ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ドイツでの農場体験(13) <菌床の入荷、そして、ハーメルン >

2014-03-07 15:18:55 | 日記
2013年9月27日(金)、マッシュルーム用の新しい菌床が到着しています。前日、ホストのOさんが車を走らせて入手してきたものです。乗用車に牽引されたリヤカーに菌床は満載されています。一体、いくつぐらいあるのでしょうか。

菌床一つの重さは3kgぐらい、搬送用の手押し車に十数個づつ載せては作業小屋に運びます。そして一つ一つにラベルを貼り付けて行きます。その後は大きな冷蔵室に一旦入れます。しばらくは冷蔵保存するらしいのですが、この辺りのノウハウはOさんが保有しているのでした。

この日到着していた菌床は6品種ぐらいで総数は260個ぐらい、この後も順次入荷して来ましたが今回が第一陣と言うことらしいのです。シイタケが一番多く2番目はキングオイスターと呼んでいる品種でした。栽培用の地下室の方は掃除や塗装も終わっているので、新しい菌床を迎え入れる準備は整ったところです。Oさんの年間計画に沿った進行なのでしょう。そろそろ新しい栽培サイクルに入るようです。
(写真: 新しい菌床)

話は変わります。ここラーデンでの滞在も、およその計画の50%近くが過ぎようとしている頃です。休日の日数のみをカウントすると5回ぐらいを残すのみです。そこで、行きたいところを抽出して優先度を考え順番に行動することにしました。先ずは列車で日帰り旅行が出来るハーメルン(Hameln)に行くことを決めました。そしてこの日は列車のチケットを購入しようと考えていたのです。

ラーデンの鉄道駅は無人なのでチケットは買えないそうで、街の中ほどにあるチケットセンターで入手可能と言うことでした。この日の昼休みに自転車に乗ってチケットセンターに行ったのですが、あいにくこちらも昼休み中、13時~14時半は昼休みなのです。仕方がありません。15時頃にOさんに一言断って再度チケットセンターに向いました。

乗車区間、日時、人数等を予めメモしたペーパーを持参し希望を伝えます。会話は全て英語が通じます。ラーデンとハーメルンの往復で約43ユーロでした。乗車区間は指定されていますが、時刻も座席もフリーのチケットです。販売の係りのおばさんが丁寧に対応してくれます。チケットの扱い方も説明してくれました。駅には日本のような改札口がないのは私も既に知っていますが、おばさん曰く、列車に乗ったら乗降口近くに黄色のボックスがあるから、そこにチケットを入れて日時スタンプを押印しなさい・・・と言っているのでした。

8月にここラーデンに到着した時はそうした必要はなかったのですが、日時フリーのチケットの場合は利用した時の日時スタンプが必要なのでしょう。そう言えばデンマークでも似たようなシステムを経験したことがあります。

そして翌々日の29日(日)は朝からハーメルンに向ったのです。8時過ぎには出発しました。駅までは歩いて10分ぐらいです。この駅は終着駅でもありますので、始発なのです。列車は既に待機しています。発車まで15分はありますので列車の写真も撮りました。3両編成です。運転席を覗くと女性運転士でした。鉄道車両の女性運転士は日本では私は見たことがないのでオオッと一瞬思いました。(女性も色んな職業に就いているのですね。)
(写真: 出発を待つ列車)

さて乗車することにします。ドアは「開ボタン」(通常は緑色発光)を押すと開きます。乗客は数える程度でした。そして黄色ボックスは目立つのですぐにわかりました。チケットを入れるとカチャッと音がしてスタンプされました。そして定刻8:35、発車のベルも警笛も一切ない状態で列車は滑り出すように発車したのです。この時刻の正確性にまたまたドイツ人気質を感じてしまいました。


ローカルな地域では踏み切り設備(遮断機や警報機)がないようなところもあるようで、そうした踏み切りの手前では「ピー・・・ピー・・・」と2回の警笛を鳴らしています。そして最初の乗換駅「Herford」に到着、路線を替えて次の乗換駅「Luhne」(uはウムラウト付き)へ、ここで乗り換えに30分ほど待ちます。気温は5℃前後で結構寒いのです。2両編成の列車が入ってきました。ここからハーメルンまでは約45分です。

11:30頃にハーメルン到着です。さてハーメルンですが、この街は笛吹き男の童話で有名ですよね。ネズミ退治を頼まれた笛吹き男が笛を吹くとネズミ達はその音色につられて行ってしまい、近くのヴェザー川で溺れて死んでしまった。しかし、このことを頼んだ王様はこの笛吹き男にお礼のお金を払わなかったのです。そして今度は笛吹き男が笛を吹くと、この街の子供達が連れられて、ある「通り」で忽然と消えてしまった・・・こんな物語でしたね。
(写真: ハーメルンの駅前)

この街がラーデンに比較的近いと知ったのはドイツに入ってからです。この地方の一つの文化に触れることができるかも知れないと思って、この地を訪ねてみたのです。予め調べておいた道順に沿って歩き旧市街地の方に進みます。歩いていて気づいたのは、今日は日曜日でお店はやはり大半が閉まっているのです。旧市街地に入っても同様でした。若干のみやげもの屋さんとレストラン程度がオープンしている状況です。

旧市街に入ると、最初に目に止まるのは笛吹き男について行った子供達が消えた「通り」です。ガイドに引き連れられた観光客20人ぐらいがその辺りで説明を聞いています。さらに進むと笛吹き男の像があります。そして中央部でもある教会前の広場。最初はメインと思しき通りを歩いてみました。さらにヴェーザー川沿いに歩きます。フリーマーケットの会場があって人だかりができています。そして再び旧市街の中央部へ、今度は裏道も歩きました。古い木組みの家もたくさんあります。一軒一軒の創りに違いがあってそれぞれが特徴的です。
(写真: 子供達が消えたと言われる「通り」、右の路地)
(写真: 笛吹き男の像)
(写真: ヴェーザー川)
(写真: フリーマーケット)
(写真: 木組みの家)


お腹も空いてきたのでレストランを探しますが、オープンしている店は限られているのです。雰囲気のいい店をみつけたので入ってみました。結構混んでいます。一人であることを伝えて座ってよい場所を確認して座りました。メニューを見て、最初は迷わずビールの注文です。シュニッツェル(豚カツに近い)があったのでそれを注文、ポテトもサラダも付いていると書かれているので注文はそれだけで十分です。ウーム、ドイツ語メニューも読めるようになったなァ。一人で感心しながらも、実際は知っている一部のメニューはわかる・・・程度です、ハイ。
(写真: レストランにて)

注文の品をビールを飲みながら待ちました。しばらくして年配の親子連れと思しき男性二人が入ってきました。店員に促されて私の隣のテーブルに座ったのですが、その時、息子と思われる30代ぐらいの男性が私に挨拶するのです。短い言葉ではありますが「ハロー」程度の言葉でした。私もハローと笑顔で応えました。しかし、日本でありますか? いい習慣だなァと思いました。全ての場所でこれを経験したわけではありませんが、毎週日曜日の夕食に行くレストランでも、入店時に店員に向けてハローと言うのと、先客に対してもハローと言っているのを思い出したのです。(私もやっています。)ラーデンはローカルな地方都市のイメージでご近所同志の挨拶に近いものを感じていたのですが、ここはハーメルンで観光都市、しかも旧市街地内なのです。ですから地元の人も居るのでしょうが、私のように明らかに東洋人(外人)とわかる人に対しても気軽に挨拶してくれる・・・これはいいこと。日本でもこうした感覚が醸成されといいですね。一体、何が違って、どうしてこうした「差」がでているのでしょうか。

目を他のテーブルに移しました。10人ぐらいの女性グループが長いテーブルで食事しています。ビールを飲んでいる人、ワインを飲んでいる人、そして、ソフトドリンクだろうと思われるものを飲んでいる人もいます。料理は皆バラバラのようです。そしてデザートも頼んだようでそれぞれ思い思いのケーキを食べ始めていました。雰囲気からして同級生が久しぶりに会っている感じです。年代は30代後半でしょうか。騒がしいことは全くありません。それよりも、こうした機会や時間を皆で楽しんでいる雰囲気が伝わってきました。しばらくして代表者がまとめて会計し皆が揃って店を後にしたのです。これもいい感じに私の眼には映りました。

さて、この街での土産物は家内から頼まれていた絵本にしようか(笛吹き男・・・ドイツ語版)と考え、本屋があったので探してゲット、4ユーロでした。家内は絵本を作成しているので参考になるのかも。他にウィンドーショッピングしていると関の刃物(和包丁)が置いてあります。そう言えばOさんと話をしていた時、刃物が話題になったことがありました。私はドイツで有名なゾーリンゲンの刃物(包丁、果物ナイフ、爪切り等)を結構使っていますよと言うと、Oさんは日本の和包丁はドイツではとても人気があるんだよ。日本にはあんなに良い商品があるのに何故ドイツ製を使っているのか?・・・と。この時もちょっと考えさせられました。
(写真: 関の和包丁)

この後は、真っ青な空を眺めながら再びあちこちと散策したのです。旧市街地はそれらしくまとまっていて、街作りが上手だなァと感じたものです。そして次第に駅方向に足を向けて行きました。16時半頃には帰りの列車に乗ったのです。しかし、これが満員なのです。グループ客が多いのに加え、自転車を持ち込む人も居て、自転車のために通路がほぼふさがってしまっているような感じです。そして列車は来た時と同様に2両編成なのです。ドイツでの最初の満員列車を体験したわけです。
(写真: お気に入りのワンショット)
(写真: 石畳にはめ込まれているネズミのプレート)

19時前にラーデン駅に帰着、帰りがけにいつものレストランに立ち寄って夕食をいただきました。ラーデンに来てから初めての列車利用の日帰り旅行でした。感動・・・とまでは言えないにしても様々な光景に出会えたと思っています。 ~続く~

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