中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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フィードバックがもたらすもの

2013年12月18日 | コンサルティング

提案件数、毎年約4万件。

先日、このブログで紹介した小林製薬の信賞必誉制度によるアイディア提案、改善提案の件数です。

つまり、2,204名の社員が毎年1人当たり平均18件の提案をしていることになります。

こうした提案制度を設けている企業はたくさんありますが、制度の維持・継続は決して簡単ではないようで、「提案締切日になっても提案が全く集まらない」というのは、よく耳にする話です。

制度のスタート時は、物珍しさもあって提案がたくさん集まったけれど、だんだんとジリ貧になり「どうしたら提案が集まるのだろう」と担当者は頭を悩ませるようです。

そうした話を聞くことが多い中で小林製薬のこの提案件数、実に素晴らしいことだと思います。そして、何がこの提案へのモチベーションになっているのか、とても気になっていました。

先日の講演でお聞きしたところでは、約4万件の提案全てにフィードバックをしているとのことでした。フィードバック(feedback)とは、返事・反応が戻ってくること、自分の働きかけに対して相手から返信があるということです。

これが小林製薬の提案制度の秘訣であり、社員にとって次なる提案への意欲につながっているのではないかと思いました。

提案をしても何の反応も返事もなければ残念に感じますし、自分の提案はどうなってしまったのだろうと気になります。「ちゃんと見てもらえたのだろうか?」と不安にもなります。

一所懸命提案したのであればあるほど、どこが良かったのか、あるいは悪かったのか、どこを改善すれば良くなるのかなど、余計に気になります。

小林製薬が行っている約4万件もの提案に対し全てにフィードバックをするのは、決して簡単なことではないはずです。一件一件読み込んで、一つ一つにきちんと答えていく。

これは大変な作業だと思いますが、それが「あったらいいな」の製品化にもつながっているのでしょう。提案した側から考えると、たとえ自分の提案が通らなかったとしても、反応があるからこそまた提案しよう、頑張ろうと考えるでしょう。

そして、職場の人間関係も実はこれと同じことではないかと思います。

よく部下からの「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)が少ない」と嘆く上司がいますが、そういう人はフィードバックをどうしているか、チェックしてみる必要がありそうです。

部下にとってみれば、自分の働きかけに対して上司から「なしのつぶて」では張合いもなくなります。

報告がない、提案がないと嘆いている方はぜひ一度、「自分はフィードバックをきちんとしているだろうか」と振り返ってみることをお薦めします。

(人材育成社)