Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

SPIRITの船出

2014-12-02 23:00:21 | 出たもの
今回、URAOCBとの共催で、新しいポエトリーリーディングのオープンマイクイベント「SPIRIT」を立ち上げるにあたって、やっぱりPoe-Triのことが頭にあった。Poe-Triの最後の回が開催されたのが2012年12月。それからちょうど2年が経った。

なくなった、あるいはいなくなったものや場所や人に対して、そこにポジティヴな形で関わりがあった人間ができることというのはたった一つしかないと思っている。それらがなくなり、いなくなったあとの毎日を、精一杯生き続けることだ。

世間は残酷だという。しかし、ほとんどの場合、世間なんかより遥かに残酷なものは自分自身の心である。外に向かって口を開けば、人間はどんなことだって言える。思ってもいないことだって言える。しかし、自分自身の中に目を向ける時、思ってもいないことを思うことはできない。自分がどのように毎日を生きているかということの100%は、ほんとうは自分自身に底の底まで見られ、知られているのだ。自分自身に対して何事かを取り繕おうとしても、ごまかそうとしても、結局は寂しい思い、悲しい思い、卑屈な思いをすることになる。

開催に向けての準備を進める中で、「これはPoe-Triのリバイバル企画ではない」というのはURAOCBと私の共通した認識だった。これまでの2年間で積み上げたなにがしかを持って、Poe-Triに、Poe-Triを主催していた頃の自分に勝たなければならないと思っていた。

超満員のお客様が会場を埋め尽くしてくださったことは心から嬉しく思う。しかし、たくさんの人が来てくださったから素晴らしいのではない。ひとりひとりのお客様が、それぞれの人生を生きる中で、今このときこの瞬間、渋谷RUBY ROOMにSPIRITを見に行くという選択をしてくださり、それを実行してくださったことに対して、心から感謝したい。「満員のお客様」という総体的なものに対してではなく、それを構成するひとりひとりの皆様に対して、この場を借りて頭を下げたいと思う。

まず口火を切ったのはURAOCBの、気迫溢れる渾身のオープニングパフォーマンス。続いて、ゲスト・三角みづ紀がステージに上がり、30分の朗読パフォーマンス。



会場には詩の朗読、ポエトリーリーディングといったものに触れたことのない方も多数いらっしゃった。それにもかかわらず、マイクの前に立ち、声を発した瞬間に「今、何か凄い物を目の前にしている」ということを誰しもに認識させてしまう、詩の言葉の説得力。息を呑んで聴き入る。

オープンマイクはもちろん12枠全てが埋まった。そこに立つことを、そこで声を発することを、そこで発せられる声を聴くことを、それぞれがそれぞれの方法で堪能する。マイクの前に立ったのは登場順に、

さとうさん


梓ゆいさん


麻生有里さん


山崎みふゆさん


浦世耀一朗さん


midoさん


村田活彦さん


ジュテーム北村さん


死紺亭柳竹さん


三上その子さん


llasushiさん


黒川武彦さん


最後に私が、「神さまの人生」と「船出」を朗読した。


「久しぶりに来た」という人がいた。「初めて来た」という人がいた。久しぶりに来ることができるように。初めて来ることができるように。SPIRITはこれからずっと続けていければと思っている。

皆様、

またお会いしましょう。

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