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第928話 テレワークでも「上司の背中」を見せる

2020年06月10日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

Aさん 「課長はどういうときでも、とても冷静です。他部署から難題を持ちかけられたり、部長から突発的な仕事の依頼をされたりしても、的確に対応しています。依頼されたことのすべてをそのまま引き受けたりせずに、できないことはできないときちんと伝えています。どういう状況であっても、イライラしたり、引き受けておいて後から本人がいないところで文句を言ったりせずに、冷静に対応しているところがすごいなって思います」

Bさん 「先輩の新規顧客への電話対応が、とても勉強になります。断られた際の対応がとても感じが良いので。私もあのような対応ができるようになりたいです」

これは、弊社が中堅社員研修を担当した際に、「上司や先輩から学びたいと感じている事柄」として受講者から聞いた言葉です。

新型コロナウイルスの影響もあり、ここ数か月でテレワークの導入が一気に進むとともに、そのメリットが強調されています。具体的には、通勤ラッシュから解放されたことや何といっても感染のリスクが軽減されたことなどが挙げられています。

一方、デメリットもさまざま挙げられているのですが、その一つが上司や先輩の言動や姿勢などから学ぶこと、いわゆる「背中を見て学ぶ」機会が減ったということです。もちろん、テレワークであってもオンラインで仕事の打ち合わせやミーティング、上司からの指示や部下からの報告・連絡・相談をすることはできます。

しかし、オンライン上のやりとりは特定の目的に基づいて限られた時間の中で行うことがほとんどで、どうしても限定的なものにならざるを得ません。したがって、そこからは上司や先輩の仕事に対する姿勢や、直接自分に向けられたものではない上司や先輩のコミュニケーションの取り方などを見聞きすることはなかなかできません。

近年、上司の側からは「上司の背中」を部下に見せても、それで部下が育つ時代ではなくなったとよく言われますが、実は部下は上司自身の一挙手一投足を思いのほかしっかりと見ているものなのです。部下の電話応対を聞けば上司が誰だかわかると言われるくらいに、いつの間にかものの言い方さえも似てくるという話はよく聞きます。

また、上司が窮地に立たされた際の対応は、部下にとっては特に印象的なものとして記憶されることが多いようです。おそらく、そうした大変な状況のときにこそ、人間としての本質が表に出やすいということなのでしょう。

このように、部下や新入社員の育成にあたっては上司や先輩社員の言動は大きな影響力を持っており、「背中を見せる」ことは変らず大きな意味を持っているのです。

テレワークの普及により、前述のとおり日常の上司や先輩の言動を部下や新入社員に見聞させる機会は減少傾向にあります。それがマイナスの影響として出てくるまでには少々時間がかかるかもしれませんが、いずれは顕在化されるのではないかと考えています。

それを避けるためにも、今後のテレワークのさらなる進展に合わせ、上司や先輩が「背中を見せる」ことで部下へ有形無形の刺激を提供できるような仕組みの構築が急がれていると考えています。その鍵の一つはオンラインでのコミュニケーションの取り方にありますので、どのようなモデルが作れるか、弊社でも検討を進めています。

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