太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

名古屋最強

2019-08-21 09:15:41 | 思い出話

昔の新幹線での出来事である。ある時熱海の近くだったか駅の無いところで電車が急停車した。しかもカーブだったのだろう車両は傾いたままである。やっと座れた自由席だが車両が斜めになると結構しんどい。赤軍がまだ活発に活動していた頃である。社内アナウンスで「××号車に爆発物が仕掛けられているという情報が入りました。只今より不審な荷物がないか確認させて頂きます。」これを聞いて既に何人かは他の車両に移動を始めた。やっと確保できた席を離れ難く躊躇していたら乗組員が手荷物の持ち主の確認を始めた。丁度前列に来た時、何度呼んでも持ち主が現れない荷物が荷物棚にある。乗員は大声で持ち主を探して車両の中を行ったり来たりするが現れない。触る訳には行かないので荷物は棚の上に乗ったままである。もしあれが爆発物ならこんなに近くなら死ぬかも知れないと思ったが今更慌てて他の車両に逃げるのも何だか間が抜けている。

5分くらい経ったろうか何席か後ろの若者が自分のものだと言い出した。どうも眠っていたようだ。無事荷物の点検が終わり1件落着しそうな時に若いサラリーマン風の男が件の若者の襟首を掴んで通路に引き出した。「お前は他の乗客に迷惑を掛けたのに謝りもしないのか。皆死ぬほど不安になったのだぞ。」と大声で叱り出した。若者は不貞腐れた態度で、ちょこっと頭を下げて小さな声でスミマセンでしたと言った。さらに頭に来たのか「それで謝ったつもりか、通路に土下座してでも謝れ。」と殴り掛からんばかり怒り用である。そこへ中年の人が入って「もういいではないですか。悪気があった訳ではないし。」と言って本当に1件落着した。若者の太々しい態度はきっと恥ずかしかったのだろう。体育会系の正義感に溢れたサラリーマンと仲裁に入った中年、どちらにもなれずに自席の確保に必死だった自分の方が恥ずかしかった。

勇気を出した行動もある。新幹線の最終便近くで客もまばらだった。近くの席で酔っぱらったサラリーマンが足を投げ出して前の席の若い女の子の座席背もたれに投げ出した。顔の両脇に足がある感じだ。偶然かと思ったが足を動かしてもなお投げ出したままで今にも顔に当たりそうである。女の子は指定席だから動けないと思ったのか背もたれから背中を離し必死に耐えている。女の子の傍に行き、小さな声で「席は空いているから指定席だけど動いていいよ、車掌が来たら事情を言えばいい。」と言ったらやっと離れた席に移動した。先の熱血サラリーマンなら直接酔っ払いに「前の客が迷惑してるだろう、足を引っ込めろ。」と言っただろうがこちらは中年に近い落としどころだった。

仕事柄新幹線で東京大阪は良く移動した。一番迷惑だったのがおばちゃんのお喋りである。3席シートを対座にして始まると結構離れていても会話が聞こえて来る。寝たふりしていても話の中に引き込まれてしまう。自分も井戸端会議の一員になってしまうのだ。彼女達の話は会話ではない。話に一瞬の間が空くとそこに入り込む。会話になっていない。間が待ちきれず相手にかぶせて喋るのだ。やりとりではなく自己主張のみである。大阪だろうと思うと大概名古屋で降りる。この時は名古屋最強だと思った。おばちゃんばかりではない。一度ゴルフコンペの帰りの集団おじさんと同じ車両になった。何と世話役らしき男が通路に立ってコンペの表彰式を始めてしまった。拍手喝采も煩く中年のサラリーマン風の集団だったが非常識は若者に限らないと思った。勿論表彰式は最後まで見届けることになった。常識ある中高年に注意などできなかったほど若い時代のことである。最近の電車はスマホのおかげで随分静かである。よしよし。

人生で、あのときこう答えれば良かったとかこうすれば良かったという瞬間は幾度もある。煽り運転などドライブレコーダーがついている車は多く、少なくともナンバープレートは読み取られている。かっとした瞬間は必ず将来、ああすれば良かったとなること間違いない。煽った結果どうしたいかなど考えてもいないだろう。頭の中で30秒間待つ。クールダウンするすることだ。クールビズは定着したから次はクールダウン運動だ。家族や恋人の写真を運転席近くに貼るもよいが喧嘩の後など余計に激高にバイアスがかかるから注意も必要だ。アメリカ映画のように仕事場の机に奧さんや子供の写真を置くのは止めた方が良い。多くの中年上司は公私混同と区別がつかない。いたなあそんな部下。