中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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女性社員の育成をあまり急ぎ過ぎないでほしい 

2015年02月11日 | コンサルティング

「女性の活躍推進が求められていますから、次年度の管理者研修のプログラムにその内容を一部取り入れてほしいのですが」「女性社員の育成は急務なので、上司の意識や行動を変えさせたい」

これらは、今後実施を予定している管理者及び監督者研修に関する、研修の担当者からいただいた要望です。

これを受けて、「では、具体的に女性にどのような場面で活躍してほしいと考えていらっしゃるのですか?」と伺ってみると、「具体的には・・・、まだ考えていません」といった答えが返ってくることが結構多いのです。

また、別の企業では中堅の女性社員に対して、キャリア研修をはじめとする長期間の研修を唐突に課したり、女性社員の能力や意欲を測るために役員の前でプレゼンさせることを始めたところもあります。

つまり、これまで男性社員が10年くらいかけて行っていた研修を、一気に短期間で受講させてしまおうというわけです。

これら一連の動きを見て感じるのは、世の中の女性活躍推進の動きに対して、「自社が遅れをとってはならない」と少し慌てているのではないかということです。

何をどうしたらよいのか、具体的な方向はまだ決まっていないけれど、とりあえず世間の女性活躍推進の流れに対して、会社としてもちゃんと手は打っていますよ、というメッセージを伝えたいという気持ちだけが先行してしまっているのではないだろうかと思えるのです。

もちろん、今後女性社員がさらに活躍できるように、管理者や監督者に意欲的に育成を心掛けてもらうことは必要なことだとは思いますが、しかし、それらは何も女性に限って必要なことではありません。

また、集中的に研修を行うこと自体を否定するものではないのですが、やはり人材の育成は一朝一夕でできるものではないと感じています。

今後、女性社員が管理職として活躍できるようにするためには、短期的な視点ではなく、中長期の視点からの育成が必要なのではないでしょうか。

ですから、中堅の女性社員に対しては、いずれ管理者にすることを想定しておき、あらかじめ少しずつ経験や活躍の場を与えていくことが必要だと思います。

こうしたことのないまま、先に女性管理者の数値目標だけを決めてしまい、あとから慌てて管理者にするようなことでは、まだ準備ができていない女性社員までも昇格させてしまうことにもなりかねませんし、せっかく昇格しても、もし準備不足のために失敗するようなことが起きてしまえば、「やっぱり女性はだめだ」などと、旧来の考え方に逆戻りしてしまう可能性も否定はできません。

これでは、失敗は本人の責任だとは言えないと思いますし、むしろある意味では被害者とさえ思えてしまいます。

女性の活躍推進はとても大切なことですし、必要なことです。

しかし、だからこそ、女性が長期的に活躍できるように、じっくり腰を据えて取り組んでいくことが求められているのだと思います。

(人材育成社)