長年世界中で愛されている、マイケル・ボンドの児童文学「くまのパディントン」を実写映画化。見知らぬ国にやって来たクマが親切な家族と出会い、パディントンと名付けられて新しい冒険に乗り出す姿を映す。『ハリー・ポッター』シリーズなどのプロデューサー、デヴィッド・ハイマンが製作を手掛け、『追憶と、踊りながら』などのベン・ウィショーがパディントンの声を担当。キュートな主人公の活躍が老若男女の心をわしづかみにする。
「くまのパディントン」。小さい頃に夢中になって読んだ大好きな本です。
福音館書店のハードカバーは今でも本棚の隅にあり、亡き母がロンドンで買ってきてくれたぬいぐるみは、大切な宝物です。
私はこの本のおかげで、イギリスの文化に触れることができました。
イギリスでは朝ごはんに何を食べるか、クリスマスプディングのなかの銀貨の意味、12ペンスで1シリングになるお金の単位、11月5日のガイフォークス・ナイト。
子供はみんな学校は寄宿舎に行き、長い休みのときだけ自宅に帰ること、おうちにはメイドがいること。
階級社会という言葉をここから学びました。
本の初版から50年以上経過していますが、映画では設定が現代に置き換えられています。
ブラウンさんの奥さんは仕事を持ち、メイドのバードさんは親戚ということになっています。
ジュディとジョナサンは家から学校に通い、そこでは肌の色の違う子供が一緒に勉強をしています。
それでも、本の中にいたパディントンのキャラは全く変わらない。礼儀正しいって言っているけど、向こう見ずででも憎めなくて、本当にカワイイ。
簡単な線画でしかなかった本の挿絵のパディントンが、色がついてモフモフになって目の前に現れたときの驚きといったら!
ちょっと涙が出てしまいました。
隣の家に住むケチで嫌味なカリー氏、ポートベロ通りの骨董店のグルーバーさん。一緒に11時にお茶を飲むんだよね。
原作にある登場人物をそのまま登場させてくれるけれど、映画のストーリーはほぼオリジナルと思われます。
それは映画の中でしか表現できないものでした。
わっかりやすい悪役がわっかりやすい方法でパディントンの命を狙い、わっかりやすい展開で危機一髪で危険を回避する。ミッションインポッシブルやBORN TO BE WILD、世界中誰でも知っている音楽が使われる。でもこれが水準高いCGで描かれ、洪水の様子もマーマレードのとろみもド迫力。
私の隣の席で映画を観ていた幼稚園ぐらいの男の子は「あぶないよ!ああーまずい!そっち行ったらダメ!」と画面に向かって叫んでました。これでこそファミリー映画だよね。(今回は吹替版で観ました。ブラウン氏の吹替えに古田新太が起用されていたのに納得)
期待を裏切らない、大人の鑑賞にも十分な作品でした。
…本の中のバードさん名台詞「クマはコマらないようにできているんですよ」が聞きたかった気もするけどね。