
2013年10月30日(水)、ここラーデンでの最終日となりました。ドイツに入って75日目、このホストの家に泊まるのは今夜が最後で70泊となります。長かった気もしていますが、やはり振り返るとアッと言う間・・・でした。それでも当初の目的等の大半は確認したり体感できたと思っています。
さて、この日も午前中は庭で収穫できた果物のドライ(乾燥)処理が中心でしたが、作業の開始直後にホストのOさんが私に言いました。今日のランチは「天ぷら」にしたいので手伝って欲しいと言うのです。元々、そうした話はあったのですが、滞在最終日がその日になったと言うことです。それにしても、天ぷらにする具材が揃っているかどうかは未確認なので、Oさんと二人で確認することから始めました。
さつま芋や茄子が見当たらないので入手を頼みました。また、味噌汁も依頼されたのでランチの準備は11時半頃から始めることを伝えました。最初に整えたのは使用材料を並べてみることです。Oさんは買い物に走っています。野菜の種類は十分あります。自家栽培のマッシュルームも数種類は使えそうです。そして最初に取り掛かったのは庭で採取された大きなカボチャを切ることでした。
カボチャの大きさは直径が40cmぐらいで高さは20cmぐらいもあります。一番大きな包丁を使って切ろうとしますが、これが「固い」のです。体重をかけるようにして何とか四分の一ぐらいを切り分けしました。固そうな皮も切り落とします。ほどなくしてOさんが買い物から戻ってきました。さつま芋も入手できたようですが、日本で見かける品種とは異なるようです。しかし、これも天ぷらの具になるように準備しました。
一方、味噌汁作りも始めました。この10月末の時点ではフランス人カップルはまだ居たので、彼等用、つまり、ヴィーガン用にも作ってあげる必要があったので味噌汁も2種類用意するのです。途中までは一つの鍋で準備し、ダシを加えるところから鍋を二つにして平行調理するのでした。片方はカツオ(魚)ダシも入れて味を調えます。もう一方はコンブがあればコンブでダシをとるのですが、この日はコンブは使い切っていたのでダシは無しで作りました。
マッシュルーム類は業務用の巨大冷蔵庫から収穫済みのものを5種類ほど持ち出してきました。この天ぷらが一番美味しそうに思えました。で、どうやって揚げるか、T社製のフライヤーをOさんが持ち出してきました。話を聞いていると「天ぷら」を自宅で作るのは初めてではないようでした。そして、天ぷら粉は、オスナブリュック(50kmぐらい離れた場所)のアジアンショップに行った時に買った、「タイ製」の天ぷら粉を使いました。
天ぷら用の「天つゆ」も作りました。材料には限りがあるので、醤油、日本酒、砂糖等でそれらしく作りました。ヴィーガン用には本ダシは加えられませんが、他の人用には本ダシも入れたので、結構「らしく」できあがりました。日本で食べる時の「天つゆ」とは異なりますが、Oさんは作り方を教えて欲しいと言っていました。「天つゆ」で食したことはこの日が初めてだったようです。
なんだかんだと準備に手間取り、ランチ開始は14時半頃になりました。1時間半は遅れたのです。それでもテーブルの中央に置かれたフライヤーに、好みの具に溶き天ぷら粉をつけては揚げながら食べる熱々の天ぷらは、いや~、旨かったです。
ちなみに、さつま芋の天ぷらですが、ホコホコした芋ではなかったので食感は今一、また、甘みも少なめだったので期待はずれでした。一方、茄子やマッシュルーム等は一番美味しかった印象です。
ランチの片付けを終えたのは15時15分頃、とても遅いランチタイムを終えたのでした。この日は16時半頃には作業は終了となりました。Oさんの気配りです。ドイツ人気質と言っていいのでしょうか、律儀な一面を感じます。
(写真: ダイニングルーム)
こうして70日間に及ぶラーデンでのマッシュルーム栽培農家(ハーブ栽培も)での体験は99%終了したのです。フランス人カップルから今後の予定を聞かれたので、約10日間ほど使ってドイツのさらに北方へ回り、最後はフランクフルトに戻って、そこから日本へ帰国する旨を伝えました。私がラーデンを離れるのは翌日木曜日、そしてフランス人カップルは金曜日である11月1日にここを離れると言っています。
ヴィーガンのフランス人カップルとはあまり交流できませんでしたが、彼らもマッシュルーム栽培のノウハウ修得やハーブ栽培の一部ノウハウについて勉強できたのではないでしょうか、彼等二人は近い将来、そうした自分達の農場を立ち上げたいと言っています。こうした若者が居ることに嬉しくなりました。日本にも、似たような若者もいるのでしょうが、もっと増えて欲しいと改めて感じたのです。
(写真: ハーブ・ガーデンの一部)
19時過ぎ、あまりお腹は空いていないのですが、最後の夕食となるので食堂に行きました。ホストのOさんも奥さんのEさんも先に来ていました。珍しいことです。Oさんと私は紅茶だけを飲んでいます。19時50分、一応夕食の区切りとしました。いよいよお別れの挨拶をすることになります。
ノートパソコンの電源を立ち上げてプレゼンの準備をします。2~3分で準備完了。今度はOさんが白ワインとワイングラスを3つ用意してくれました。ワインを飲みながらの挨拶となります。暗い雰囲気はありません。ワインはリースリング種(葡萄の種類)で美味しいものでした。
8月17日にフランクフルトに到着してから、先ずは100万人都市のケルンへ、次に環境先進都市でもあるミュンスターへ、そして8月22日にはここラーデンに到着、その頃は夏真っ盛りの季節でした。特長的な写真をパソコン画面上で見てもらいながら私が感じたことを説明して行きます。ミュンスターはドイツの中でも一番自転車の為の各種環境整備がされた都市であることを、Eさんが教えてくれました。
また、Oさんのマッシュルーム栽培への取り組みや3R、省エネ、各種の自前のシステムや装置のこと、また、ラーデンやその近郊を見ての感想等も伝えました。太陽光発電、風力発電、太陽熱利用の温水装置、そしてバイオガスへの取り組みや問題点の存在・・・。
この話の途中でOさんが「3R」て何だ?と聞くのです。私は日本でしばしば使っている3R(リユース、リサイクル、リデュース)なので当然Oさんも知っている、つまり、ドイツでも使われている略語ではないかと思っていたのですが、そうではなかったようです。でも3Rの語源を説明したら直ぐに分ってくれました。
そして多くのドイツ人に親切にしてもらったことや、人口6千人のラーデンであっても、赤ちゃん、妊婦の姿、小さな子供や中高生クラス、ミドルエイジ、高齢者、ハンディキャプを持った人、そうした人達が満遍なく、年齢層が偏ることなく暮している街に見えると伝えました。Oさんは言います。この街には人口減少問題は存在していないそうです。いや~、実にすばらしい街ですね。
また、ドイツの歴史に大きく関わっているのでしょうが、地方自治が伝統的に根付いていることもプラス作用していると感じます。さらに、人々は必ずしも行政の力を当てにしていないと言うこと、自分達でやれることはさっさとやってしまうところ、これは日本と大きく異なる点に思えました。
説明の最後の方で、10月19日の見事な朝焼け映像を見てもらい、そして、その映像にピッタリのザ・プラターズの「トワイライトタイム」の音楽を自動的に流して、OさんとEさんを少し驚かせました。
(写真: 美しい朝焼け)
ここラーデンでの70日間に及ぶ滞在機会を与えてくれたことに感謝し、一方で、お二人の為にできるだけ早く自宅に「ファームショップ」を開店できることを願っていることを伝えました。奥さんのEさんは「その通り、ファームショップを早く開店させたいの!」とご主人のOさんに向って言うのでした。
約30分ぐらいのプレゼンでした。Oさんは是非ともこのパワーポイントによるプレゼンデータが欲しいと言うので、USBメモリーに書き込んでプレゼントした次第です。
最大のセレモニーが終わりました。前年(2012年)のデンマークでは不覚にも涙してしまったのですが、このドイツでは冷静に振舞うことができました。残るは、このホストでの「仕来たり」になっている「アルバム」に直筆でメッセージを残すことです。この日の夜、それは自室で書き上げました。
記憶に残る長い一日になったのです。(尚、ドイツ滞在の総括編は別途にまとめ上げる予定です。)
~続く~
さて、この日も午前中は庭で収穫できた果物のドライ(乾燥)処理が中心でしたが、作業の開始直後にホストのOさんが私に言いました。今日のランチは「天ぷら」にしたいので手伝って欲しいと言うのです。元々、そうした話はあったのですが、滞在最終日がその日になったと言うことです。それにしても、天ぷらにする具材が揃っているかどうかは未確認なので、Oさんと二人で確認することから始めました。
さつま芋や茄子が見当たらないので入手を頼みました。また、味噌汁も依頼されたのでランチの準備は11時半頃から始めることを伝えました。最初に整えたのは使用材料を並べてみることです。Oさんは買い物に走っています。野菜の種類は十分あります。自家栽培のマッシュルームも数種類は使えそうです。そして最初に取り掛かったのは庭で採取された大きなカボチャを切ることでした。
カボチャの大きさは直径が40cmぐらいで高さは20cmぐらいもあります。一番大きな包丁を使って切ろうとしますが、これが「固い」のです。体重をかけるようにして何とか四分の一ぐらいを切り分けしました。固そうな皮も切り落とします。ほどなくしてOさんが買い物から戻ってきました。さつま芋も入手できたようですが、日本で見かける品種とは異なるようです。しかし、これも天ぷらの具になるように準備しました。
一方、味噌汁作りも始めました。この10月末の時点ではフランス人カップルはまだ居たので、彼等用、つまり、ヴィーガン用にも作ってあげる必要があったので味噌汁も2種類用意するのです。途中までは一つの鍋で準備し、ダシを加えるところから鍋を二つにして平行調理するのでした。片方はカツオ(魚)ダシも入れて味を調えます。もう一方はコンブがあればコンブでダシをとるのですが、この日はコンブは使い切っていたのでダシは無しで作りました。
マッシュルーム類は業務用の巨大冷蔵庫から収穫済みのものを5種類ほど持ち出してきました。この天ぷらが一番美味しそうに思えました。で、どうやって揚げるか、T社製のフライヤーをOさんが持ち出してきました。話を聞いていると「天ぷら」を自宅で作るのは初めてではないようでした。そして、天ぷら粉は、オスナブリュック(50kmぐらい離れた場所)のアジアンショップに行った時に買った、「タイ製」の天ぷら粉を使いました。
天ぷら用の「天つゆ」も作りました。材料には限りがあるので、醤油、日本酒、砂糖等でそれらしく作りました。ヴィーガン用には本ダシは加えられませんが、他の人用には本ダシも入れたので、結構「らしく」できあがりました。日本で食べる時の「天つゆ」とは異なりますが、Oさんは作り方を教えて欲しいと言っていました。「天つゆ」で食したことはこの日が初めてだったようです。
なんだかんだと準備に手間取り、ランチ開始は14時半頃になりました。1時間半は遅れたのです。それでもテーブルの中央に置かれたフライヤーに、好みの具に溶き天ぷら粉をつけては揚げながら食べる熱々の天ぷらは、いや~、旨かったです。
ちなみに、さつま芋の天ぷらですが、ホコホコした芋ではなかったので食感は今一、また、甘みも少なめだったので期待はずれでした。一方、茄子やマッシュルーム等は一番美味しかった印象です。
ランチの片付けを終えたのは15時15分頃、とても遅いランチタイムを終えたのでした。この日は16時半頃には作業は終了となりました。Oさんの気配りです。ドイツ人気質と言っていいのでしょうか、律儀な一面を感じます。

こうして70日間に及ぶラーデンでのマッシュルーム栽培農家(ハーブ栽培も)での体験は99%終了したのです。フランス人カップルから今後の予定を聞かれたので、約10日間ほど使ってドイツのさらに北方へ回り、最後はフランクフルトに戻って、そこから日本へ帰国する旨を伝えました。私がラーデンを離れるのは翌日木曜日、そしてフランス人カップルは金曜日である11月1日にここを離れると言っています。
ヴィーガンのフランス人カップルとはあまり交流できませんでしたが、彼らもマッシュルーム栽培のノウハウ修得やハーブ栽培の一部ノウハウについて勉強できたのではないでしょうか、彼等二人は近い将来、そうした自分達の農場を立ち上げたいと言っています。こうした若者が居ることに嬉しくなりました。日本にも、似たような若者もいるのでしょうが、もっと増えて欲しいと改めて感じたのです。

19時過ぎ、あまりお腹は空いていないのですが、最後の夕食となるので食堂に行きました。ホストのOさんも奥さんのEさんも先に来ていました。珍しいことです。Oさんと私は紅茶だけを飲んでいます。19時50分、一応夕食の区切りとしました。いよいよお別れの挨拶をすることになります。
ノートパソコンの電源を立ち上げてプレゼンの準備をします。2~3分で準備完了。今度はOさんが白ワインとワイングラスを3つ用意してくれました。ワインを飲みながらの挨拶となります。暗い雰囲気はありません。ワインはリースリング種(葡萄の種類)で美味しいものでした。
8月17日にフランクフルトに到着してから、先ずは100万人都市のケルンへ、次に環境先進都市でもあるミュンスターへ、そして8月22日にはここラーデンに到着、その頃は夏真っ盛りの季節でした。特長的な写真をパソコン画面上で見てもらいながら私が感じたことを説明して行きます。ミュンスターはドイツの中でも一番自転車の為の各種環境整備がされた都市であることを、Eさんが教えてくれました。
また、Oさんのマッシュルーム栽培への取り組みや3R、省エネ、各種の自前のシステムや装置のこと、また、ラーデンやその近郊を見ての感想等も伝えました。太陽光発電、風力発電、太陽熱利用の温水装置、そしてバイオガスへの取り組みや問題点の存在・・・。
この話の途中でOさんが「3R」て何だ?と聞くのです。私は日本でしばしば使っている3R(リユース、リサイクル、リデュース)なので当然Oさんも知っている、つまり、ドイツでも使われている略語ではないかと思っていたのですが、そうではなかったようです。でも3Rの語源を説明したら直ぐに分ってくれました。
そして多くのドイツ人に親切にしてもらったことや、人口6千人のラーデンであっても、赤ちゃん、妊婦の姿、小さな子供や中高生クラス、ミドルエイジ、高齢者、ハンディキャプを持った人、そうした人達が満遍なく、年齢層が偏ることなく暮している街に見えると伝えました。Oさんは言います。この街には人口減少問題は存在していないそうです。いや~、実にすばらしい街ですね。
また、ドイツの歴史に大きく関わっているのでしょうが、地方自治が伝統的に根付いていることもプラス作用していると感じます。さらに、人々は必ずしも行政の力を当てにしていないと言うこと、自分達でやれることはさっさとやってしまうところ、これは日本と大きく異なる点に思えました。
説明の最後の方で、10月19日の見事な朝焼け映像を見てもらい、そして、その映像にピッタリのザ・プラターズの「トワイライトタイム」の音楽を自動的に流して、OさんとEさんを少し驚かせました。

ここラーデンでの70日間に及ぶ滞在機会を与えてくれたことに感謝し、一方で、お二人の為にできるだけ早く自宅に「ファームショップ」を開店できることを願っていることを伝えました。奥さんのEさんは「その通り、ファームショップを早く開店させたいの!」とご主人のOさんに向って言うのでした。
約30分ぐらいのプレゼンでした。Oさんは是非ともこのパワーポイントによるプレゼンデータが欲しいと言うので、USBメモリーに書き込んでプレゼントした次第です。
最大のセレモニーが終わりました。前年(2012年)のデンマークでは不覚にも涙してしまったのですが、このドイツでは冷静に振舞うことができました。残るは、このホストでの「仕来たり」になっている「アルバム」に直筆でメッセージを残すことです。この日の夜、それは自室で書き上げました。
記憶に残る長い一日になったのです。(尚、ドイツ滞在の総括編は別途にまとめ上げる予定です。)
~続く~
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