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面と向かって言うのには、抵抗がある

2017年09月20日 | コンサルティング

「改善点は特にないと思います」

これは弊社が行う研修のプログラムの中で、受講者同士がそれぞれの「良い点」と「改善点」を互いにフィードバックしあう場面でたびたび聞かれる言葉です。

たとえば、スピーチやプレゼンテーションを行う場合に、事前に「より良くするための改善点」を互いに伝え合っておけば、本番での「質」を高めることができます。

このため、お互いの良い点だけでなく、改善点も必ず伝えましょうと伝えていても、受講者にとっては冒頭の言葉のように相手に面と向かって伝えることは敷居が高く感じられるようです。

そして、そのように感じる背景には様々な理由があると思います。一つには「より良くなってもらうためとは言え、改善すべき点を伝えるのだから、相手に嫌われてしまったらどうしよう」ということがあるでしょう。さらに、「そもそも自分自身が完璧にできているわけではないのだから、他者に言える立場にはない」と考えているのかもしれません。また、他者に伝えるような経験がないためにどこが良かったのか、どこが改善点なのかがわからない」という人もいます。


以上のように理由はいろいろと考えられます。実際に研修の中で受講者に聞いてみると、圧倒的に多いのが「他者に改善点を伝えること自体に対する抵抗」です。そこからは、「マイナスのことを伝えることによって相手に嫌われたら困る」ことが本音だということがわかりました。

そのようなことを考えていたところ、本日の朝日新聞の朝刊に「リアル歌会 こわいの?」という記事が掲載されていました。何が「こわい」のかと思って記事を読んでみると、そこで紹介されていたのはタイトルとは異なる現実で、きつい言葉を投げかけられる不安よりも、「批評することが難しい」ということから慣れない場で他者の歌を批評することへの恐れや、ネットではなくリアルな歌会に出たいという本音が浮かび上がったことが紹介されていました。

歌会と研修では相手にフィードバックする内容はもちろん別ものです。しかし、やはりここでも「他者に対して自分の考えをぶつけることへの抵抗」があるように感じます。

では、この抵抗感はどのようにクリアしていけば良いのでしょうか。

他者に対して批評する、自分の考えをぶつけることへの苦手意識を払しょくするためには、まずは相手の「良い点」を見つける、繰り返し伝えるなどの経験が必要だと考えています。そして、それを積み重ねることで、だんだんと相手に対して「伝える」ことの心理的なハードルが低くなって、批評や相手が改善した方がいい点についても伝えやすくなっていくのではないでしょうか。

同時に、良い点を見つけることを繰り返すことによって、相対的に改善点も見えてくるということもあるでしょう。

誰も、自分のことはなかなか客観的に見ることができません。だからこそ、他者からのフィードバックが非常に有効になります。

「面と向かって言うのはちょっと・・・」という方は、まずは相手の良い点を見つけることから始めてみませんか。

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