の生き様。
 岐阜に生まれ画家になりたくて銀座の街角で絵を描いていて、その才能を認めたのが、この兜屋画廊の何代目の社長だそうです。
 村上肥出夫は「レイコ」と名乗る女性を好きになるも結婚は叶わず、とうとう生涯独身だったとか。
 パリやニューヨークに絵を学びに行くためのスポンサーも、この画廊の社長だったそうです。
 こうして彼は理解あるスポンサーたちと出会い、画家としての才能を開花させていったのです。
 けれど不運にも火の不始末から自らの岐阜のアトリエが火事で全焼。
 それ以降精神を病み、いまは入院生活を送っているそうです。

 今回、兜屋画廊に展示してある彼の作品のすべては兜屋画廊所蔵のものだそうです。
「天才」とも思える彼の色彩と構図。その存在感からこの画家の才能を愛した多くの人たちがいたことを感じさせてくれました。

 久しぶりに夫と銀座の8丁目まで行ったので、お昼にはすぐ目の前のそば処「よし田」でコロッケ蕎麦を食べました。
 
                

 またそのそばにあるNYの五番街に本店のあるデパート。バーニーズ・ニューヨーク。
 このお店の正面を飾っているのが、かつてこの場所にあった交詢社ビルのメインエントランスです。
 交詢社というのは、福沢諭吉が提唱し結成された慶應義塾の同窓会メンバーを中心とした実業家社交クラブです。
 メインエントランスのファサードを今でもこうして保存しつ、新しい交詢社ビルのバーニーズ・ニューヨークの中で、当時の面影を残して佇んでいます。
 こういう古さと新しさがきちんと共存しているところが、銀座のおもしろいところです。
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2 コメント

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村上肥出夫展 (りょう)
2012-07-22 12:09:49
ご紹介、ありがとうございます。
ほんに彼の絵は、ずしっと来ますよね。
「かろみ」が主流の今風ではないけれど、
生きるということの不透明感が
胸にこたえます。
天才というのは、同じ地平に立ちながら、
別の景色を眺めているのだと、
つくづく感じされられてしまいました。
ちょびっとその欠片をかじって、
見えざるものへ眼差しだけは向けたいのですが・・・

バーニーズ・ニューヨーク・銀座支店とでもいうのでしょうか。
新旧が上手にマッチしておしゃれだなぁ。
伝統というのは、こうしたコーディネートにあるのだと思います。振り返ってオレは、新旧の間でふらふら、千鳥足です(笑)
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Unknown (加藤純子)
2012-07-22 15:23:51
りょうさん

こちらこそステキな画廊をご紹介くださいましてありがとうございました。
孤高の人、村上肥出夫の画風は、ほんとうにずっしりとこちらの胸に迫ってきます。
木に叩きつけるように描いたモンマルトルの風景には、特に胸を打たれました。

「全身小説家」という映画がありましたが、まさに全身画家ですね。
描く喜びつらさ苦しさが、まるごと描いていることを突きつけられるような気がしました。
空の明るさからは彼の一縷の希望が感じて救われましたが。

絵には疎く、私はいつも絵を見に行っても背景のその人に人生を見たくなってしまいます。「なぜ、この人はこういう絵を描いたのか」などと・・・。
ですから天才である彼が、私が感じたこともない「秋葉原」を描いているのを見ると、すごいなと思いつつも、彼にとって秋葉原はどうしてこう見えるのだろうと考えてしまいます。
想像力の問題かもしれませんね。
あ~、もっと豊かな想像力を持ちたい!

来年の10月には、りょうさんの陶芸の個展を楽しみにしております!
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