それはまた別のお話

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「461個のおべんとう」

2020-11-11 | 映画
バンド「TOKYO No.1 SOUL SET」の渡辺俊美のエッセイ「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」を実写映画化。離婚した主人公が高校生の息子のためにおべんとうを作り続ける。ミュージシャンの父を「V6」の井ノ原快彦、息子を「なにわ男子」の道枝駿佑が演じた。『キセキ -あの日のソビト-』などの兼重淳がメガホンを取り、原作者の渡辺が音楽を担当している。

タイトルを読めばだいたいのことは解ってしまう映画ってありますよね。
正にその通りの映画でした。
そもそも「これはお弁当についての話でそれ以上でもそれ以下でもありません」という台詞が冒頭と最後で念押しされるので納得するしかありません。

ミュージシャンである父親は離婚のことで息子に負い目があるものの、毎日のお弁当作りは決して罪滅ぼしではない。
嬉々としてお弁当グッズを買いそろえることも、朝帰りだろうが二日酔いだろうが意地になって作り続けることも、それは「3年間毎日作り続ける」という約束を守りたいだけのこと。
でもそれが、この映画のキモなんだと思います。
ここで「オマエのために作ってるのに!」と恩着せがましくしたら台無し。私が息子だったらお節介にウンザリして口も利かなくなるでしょう…

息子は高校浪人して当初は周りに馴染めなかったものの、徐々に恋心に目覚めたり友達を作ったりする。
でも…劇的に成長するわけではない。
お弁当に添えられたメモも人生訓を語るわけではないしね。

この父親が素晴らしいと思うのは、取り繕うことなく自分の背中を見せていたことかな。
仕事に真摯に向き合うこと。
面倒くさいお弁当作りも楽しんで取り組むこと。
息子に過度の期待も介入もせず、ただ無言で見守ること。
実際に毎日お弁当を作ってきた立場からすると「調理は40分以内 / 予算は300円 / おかずは材料から作る」という縛りがどれほど大変なことか。
(特に全て材料から作っているって凄い。一品は冷凍食品になりがち)

地元が舞台だったので鎌倉七里ヶ浜から海を臨む風景が楽しめました。
鎌倉広町緑地から七里ヶ浜駅へ向かう道、私も大好きです。
あと音楽が凄く良くて、バンドメンバーにKREVAさんを配置したのも素晴らしい!
1曲まるっとKREVAさんヴォイスが聴けて嬉しかったー。
息子役の道枝くんには「細っ!」としか思えなかったけど(無茶なダイエットはヤメレ)繊細な雰囲気が出ていて良かったです。
コメント
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