20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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文庫本2冊ご紹介

2010年04月21日 | Weblog
 ずっと以前に頂戴していたのに、なかなかご紹介できずにいたご本と、
 新刊本、あわせて2冊の文庫本をご紹介いたします。
 それにしても、こみちさん、ごめんなさい。
 頂戴した新刊の置き場所に置いておけばよかったのに、違う場所においてあったので、すっかり放念しておりました。
 整理していたら、「あっ!」と。
 こみちさん、ほんとにお許しくださいね。

『犬の消えた日』(井上こみち・幻冬舎文庫)
 井上こみちさんといえば、動物もののノンフィクションの第一人者の児童文学作家です。
 その井上こみちさんが主人公「さよ子」のモデルである「中澤静江」を訪ね、取材に3年の年月をかけた労作・大作です。
 この『犬が消えた日』を読みながら、これは動物もののノンフィクションというより、反戦の物語だと思いました。
 家族同然の飼い犬を,戦争のために軍用犬として供出せざるを得ない家族の悲しみが描かれています。
 さよ子の苦悩や犬との理不尽な別れが強く胸を打ちます。
 また、この『犬の消えた日』は、金の星社から出版されたものを、幻冬舎文庫化にあたり、加筆・再編集したご本だということです。
 そしてさらに『犬の消えた日』は、戦後60年の年にNHKでドキュメンタリーとして放送され反響を呼びました。
「犬」というアプローチから、戦争を問いかける一冊。
 ほんとうに胸を打たれます。
 ぜひお読みになってください。


 
『こぐまのクーク物語 春と夏』(かさいまり・角川つばさ文庫)
 北海道生まれの、作者かさいまりさんと、編集アドバイザーとして、このご本作りに加わったやはり北海道生まれの後路好章さん。そして同じく北海道生まれの編集者。道産子の3人の方々で作られたご本だそうです。
 北の大地のやさしさの伝わってくるご本です。自然やおいしい食べ物がいっぱいの物語です。
 印象的だったシーンが、モズの母さんとカッコウのたまごの話。カッコウは自分でたまごを暖められないから、モズの母さんにかわりに暖めてもらうとか。
 モズは自分のたまごではないと知ってか知らぬか、一生懸命あたためて、カッコウのヒナの巣立ちを喜ぶのだそうです。なんだかとてもいい話です。
 ゆたかな森でのくらしに、読んでいるとこころがあたたかくなってきます。
 巻末の「クーク」のパパのレストランのお料理レシピもとてもおいしそうです。
 小さなお子さんにぜひどうぞ。
コメント
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