Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

リアルな世界で、リアルな世界を生きる皆様と。

2013-02-17 20:40:34 | 出たもの
千葉唯一の朗読オープンマイクイベント、「千葉詩亭」は、昨夜、2月16日(土)の「第二十回」で四年目に入りました。

いつも「続けること、ずっとそこにあること」といったようなことを、毎回書いているような気がしますが、本心です。一回で終わってしまうもの、すぐになくなってしまうものも美しいけれど、私は、千葉詩亭を、集まってくださる皆様、お気にかけてくださる皆様の日常に、心の片隅の中に、いつもそこにあるのが普通なものとしてずっと存在するものにしたいのです。

一回一回は毎回違っていて、ひょっとしたら想像を絶するような光景が現出するかもしれません。けれども、それが次回も開かれること、いついつのいつにどこに行けばそれがまた開かれていること。もし千葉詩亭が皆様に何かを約束できるとしたら、そのことを私は約束できたらと思います。

主宰の私が「ああ、いいイベントだった、素晴らしかった」と我ながら感心するのではなく、足を運んでくださったお客様一人一人が、「今日はこんなことを見たな、あんなことを見たな」と思い返してくださるようなイベント。そして「また今度行こう」と思ってくださるようなイベント。そういうイベントとして、嬉しいことも辛いこともあるこのリアルな世界で、リアルな世界をリアルに生きている人々とのかかわりの中で千葉詩亭の次の一歩を刻んでいけたら、そのことの幸福は計り知れません。主宰が感心したり自分に酔いたいだけなら、そんなイベントは場所を借りて実際にやらなくても、自分の脳内で想像の中で開催すれば良いのです。

二十回目の千葉詩亭は、ゲストに詩人・後藤理絵さんをお招きいたしました。



情念を空気に打ち込んでゆく、厳しくも力強い朗読パフォーマンス。初めて朗読イベントにいらっしゃった若い女性客二人が感激していたのが印象的でした。

オープンマイクにご参加くださったのは、

芦田みのりさん
……とある蛙さん
OOMさん
あおばさん
若松政美さん
さとうさん
長谷川忍さん
黒川武彦さん
葛原りょうさん
最都優さん

という皆様でした。地元・千葉のみならず、毎回遠方からお出で下さる方が多く、本当に感謝です。

私は、チェスワフ・ミウォシュの「ヨーロッパの子」と、自作の「神様ごっこ」を朗読しました。

今回の宝川オーナーシェフ謹製スペシャル夕食メニュー、すき焼き丼とシチューも、お客様のほとんどが注文し、舌鼓を打っていらっしゃいました。WiCANアートセンターのクローズに伴い、会場をTREASURE RIVER BOOK CAFEに移してはや2年。いまだに「飯がまずい」という苦情は一件も来ていないどころか、千葉詩亭の告知をする際に「ゲストは誰ですか」の次に多く頂くのが「今度は食事メニューは何ですか」という質問です。今回も当然のように大好評でございました。

次回、「千葉詩亭・第二十一回」は、4月20日(土)の開催です。

言葉を楽しみたい方、言葉で楽しみたい方、偶数月の第三土曜日、TREASURE RIVER BOOK CAFEに是非お集まりください。素敵なゲストとおいしい料理と一緒に、心よりお待ち申し上げております。

3月2日「ポエトリーリーディング」

2013-02-06 23:01:49 | 告知
3月2日(土)、千駄ヶ谷の老舗のジャズ・ライヴ・バー、東京倶楽部千駄ヶ谷店で、「ポエトリーリーディング」というそのまんまのタイトルで詩の朗読ライヴを行います。40分×2ステージ、ひとりでじっくり読みます。是非ご来場ください。


☆☆☆


大島健夫朗読ライヴ「ポエトリーリーディング」

3月2日(土)・東京倶楽部千駄ヶ谷店
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-21-6 第3越智会計ビル地下1階
TEL/03-6804-3695

JR千駄ヶ谷駅中央口より徒歩4分 (350m)
大江戸線国立競技場駅A4出口より徒歩4分 (350m)
副都心線北参道駅出入口1より徒歩5分 (500m)

13時30分開店
14時~14時40分第1ステージ/15時20分~16時第2ステージ

入場料2100円(2ドリンク付)

ご予約はお電話で。

久々のワンマンです。新作もしっかり揃えていきます。お待ちしております!

世界平和妄想。

2013-02-04 11:16:39 | 出たもの
やることはいつも一緒だ。テキストを作って、練り込んで、ステージの上でそれを読む。時々、「今回は本気でやった」とかそういうことを言う人がいるけれど、私は別に人前でお金をとって朗読するのに本気でなかったことなどあるわけないので、やっぱりやることは基本的にはいつも同じである。

変態的なのかもしれないけれど、今でもライヴの前には毎回、「ここでやらかしたら自分もオシマイだな」と思ってしまい、しかもそう思うとワクワクするのを禁じ得ないのである。

例えば、どこか地方でライヴをした時、そこの人たちの前でダサいことをしたら、その土地では私はダサい奴だということになり、二度とかかわってはもらえないだろう。それは地元でだって同じことで、千葉でダサいことをしたら、私は地元で朗読活動ができなくなり、そこらへんをうろうろしているお兄さんとして生きてゆくしかない。いや、もう「お兄さん」と呼ぶのには若干疑問がある年齢なので、「おじさん」と呼ばれても仕方がない。「そこらへんをうろうろしているおじさん」というのは、字面を追うとほぼ、ただの不審者である。

今この時ステージに立ち、初めて出会った人に自分のパフォーマンスを認めてもらえる機会は今この時しかない。「もうしません」なんて言ってもダメなのである。そんなセリフをあとで百回言っても、風の中に消えていくだけだ。誰も聞いてはくれない。世の中の人たちはみんな忙しいのだ。みんな自分の守るべきものがあり、するべきことがあるのだ。お金までとって人のエネルギーと時間を消費させておいてなおかつダサいことをして、あとからくどくど謝るような奴にかまっている暇などないのだ。

そう考えるとステージに立つということは大変怖いのだが、人間はみんな死ぬものである。ひとりの人間に与えられている時間は限られていて、どの一瞬も二度と戻ってこないのだとすれば、生きていくということ自体が元来、あらゆる瞬間においてとてもシビアな側面も持っており、ステージに立つということだけが格別怖いこととも言えないのではないか。

ましてや、私は、文章を書いたり朗読をしたりすることが得意だと自称している男なのであって、得意なことをすることでもって自分という人間を他者に問われる機会があるということは、これはもう幸せとしか言いようがない。だからきっと先にも書いたように、「ここでやらかしたら・・・」みたいなシチュエーションを好きでいられるのだと思う。ありがたいことだ。

昨日、関西の詩人を迎えて新宿ゴールデンエッグで開催された「西へ東へ ~屋根裏ポエトリーナイト×猫道節~」。会場へ向かう電車の中で、私はひとり例によって例のごとく「ここでダメだったら関東全体の恥になるのね!あたしが主宰してるイベントもみんなたたまなきゃいけないのね!帰りに練炭を買って車の中で燃やすしかないんだわ!きゃー、どうしよう!♪☆」みたいなことを考えつつワクワクしていた。経験上、そういう妄想が盛り上がる時は調子がいいのである。

会場入りの際にちょうど関西組と一緒になった。「屋根裏ポエトリーナイト」の元締め、中井拓哉さんは以前、東西詩人交流会のシンポジウムで会って以来、他の人たちは全員初対面だ。関東組の詩人は知っていると言えば知っている人ばかりだが、ミュージシャンの二名はやはり初対面、満員のお客さんの中にも知った顔は数名しかいなかった。ホームだけどアウェイ感満載で心地良い。

関西の詩人たちは、みんな「手ぶらでは来てない」感じで、何かしら関東では見られないようなギミックを保持していた。

関東組では、青木研治さんが一番印象に残っている。楠田陽子さんのピアノとのコラボも素晴らしく、会場をグリップする力が抜群だった。

私は「神さまの人生」を朗読した。中井拓哉さんのピアノはものすごく読みやすかった。

打ち上げで誰かも言っていたが、今、日本の各都市にはけっこういろいろなポエトリーイベントがある。四年に一回くらい、持ち回りでオリンピックみたいなポエトリーリーディングのお祭りを開催したっていいと思う。閉ざされた場所で独自に続けることで発展するものもあるし、それが他の視点に触れることで何らかの再発見に至ることもある。各都市それぞれ招致運動などしたら楽しそうだ。その折には、千葉も立候補しようと思っている。ただ顔を合わせてお酒を飲んだってわからないことも、どんなことであれ真剣にお互い得意なことをして自分の存在を賭け合えば理解し合える。それはきっと、観て、聴いている人にも楽しんでもらえるものになるはずだ。