ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ 

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最小・最強の県庁

2010年07月08日 16時32分09秒 | 県全般

最小・最強の県庁

上田清知事のかけ声の下、県は日本で「最小・最強の県庁」を目指している。

知事の毎月の15年5月のコラムを見ると、県民1万人当たりの職員数は11.0人、全国平均の約半分で、全都道府県の中で最少だ。

喜ばしい限りである。

県職員の総数は同じ時点で6万2479人。県職員は一般行政部門(知事部局)に1割を超える6740人いるほか、教育部門に約4万人、警察部門に1万2000人、それに病院など公営企業部門に約2500人というのが、大まかな内訳だ。

県職員の中で、約3分の2を占める教育のほか警察、消防部門は、国が定員に関する基準を幅広く定めているので、県では手が出せない。つまり、県ができる範囲内で一般行政部門の職員の削減に努め、その結果が「全国最少」になったというわけである。

県職員の総数は、条例定数を約6500人下回っているというから、「よくやった」と拍手したい。知事は「任期中に3000人の職員を削減させた」と述べている

県には出資している指定出資法人が23ある。

埼玉新都市交通(大宮からのニューシャトル)、(浦和美園駅が終点の)埼玉高速鉄道、芸術文化振興財団、国際交流協会、社会福祉事業団、農林公社、土地開発公社、住宅供給公社、公園緑地協会などである。

このような法人を「すぐれた経営体にする」という方針で県が改革を進めている。法人の自主性・自立性を高めていくため、派遣職員の削減、県からの財政支出の削減を図ろうというものだ。

その結果、14年度の県派遣役職員数は03年度に比べ、人数で149人、率で56%の大幅な削減を実現した。天下りも原則廃止したと知事のコラムに書いてある。

14年度予算で出資法人への委託料や補助金の総額は、03年度の439億円から100億円減らした339億円で、削減率は約23%となっている。

こうした経営改善の結果、「さいたまアリーナ」は06年度から黒字経営に転換、12年度には県に約6億3300万円を納付するまでになっている。

「さいたまアリーナ」は、施設は埼玉県が所有し、第3セクターの株式会社さいたまアリーナが指定管理者として、管理運営している。新都心で最も親しまれている施設で、スポーツ、コンサート、講演会、見本市会場、さらにはツールドフランスに至るまで、最大3万7千席を使用できる国内最大級の多目的ホールだ。

浦和競馬も年間23億円の累積赤字を解消し、3億円を県とさいたま市に納付できるようになったという。

ところがである。人件費の削減がこのような形で進んでいる最中、県庁の税務課の主査が11年に、年間2017時間残業し、約740万円の時間外手当を受け取っていたことが明らかになった。

「県庁に住み込んでいるのか」という批判の声も上がった。それも一人ではない。職員一人当たり平均残業時間は135.6時間というから異常な数字だとすぐ分かる。

また、総務省の13年4月時点の公務員の給与状況によると、国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の水準を示す「ラスパイレス指数」は、埼玉県は109.4、都道府県別では全国5位だった。14年4月時点では、101.6で7位に下がった。