20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊2冊ご紹介

2012年01月21日 | Weblog
           
 
『海馬亭通信』(村山早紀・ポプラ社文庫ピュアフル)
 1冊目は、シリーズ累計20万部を突破したという、人気の『コンビニたそがれ堂』(ポプラ社文庫)の作者、村山早紀さんの新刊です。 

 このお話は、1994年理論社より刊行された『やまんば娘、街へゆく~由布の海馬亭通信』を改題し、加筆・訂正した作品と、あらたな書き下ろしの中編『十七年後 眠れる街のオルゴール<前編>』を併せて文庫本として一冊に収録したものです。

 山の神さまである「母さん」と,人間の「父さん」のあいだに生まれた「由布」
 その父さんが10年前のある日、「ちょっと行ってくる」と山を下りて行って、それ以来帰ってきません。
 由布は父さんを探そうと、山を下り、風早の街へ行きます。
 そこで出会ったさまざまな人間たち。
 由布は人間の街でなにを感じ、そしてなにより、肝心の父さんは見つかるのでしょうか?
 
 この作品は、山に残っている姉へ宛てた、由布からの4編の手紙形式になっています。
 村山早紀さんの筆が、山の暮らしを、そして風早の街の風景を、人間模様をメルヘンとしての醍醐味溢れる文章で描いています。
 その心地よさに身をゆだねながら、ぜひ読んでほしい一冊です。

           

 次は吉田純子さんの、文庫シリーズ第二巻です。
『学校にはナイショ♂ 逆転美少女・花緒 パーティーの主役!?』(吉田純子・ポプラカラフル文庫)
『学校にはナイショ♂ 逆転美少女・花緒 ミラクル転校生』の第二弾は、セレブ名門私立男子校の人気の男子3人をめぐる、華桜女学園の女王さまの「摩莉亜」と彼女を取り巻く2人の少女と、このお話の主人公歌舞伎の名門の御曹司で、女形修行のために女子校に入らされた「花緒」たち少女3人組のお話です。
 実は男子である、「花緒」の破天荒な行動力がおもしろいです。

 このお話は、勧善懲悪をはっきりさせたエンターテイメントの学園ラブコメです。
 真夜中の「幽霊」の招待は?
 また、名門男子校にダンスパーティに招待されるのはだれか。
 おいしそうなお料理の名前はてんこもり。
 そういったことを、上手におもしろく、ストーリーに絡ませています。
 印象的だったのは、歌舞伎の稽古場での「花緒」の舞台のシーン。
 こういう一見コアなシーンからキャラを際立たせる・・・。おもしろい試みです。

 皆さま、この2冊、ぜひお読みになってください。
コメント (4)
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