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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

『疑似科学入門』の本の詳論第3回目です。

今回は、私がこの本から学んだ最大のポイントについてです。

それは、「現代科学には、有効性を発揮している得意な分野ばかりでなく、明確な判断を直ちには下せない不得意な分野がある」から始まる第4章「科学が不得手とする問題」でした。

私なりに要点をまとめると、以下のようになります。

1.「要素還元主義」の科学
①人工衛星や電子の運動など、系が単純なため理想状態を扱える場合で、確立した物理学の法則をそのまま適用することができ、これによってロケットや加速器などの巨大な装置であっても間違いなく動かせることができる。
②系を構成する各要素(あるいはより根源的なもの)に分解し、それを理想状態において徹底的に調べ上げれば全体が把握できるケース。
③より単純化することによって支配する法則も純粋な形で取り出す(適用する)ことができ、より理解しやすくなる。
④これは、分析的手法とも言われ、近代科学が成功してきたのはこの手法が力を発揮したためである。

2.「複雑系」の科学
①気象や気候変動、環境問題や生態系など、系を構成する要素が数多くあり、それぞれの要素が複雑に絡み合っていて解きほぐすことができなかったり、集団として新しい運動が発生したりするため、各要素を理想状態として単独で取り出すことが不可能な場合。
②個々の要素に分解してそれぞれを詳しく調べても全体を再現することができないため、要素還元主義が通用しない。あるいは、初めは小さなゆらぎであっても時間とともに系の挙動を左右するくらいに発達する場合があって、小さいからとして単純に切り捨てることができない
③このアプローチのためには、全体を総合的に見る観点が必要。
④気象や気候変動、環境問題や生態系など、私たちの周辺のマクロな現象にはこの種の問題が多く、まさに「複雑」だとして後回しにされてきた。

著者は、最も身近で最も解決が困難な複雑系は人間、として次のように記しています。

脳や体の機能や遺伝形式など、物質系としての人間の複雑さもあるが、「心」を持ち、それがさまざまにゆらぎ、その上肉体に影響を与える(逆に肉体は「心」に影響を与える)という意味で、通常の無機的自然とは大きく異なった複雑さを持っている。


私は、人間の心のメカニズムを「複雑系」と捉えることに反対です。


その根拠は、要素還元主義でも複雑系でも説明できない人間の「心」を解明した人が私たちの身近に存在していることを知っているからです。

その人の名は、

アルフレッド・アドラー




<お目休めコーナー> ご近所の庭に咲いていた
朝顔(1)




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