おダンゴヘアーの謎

　妻から教わるまで、アタシは「レギンス」なるものを知らなかった。

　彼女がこれを欲しいと言った時、「ラッシャー木村の跡を継ぎたいということでもない限りやめてくれ..」という、かなり強硬な意見に対し、これは外出用ではなく、あくまで室内における実用品なのだという主張によって、妻はターゲットで二つも買っていた。

　ところが、このレギンスと短パンが、今、若い女の子たちの間でブームなのだと言う。しかも頭は“おダンゴヘアー”で、足元は“怪獣ブーツ”。おまけにタヌキみたいなシッポまで付いている。

　おダンゴヘアーとは、無知なアメリカ人に日本人女性を無理矢理ビジュアライズさせた場合に出てくるヘアースタイルのことである。確かに、戦後間もない映画における日本人女性の設定は、すべからくキモノ姿に箸付きのおダンゴヘアーであった。

　この妙チクリンなスタイルが、21世紀の日本に復興しようとは、いったい誰が予想し得ただろうか？

　ちなみに怪獣ブーツとは、キッスのジーン・シモンズのことではなく、モコモコと毛が生えた獣のようなブーツのこと。タヌキのシッポはキーチェインが付いたアクセサリー。未だ残暑が厳しい東京の街で、この姿の女の子を見つけるのに5分とかからないそうである。

　これは彼女たちの変装願望 （こまわり君のような？） なのか、実際にこのようなファッションに引き付けられる男が実在しているのか？この辺りについては、もはやアタシの類推範囲を大きく超えている。

　本当に何が起こるか分からない世の中である。



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