中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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猫型営業の時代?

2016年11月20日 | コンサルティング

「優秀な営業パーソンを動物にたとえるとしたら?」と聞かれたら、多くの人は犬と答えるでしょう。犬は飼い主に忠実で言うことをよく聞き、我慢強いというイメージがあります。まさに企業の組織構造、命令系統に馴染んで生きている感じがします。

一方、猫は気まぐれで言うことを聞かず、飼い主をせいぜい餌をくれる同居人(同居動物)くらいにしか思っていないようです。どう考えても会社員、特に「体育会系」の営業に向いているとは思えません。

犬型と猫型の営業パーソンの違いは、たとえばこんなふうです。営業部の会議の場面を思い浮かべてください。

課長 「来期の個人別の売上目標は資料に書いてあるとおりだ。みんな頑張って必ず達成してくれ。」
犬型 「はいっ、頑張ります!毎月100件訪問します!」
猫型 「私の目標数字が大き過ぎると思いますが、頑張ります。」
犬型 「おい、猫田。もっと気合の入った言い方はできんのか?」
猫型 「犬山先輩、自分には自分のやり方がありますんで。」
犬型 「じゃあ、どうやるんだよ!具体的に言ってみろよ。」
猫型 「お客さんも色々ですから、そこは臨機応変にやりますよ。」
犬型 「なんだそれは?大体おまえはいつも報連相が・・・」
課長 「まあ、まあ。やり方は任せるから目標必達で頼むよ。」

犬型営業パーソンはとにかく全力で仕事に向かいます。スタートと同時に走り出して止まらないスタイルです。一方、猫型営業パーソンは、あくまでもマイペースです。しかし、ぼーっとしているわけではなく、獲物を見つけるそっと近寄ってチャンスとみれば一気に仕留めます。

組織よりも個人としての成果を第一に考える猫型ですが、裏を返せば、自分のスキルを高めることを重視しているといえます。私の知る数少ない猫型営業パーソンは、組織に対する忠誠心はあまりないのですが、能力は抜群に高かったように記憶しています。

最近、働き方改革というかけ声のもとに、無駄な長時間労働を撲滅しようという動きがあります。大手企業の多くはそうした世間の風潮を気にしてか、全館一斉消灯やノー残業デーを実施しています。

しかし、仕事を家に持ち帰って「家庭内残業」に励んだり、「自主的に」早朝出勤したりといった、マイナスの話しか聞こえてきません。営業に限らず犬型社員が多いというのは、企業という組織の特性なのでしょう。

したがって、企業が組織として目標数字を掲げている限り、組織に忠実な犬型社員の働き方は変わらないと思います。

少し過激ですが、犬型組織の典型である営業部のメンバーの半分以上を、思い切って猫型社員にしてみてはどうでしょうか。もちろん失敗する可能性はありますが、上手くいけば企業の体質が変わり、ワーク・ライフ・バランスが実現できると思います。

時代はすでに猫型に向けて動き出している・・・のかもしれません。

(人材育成社)