20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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フロントランナー

2010年04月03日 | Weblog
 3月13日の、朝日新聞「be on Saturday」の「フロントランナー」に掲載されたジュリーの言葉が、ときどき脳裏をかすめます。
 ジュリー、そう、歌手の沢田研二さんです。

 若かりし頃のジュリーは、実に眉目麗しい美青年でした。
 しかし近頃、マスメディアで見かける彼は、すっかり体型も、美形だったお顔立ちもかわり、ただの太ったおじさま・・・・。

 そんなことを言ったら、天に向かって唾するようなものですが。 
 その彼の言葉が、あのフロントランナーを読んだときから、ときどき脳裏をかすめるのです。

「かつてダイアナ・ロスの公演を見たとき、終盤に彼女が疲れ、だんだんあられもなくなってくるんです。もう息も絶え絶え。
 でもそこではじめて生身の人間が見えてくる。
「がんばってるなぁ」と引き込まれ、ぼくもそうありたいと思いました。
 そりゃ体は重いですよ。走っても格好はよくない。でも、ぶざまでもがんばっている姿は感動を呼ぶと思うんです。
 だれもが老い、朽ちていくんです」

 ああ、この人はこんなことを考えながら、還暦記念公演で6時間・80曲もの歌を歌ったのか。
 いつだったか「憲法九条」をNHKTVで歌ったときの彼の姿を思い出しました。

 私は、ぶざまにがんばる姿どころか、まだまだその寸前までもいっていない。
 それを読んだ瞬間、そんな思いで胸がいっぱいになりました。
 だから、そのジュリーの言葉をずっと記憶していたのだと思います。
 
 この先、どれくらいの作品が書けるかわかりません。けれど、のたうち回り、「ぶざま」と自分で自分を評することができるまで、走っていきたい。
 そのためには、忙しさに追われているだけではなく、ちゃんと自分の軸足をはっきりさせなくてはと。
 ジュリーの言葉に、このところ私は、たまらなく焦燥感にかられています。
コメント (1)
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