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疑似科学入門 (岩波新書 新赤版 1131)
池内 了
岩波書店

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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

ふだんなら紹介することのない本を紹介します。
その名は、『擬似科学入門』(池内 了著、岩波新書、700円+税)。著者は天文学者(宇宙物理学、科学・技術・社会論が専門)。

著者は、「あとがき」に次のように書いています。

通常、「○○入門」とすれば、ある習得すべき事柄への初習者のための本なのだが、むろん本書は擬似科学に入門するという意味ではない。擬似科学の手口を入門風に洗い出しながら、その弊害や社会的な影響を基本から論じることを目的としている。本当は「擬似科学の社会学」としたかったのだが、社会学に関して素人の私だから、そう名付けるのはおこがましい過ぎるというものである。

「はじめに」でも「科学を仕事とする人間として、科学を装った非合理に対して黙って見ておられない場面もある。それによって人生を棒に振ったり、財産を失ったり、果ては命を失なったりする人が多いためだ」と憤る著者は、疑似科学を次の3種に分類し、正しく疑う心などの大切さを力説します。

1.第1種疑似科学
・現在当面する難問を解決したい、未来がどうなるか知りたい、そんな人間の心理(欲望)につけ込み、科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの
・占い系(お神籤、血液型、占星術、幸福グッズなど)、超能力・超科学系(スピリチュアル、テレパシー、オーラなど)、「擬似」宗教系がある。

2.第2種疑似科学
・科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので、科学的な装いをしていながらその実体がないもの
・ゲーム脳、水の記憶、クラスター水、マイナスイオン、活性酸素、フリーエネルギー、波動などがある。

3.第3種疑似科学
・「複雑系」であるがゆえに科学的に証明しづらい問題について、真の原因の所在を曖昧にする言説で、疑似科学と真正科学のグレーゾーンに属するもの
・環境問題、電磁波公害、狂牛病、遺伝子組み換え作物、地震予知、環境ホルモンなどがこの範疇に入る。

以上のように書くと、著者がバサバサ切って捨てる人のような印象を持つかもしれませんが、明らかに科学的におかしいものと、科学としては否定できないが、まだ理論や手法が確立せずデータの集積も不十分であるような科学(これを著者は「未成熟科学」と呼ぶ)とを識別にするほか、心理学にも造詣が深く、擬似科学に騙されやすい人に対する警告してやむにやまれぬ気持ちでこの本を書いたことが明らかです。


以上を概説とし、詳細については、後日触れることにします。

概説だけでは語りつくせないくらい学びの多かった本でした。



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