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今日(12日)の新聞から

2008-11-13 01:06:05 | 私見
       毎日新聞『余録』

 人間が一番いい加減な金の使い方をするのは他人の金を他人のために使う時だ・・・・そう指摘したのは先年亡くなったノーベル賞受賞経済学者のM・フリードマンである。昨今はとかく評判の悪い市場競争万能の経済思想の大御所だが,この指摘は鋭い。
 自分の金を自分のために使う人は節約と効率の双方を心がける。自分の金を他人に使う時は効率に関心が薄くなる。他人の金を自分のために使う際はあまり節約しない。他人の金を他人のために使う人は節約も効率も考えないというわけだ。
 他人の金を他人のために使うのは役人だ。フリードマンは「大きな政府」のムダを突き,80年代からの市場競争重視の政策潮流をリードした。だが時代はひと巡りし,その市場の暴走が招いた経済危機への政府の対応が問われる今日である。
 当然ながら政府の金の使い方にいやでも注目が集まるところに飛び出たのが,麻生政権の2兆円給付金だ。だが「全世帯給付」「所得制限すべきだ」「窓口は対応不能」「金持ちは辞退しろ」などすったもんだするうちに,6割がそんな政策は「不要」という世論調査結果まで出た。
 結局きょうにも固まりそうなのは,所得制限を設けずに高額所得者には受け取り辞退を促すという前代未聞の「制度」である。支給の際の混乱も懸念されて当然だ。どだい他人の金をばらまく政策に,効率や節約の真剣な検討は無縁だった。
 「政府よりは上手に使ってやる」と支給を待つ方も多かろうが,巨額の給付費用も国民払いだ。市場が失敗したからといって,その分政府が賢くなるわけでもないらしい。天国のノーベル賞学者の高笑いが聞こえそうで情けない。

 毎日新聞の『余録』をそのまま転載させて貰いました。
ただこの中には一部誤植があるようです。
第3段落,
「他人の金を他人のために使うのは役人だ。」
少なくとも次の一文を追加してほしかったです。
「ただし,日本の役人は他人の金を自分のために使う」