遠き日の破滅派いずこ桜桃忌 鯨児
十薬に梔子の香庭の面
畑道を雲低くして梅雨半ば イヨ
雨止みてせせらぎ音頭蛍舞う 〃
納涼やしたたかに凛と咲く花よ 洋子
大粒の雨がきそうよカンナ咲く
梅雨晴間月星日の出光りけり 黄玉
道をしへ仙厳園の観音岩 〃
手擦る蠅兵器産業見本市 炎火
紫陽花やビルエバンスの前頭葉
かの笑顔置き六月の風となり 沙会
今年又ここで紫陽花待ってます 〃
紫陽花や変わりゆく夫いとおしむ 稱子
合歓の花夫の笑顔のあればいい
暁闇の静寂を開く杜鵑 豊春
蛍火の残像追ひし子等の声
風鈴屋色とりどりの風を呼ぶ 薪
夜盗虫朝のベランダ動悸打つ
安曇野の風に吹かれて納涼かな まり乎
神田川橋まん中の夕納涼
ノーメイク日傘とマスクで楽々 一煌
白夜光黒ビールとグラスひとつ
街路樹にビワ実りても手も出さず 余白
ゴミ拾い高齢男女の麦茶かな
青嵐青年の眼の真っ直ぐに さくら
変わりしは我かも知れぬ四葩かな 〃
新茶汲む祖母いますかに真っ先に 凛
鎌倉も北鎌倉も七変化 〃
十薬や一輪挿しを絵手紙に 光子
河骨やぶれない姿勢受け継いで 〃
無人駅足音まばら夏に入る 鞠
滴りや升麻に出会う箱根路よ 〃
泣き崩れおり涅槃図の蛇百足 雲水
雉鳩の声のくぐもる夕涼み
ヒメジョオン(姫女苑)