「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

Jリーグ放送権ビッグバン

2016年07月22日 18時25分01秒 | Jリーグ・三大タイトル

2016年7月20日、Jリーグの歴史において特筆されるだろうニュースが発表されました。このニュースを私は「Jリーグ放送権ビッグバン」と名付けたいと思います。

発表の内容は、すでに多くの方がご存じだと思いますが、2017年からJリーグ放送のメインを、従来のテレビ波ではなくインターネット配信によって行なうことするというものです。

これを「ビッグバン」と呼ばずして何と呼びましょうや。

もちろん、これまでのスカパーにしてもNHKなどの地上波、BS放送にしても、いわゆるテレビ波の放送が全てなくなるわけではないのですが、何と言っても全試合放送あるいは全試合ライブ放送がネット配信に置き換わるという点では、テレビ波時代の終焉といってもいい出来事です。

私は、世界の主要リーグで初めてJリーグがネット事業者と主契約を結んだ点を、世界に誇れる偉業だと思います。

いまや、スポーツ観戦もビデオオンデマンドの時代です。ネット経由でパソコン、スマホでどこでも見られる、この利便性にテレビはかないません。ますますネット経由で見るニーズが高まる流れにあります。

そういった潮流を見事にとらえる形でネット事業者と主契約を結んだJリーグ、それによって得られる巨額の放送権は、まさに先行者利益に他なりません。

10年という長期契約を結ぶことによって得られるメリットは、Jリーグ側もネット事業者であるイギリスの会社も計り知れないものがあるでしょう。

Jリーグの村井チェアマンは、今後の試合の視聴形態を「お茶の間から街にでる」と評したそうです。それは、とりもなおさず、テレビという、家などに定置された装置でサッカーを見なければならない不自由さから、モバイルタイプのタブレット・スマホなどで、どこでもサッカーが見られる自由を得たという意味です。

スタジアムにwifi環境が整えば、タブレットやスマホで試合解説を楽しみ、さらにはデータを確認しながら目の前の試合を楽しめるという、これまで夢だったことが現実になります。

このニュースが発表されたことで、さっそく巨額の放送権の使い道や、現在2ステージ制になっているリーグ戦のあり方などがサッカージャーナリズムの間で議論になっていますが、いずれ収れんしていくことでしょう。

我が「サッカー文化フォーラム&アーカイブス」は、Jリーグがスタートして以来20数年、Jリーグ試合の全試合映像収録をめざしてきました。

そして、それはテレビ放送との格闘の歴史でもありました。1993年のスタートから2年間はCS放送の「スポーツ・アイ」がそれを可能にしてくれました。その後、CS放送での全試合放送が途切れ、地上波それも全国のローカル放送局が流した試合映像を求めて、全国のサポーターの協力を得ながら何年かを凌ぎました。

その後「パーフェクTV」「ディレクTV」などでの放送を経て現在の「スカパー」による全試合放送に引き継がれてきました。

それもこれも、いわゆるテレビ波による「放送」でした。これからは「ネット配信」という形態に代わるわけです。一つの時代の終わりを迎えます。

当「サッカー文化フォーラム&アーカイブス」の収録活動も、役割を終えることになるのだと思います。寂しくもあり肩の荷を下す感じでもあります。

私は、さる6月21日の書き込みで「(Jリーグにおいて)明治安田生命との契約が終わったあとの2019年シーズンには、幾つかのクラブの、いわば不良債権が表面化しないだろうか、果たして財務改善は図れるだろうか等々。その年に向けて、どう対策をとっていくか、・・・・・・」と、Jリーグの近未来に一抹の不安をのぞかせました。

しかし、今回の契約によって、2019年以降2026年までのJリーグの展望も描けることになったと感じました。

またしても村井チェアマンの先見性、経営者としての構想力を目の当たりにしました。村井チェアマンをトップにしたJリーグ経営戦略の立案・意思決定のプロセスを、なんとしても、つぶさに知りたいものです。おそらく、それらについての、幾つかのレポートが徐々に上梓されることでしょう。楽しみにしたいと思います。

この「ビッグバン」ニュースと相前後して、2つの興味深いニュースが流れました。一つは世界中の人気を集めている「ポケモンGO」のニュース、モバイルゲームアプリの新しい時代の到来と言えるニュースです。

もう一つ、ひっそりと報じられたのは「VHFビデオデッキの国内唯一の製造メーカー・船井電機が生産中止を発表」というニュースです。

まさにアナログ時代の映像をしっかり記録し続けてきたVHFビデオデッキ、いまはもうブルーレイなどのデジタル録画機器にすっかり置き換わっていますから、新規に必要なものではないのですが、ビデオテープを保有しているマニアにとっては残念な、あるいは死活問題かも知れません。

当フォーラムにも、まだ膨大なビデオテープが残っていますから再生デッキが完全になくなってしまえばアウトです。でもまあ、中古も含めて、この先何年かはVHFビデオデッキが手に入るに違いないと高をくくっています。

その間に、いわゆる「HDD化」を進めて変換を終えたビデオテープを「長い間お疲れさん」といって廃棄処分にしようと思っている次第です。

VHFビデオデッキの生産終了、Jリーグ放送ののネット配信化、この2つのニュースは、まさに時代の転換を象徴する出来事なのかも知れません。

 

コメント (5)
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