家庭での事故を中心に,全国で1年間に1万人以上が入浴による事故で亡くなっているという。交通事故による死者数よりはるかに多いらしい。
12月8日の産経新聞,特集記事から抜粋。
60代以上は要注意
大半は心筋梗塞や脳梗塞
高齢者のための安全入浴法
① 温度が42度以上の湯には入らない
② 飲酒後は入浴しない
③ 朝の入浴は避ける
④ 入浴前後には水分を補給する
⑤ 入浴の水位は胸までにする
⑥ 更衣室と浴室の温度差をなくす
⑦ 入浴の際は家族に知らせる。1人では入浴しない
⑧ 家庭での入浴では浴槽のふたを体の前に置き,おぼれないようにする
(記者が日本温泉気候物理医学会理事の倉林均 埼玉医科大準教授に取材)
年末から年始にかけて,忘年会,新年会,家族旅行と温泉宿に行くことが多い。その時の注意事項をいくつか。
重症の心不全や皮膚病,気管支ぜんそくなどの治療に効果を発揮する温泉だが,人体に及ぼす作用から入浴事故につながる可能性があるという。
特に気をつけなければならないのは,60代以上の年齢層で,動脈硬化に起因する心筋梗塞や脳梗塞が入浴に関係する事故の大半を占め,この世代がこうした病気を発症しやすい年齢に該当する。
お年寄りになるほど熱いお湯を好む人が多いが,湯の温度が高いと血小板が活性化されて血管内に血栓ができやすく,脳梗塞などにつながる。
鍋料理に温泉,熱燗は日本の美しい冬の文化だが,酒と入浴は血管拡張と利尿の2つの作用が重なる。血管が拡張して血圧が下がり利尿で血液が濃縮すると,脳の血流が下がり血液が固まりやすくなって非常に危険である,という。
この時期の温泉旅行は強行日程になりがちで,旅館に着いてすぐ風呂に入るケースも多いが,脱水状態になりやすく血栓症を引き起こす引き金になる。
「温泉に急いで来て,急いで入って,急いで帰るのは,急いで天国に行くことにつながる」という。
朝風呂についても,
午前4時から8時の間は,人間にとって一番弱い時間帯で救急車の出動も多い。この時間帯に高い温度のお湯,水圧などの負荷を掛けるのは良くない。睡眠から覚醒にスイッチするまで,1時間ぐらいボーとして入浴せよ。