現在と未来の宇宙開発についてロケットエンジン開発者の立場で考察した本。
人工衛星から、月、惑星探査、恒星探査まで、エンジンの理論を踏まえながら
解説する。
著者は東大の現役のロケット開発者で、自分の経験も交えて詳しく説明しており、
著者は東大の現役のロケット開発者で、自分の経験も交えて詳しく説明しており、
図表等も適切に使われていて、大変判り易かった。ロケットの構造、惑星の重力と
探査機の航路の関係、スイングバイの仕組み等、言葉では知っていても、
それがどのような事なのかイメージが掴みにくいのだが、著者は事例や例え話を
上手く使っていて、自分のような素人が読んでも大変判りやすかった。
(それでもイオンエンジンの仕組み等はなかなか理解できなかったが)
人間の時間スケールでは惑星探査までが限界で、恒星になると飛躍的に
人間の時間スケールでは惑星探査までが限界で、恒星になると飛躍的に
難易度が高くなってしまう。その段階に行くには、技術的なブレイクスルーが
必要だ。以前、アメリカの未来学者の同様の著作を読んだことがあるが、
その本でも恒星探査になると現在の知見ではSF的な見解にならざるを得ないと
いうことだったが、この本の著者も同じ意見だ。
読んでみて、薄い新書でありながら内容はよくまとまっていて、この分野の入門書と
読んでみて、薄い新書でありながら内容はよくまとまっていて、この分野の入門書と
してはとても良い本だと思う。自分は50代。残された人生の時間を考えると、
人類がもう一度月に行くとか、新しい宇宙ステーションを建設するところまでは
見られそう。できれば、人類が火星に降り立つ姿を見たいけれど、
今の開発ペースでは難しいかな。