イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

一日暮らし

2009年03月29日 22時40分55秒 | Weblog
僕が住んでいるのは西東京市と武蔵野市の境目で、住所としては西東京市なんだけど、家のすぐ前の通りの向こうは武蔵野市。ベランダから見える借景はすべて武蔵野市なのだ。たまに、国境沿いに住んでいる人たちの気持ちをなんとなく想像したりする。

図書館も西東京市と武蔵野市の両方を利用している。今日は武蔵野市の図書館に散歩がてら行ってみた。いつもは吉祥寺方面にある中央図書館にいくのだけど、今日は気分を変えたかったので、武蔵境の駅前から徒歩10分くらいのところにある図書館に行くことにした。駅前をぶらっとしてから、地元なのにほとんど歩いたことのない道を行く。こじんまりして、いい図書館だ。2Fに上がってみたら自習室があった。かなりの座席数があるけど、ほとんど埋まっていた。日曜日なのに、みんな勉強したり、仕事をしたりしているのだ。僕も頑張らなくては。仕事の資料を読んだりするときに、利用してみよう。緊張感があって、はかどるかも。貸出限度いっぱいの10冊を借りる。

駅の南口にお目当てのラーメン屋があったのだけど、準備中だった。残念。このラーメン屋さんの隣は古本屋だ。間取りと言い、本の質といい、足の踏み場もないくらいうず高く本が積まれているところといい、すごく典型的な、「ザ・古本屋」みたいな店だ。ラーメンのうっぷんを晴らすべく、店内に足を踏み入れる。とんでもなく古い本に、とんでもなく高い値段がついている。本来、古本屋というのはこうした本当に古くて価値のある本(絶版になった本とか、全集とか)を買うところなのだ。とはいえ、僕はそういうオーソドックスな古本には手が出ない。せいぜい古くて20年前の本。1冊購入。

『一日暮らし』水上勉

「たった一日でよい。あすも、あさっても生きたいと思うから、この世がめんどうになる。今日一日を何とか、人に厄介をかけず、健康ですごせたらと、そればかりの工夫なら、あてがはずれても一日のことだから、雨でも嵐でも、まあ辛抱できるというものだろう」(書き出しより)

禅の境地。今日は特に、これからの自分のことばかりを考えながら歩いていたので、逆にこの水上さんの言葉にぐっとひきつけられてしまった。今の自分の置かれた立場を思えば、明日のことを考えずにはいられない。だけど、必要以上にポジティブになろうとしたり、あれこれ悩んでもしかたないのだ。今日一日のみ、の気持ちも大切にしなければ。翻訳の仕事には納期がつきものなので、どうしても先のことを考えてしまう。でも、明日に不安を残さないためには、今日しっかり仕事をするべきなのだ。

先日発見した、オープンまもない駅前の『餃子の王将』に乗り込む。ラーメン、チャーハン、餃子のセット。店内は思っていたよりもかなり広い。店員も10人近くもいる。ものすごく繁盛している。店員の人たちも、開店したばかりだということもあるのだろう、すごい緊迫感を持って仕事をしている。次から次へと来る客をさばき、料理を作るのに必死だ。このテンションで、1日働くのは、ものすごいエネルギーを要することだろう。仕事とはかくも厳しく、真剣なものなのだ。僕も頑張らなくては、とここでも激しく思った。1ワード翻訳するのに、この店の人たちが餃子1個つくるだけのエネルギーと真心をこめるつもりで、頑張ろう。

来週からまた新しい一週間が始まる。フリーになって半年。季節は春。いろんな意味で、新しい区切りをつけて、新たな一歩を踏み出すときだ。図書館、古本屋、ラーメン屋。いつもと行動パターンはまったく変わらないけど、新しいお店に入って、あらたな気持ちを自分に注入できた。小さな一歩ではあるけど、少しずつ、新しい今日、新しい明日を作り始めていこう。

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