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「すみません」と「ありがとう」 どちらを使いますか?

2014年03月05日 | コンサルティング

「どうもすいません」

1960年代から70年代にかけ、爆笑落語で人気を博した昭和の爆笑王 初代林家三平師匠の決め台詞です。額にゲンコツをかざして使われたこの言葉、憶えていらっしゃる方も多いと思います。

この「どうもすいません」には何ともいえない親しみが感じられ、当時の私はとても好感を持って聞いていました。

ところで、ここ最近は「ありがとう」と「すみません」という二つの言葉のうち、どちらを使うべきか考えることがよくあります。

例えば、訪問先でお茶を出された時に「ありがとう」と言うのか、それとも「すみません」と言うのか?

また、自分がお茶を入れた時、相手から言われる言葉としては「ありがとう」と「すみません」のどちらを言われた方がより嬉しいと感じるか?

「ありがとう」も「すみません」も相手の行為に対する感謝の言葉として使われますが、私自身は言うのも言われるのも「ありがとう」の方がしっくりとしますし、嬉しく感じます。

しかし、弊社にお客様がいらっしゃられ、お茶をお出しした際にいただく言葉は「すみません」の方が圧倒的に多く、使われる頻度で考えると「すみません」に軍配が上がるようです。それはなぜなのでしょうか?

以前、日本に長く暮らしているアメリカ人から「日本語の『すみません』になかなか慣れることができません」と言われたことがあります。感謝もお詫びもすべて「すみません」なので、どの意味の「すみません」なのか判断が難しいとのことでした。

そこで、英語ではどのように表現するかを確認したところ、

「ありがとう」→ 「Thank you 」

「すみません(お詫び、謝まる)」→ 「I’m sorry 」

「すみません(会話の邪魔をする時、会話が聞こえない時、人ごみを掻き分ける時、人前でくしゃみや咳をしてしまった時)→ 「Excuse me」

となります。

日本語では「Thank you 」も「I’m sorry 」も「Excuse me」も、「すみません」で済ますことができます。

コンテクスト(文化・風土・価値観)を共有していれば同じ「すみません」でも、使われる背景によりどの意味で使われたのか容易に推測がつきます。しかし上記のアメリカ人のようにコンテクストが共有されていないと、場合によっては違った意味合いにとられてしまい、誤解を招いてしまうケースがでてきてしまうのです。

また、日本では時に「すみません」と言いつつ、曖昧な「笑み」を浮かべてしまうこともあります。お詫びの意味で「すみません」と言っているはずなのに、表情が一致していないととられかねないことになってしまっているのです。

「アルバートメラビアン」の法則では、表情と言葉が一致していない時には、非言語の方がコミュニケーションに与える影響が大きいという調査結果もありますから、この意味でも言葉と表情で誤解を招かないように注意しなければなりませんね。

そして、これらの問題はコミュニケーションという意味では外国人に対してだけでなく、同じ日本人に対してもありえることではないでしょうか。

言葉は「言霊」と言われるくらい大切なものですから、気持ちをしっかり伝えたい時にはぴったりとあった言葉を使う、そして言葉の内容と表情を一致させることを常に意識することが大切なのではないかと感じています。

(人材育成社)