シス・カンパニー公演 「ロンサム・ウェスト」 5/19(月)マチネ 新国立劇場小劇場 D6列下手
【 作 】マーティン・マクドナー
【翻訳・演出】小川絵梨子
【出演】 堤真一 / 瑛太 / 木下あかり / 北村有起哉
物語は、コールマン(堤真一)とヴァレン(瑛太)のコナー兄弟、ウェルシュ神父(北村有起哉)、ガーリーン(木下あかり)という少女の4人だけの登場人物で展開。 アイルランドの西の涯の田舎村リーナンに住むコナー兄弟が、父親の葬儀を終えてウェルシュ神父と共に戻った場面から始まる。この兄弟はどちらも独身で、とにかく仲が悪い。それも食べ物や酒のことなど些細なことが発端で壮絶な喧嘩を繰り返している。この地に派遣され、まだ村の生活や人々になじめない神父は、おろおろするばかりで仲裁さえできない始末。
しかも、父親の死にも平然としている兄弟どころか、この村には、ほかにも肉親殺しがいるという噂…。
神父は村の殺伐とした現状に何もできない自分の無力さを嘆き、何かというと酒を手にするようになり、今ではすっかりアル中気味。
そんな救いがたい男性たちに対し、ガーリーンという少女は酒の密売で稼ぐしっかり者の17歳。可愛らしい容姿なのだが、言動はがさつであばずれ風で、何かと気弱な神父をからかったり、つっかかったりしながら神父にまとわりついている。
やがて、この最果ての地で、ウェルシュ神父は、ある決意を秘めた手紙をガーリーンに託す。
コナー兄弟のもとへと届けられたウェルシュ神父の決意は、このどうしようもない兄弟の胸に届くのだろうか・・・・(公式サイトより)
(以下、ネタバレしております)
上記のあらすじだけ読んで行きましたが、、、
「あれ?どっかで見たようなストーリーだけど?」という疑問が沸々と。
調べるまでもなく、2012年シアタートラムで観た「TOPDOG/UNDERDOG」(→私の観劇記録はここ)と似たようなお話。
ただ前のTD/UDに比べて、この兄弟の喧嘩のネタがハンパなくくだらない。
ポテトチップスの袋ネタはもう爆笑でした(そりゃくだらないけど、ポテチ好きからしたら最大の嫌がらせ)
口喧嘩だけでなくて本気の取っ組み合いまで。
年齢設定がよくわからないけど(20歳を過ぎて…という台詞はあったような)、
相手を小馬鹿にする口調や「とっておきネタ」を徐々に暴露していくあたりは小学生レベル。
そしてもうひとつ、今回は兄弟の他に他者が絡むこと。
最初からウェルシュ神父は兄弟の間にずけずけと立ち入ります。
幼い頃から彼らを見守ってきた立場として至極真っ当な言葉を吐くが、実はもう見放している。
「神父さま彼らをお救いください」と観ている私たちも願わずにはいられないのに、
でも、神父さまがあんなことになるのはある程度予想通りだったりして。
…という救いのないお話ですが、そのブラックで辛辣な台詞がすごく笑えました。
ホントにエゲツないことしているのに、なんだかワクワクしてくる。
アイルランドの田舎町が舞台で、閉塞感がいっぱいなんですが、
その部屋の中を隠しカメラでのぞき見しているようなイメージ。
女性週刊誌的な興味本位な気持ちで。
ラストシーン直前、二人は武器まで持ち出し兄はライフルの銃口を弟に向けるのですが
そこに殺意はあったのかなかったのか。
あってもなくても、きっとこの二人はずっとこうやって喧嘩し続ける、永遠に。
堤さん目当てで見に行きましたが、瑛太さんの明快でくっきりとした口調がよかったです。
薄い髭面で、「とっぽい」という言葉が似合いそうな風貌もステキ
北村さんは最初っから疲れた表情で… うーん、なぜ神父さまが入水せねばならなかったのか、
それがこの作品の不条理さなのかな。
印象が薄かったガーリーンの立ち位置とともに、「あーわからない」と少し拒否感を覚えました。