Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

5月11日「SPIRIT」

2015-04-27 19:40:20 | 告知
「心を声に。声を言葉に。言葉を、明日に」

2014年12月1日(月)、渋谷RUBY ROOMにて、私とスポークンワーズ・アーティストURAOCBとの共同開催という形でスタートした朗読オープンマイクイベント「SPIRIT」。毎月第一月曜に定期開催させて頂いておりますが、この5月の回のみ、GWと重なっているため、第二月曜の11日の開催となります。今回も声と言葉の時空間を皆様に楽しんでいけるよう、主宰2名、精一杯努力してまいります。。

SPIRITでは、これまで

三角みづ紀
桑原滝弥
暁方ミセイ
田中光

の各氏をゲストに招聘してまいりました。今回のゲストには、現代詩手帖賞、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を全て史上最年少で受賞、現在は様々な媒体への執筆や朗読に加え、「ポエドル」としての活動も展開されている、詩人・文月悠光さんをお迎えし、30分間の朗読パフォーマンスを展開して頂きます。どうぞお楽しみに!




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POETRY READING OPEN MIC

SPIRIT

2015年5月11日(月)
会場:渋谷 RUBY ROOM

開場 20:00
開演 20:30
入場料 1000円+1ドリンク

▽主宰・出演
大島健夫 / URAOCB

▽スペシャルゲスト
文月悠光

※オープンマイクは当日先着12名まで、1名あたりの制限時間5分です。もちろん、オープンマイクにご参加なさらない、純粋な観客としてのご来場も大歓迎いたします!


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見たい方も聴きたい方もご自分も読みたい方も、どうぞどなたもお気軽にお越しください。心よりお待ち申し上げております。

旅の途中

2015-04-19 22:21:29 | 出たもの
今年1月の「進撃の詩人」で池上宣久さんと共演した際のことは忘れられない。

この10年ほど、「詩のボクシング」に関わってきた人たちの間では、池上さんは知らぬ者のない有名人である。しかし、知る人ぞ知るという言葉は、裏を返せば知らない人は誰も知らないということでもある。あの日、渋谷Last Waltzの客席に集まっていた観客のほとんどは、明らかに池上さんを知らなかった。詩のボクシングのことも知らなかった。

ステージに上がった池上さんが朗読を始める。おそらくはラッパーや若い詩人を目当てにやってきた観客たちは、この50歳を過ぎた風采の上がらないおっさんのステージに集中せず、ざわざわと私語を交わしていたりした。こういった光景というのは様々なバリエーションであちこちで見る光景ではあるが、いつ遭遇してもちょっぴり胸が痛むものだ。そんな中、池上さんは普段通りのスタイルの朗読を、悲壮にさえ感じる熱量とともに展開した。そしてある時点から、客席の空気が変わり始めた。私語がひとつ、またひとつとやんでいき、会場の人々は彼の朗読に惹きつけられ始めたのだ。そして最後にはその場にいる誰もが腹の底から笑い、拍手を送っていた。一人の表現者が、自力で小さな世間を引っくり返し、自分自身をその時その場で証明する。それは感動的な光景であり、同時に、詩のボクシングから朗読を始めた私にとっては胸のすく光景でもあった。本当に嬉しかった。なぜなら私は、池上さんこそがミスター詩のボクシングだと思っているからだ。

今回、千葉詩亭に来場してくださった方々の中には、池上さんを目当てに遠くからやってきた方もかなりいた。だが同時に、常連さんを含む地元の人の多くは池上さんを見たこともなく、詩のボクシングを見たこともなかった。そしてこの夜もまた、池上さんはそういった人々を声をあげて笑わせ、おそらくは「いいものを見た」と「変なものを見た」の間のどこかの着地点に導いてみせた。



詩のボクシングでの長いキャリアをひとつひとつ丁寧に振り返るように数々の作品を朗読し、そしてまさかの新作披露まで。これだけのことが行われれば、ハッピーな夜にならないわけがない、という30分間だった。

オープンマイクに参加してくださったのは、登場順に、

カマコさん
OOMさん
さとうさん
きむらやすしさん
川島むーさん
川崎雄司さん
渡ひろこさん
あしゅりんさん
さいとうゆうすけさん

という皆様。初参戦の方も多く、バラエティ豊かな声と言葉の世界が展開された。

オープニングはいつもの通り山口勲が、ラストは私が務めさせて頂いた。

さて、千葉詩亭は、これまで偶数月の第三土曜に開催して参りましたが、TREASURE RIVER BOOK CAFEとの協議の結果、次々回、つまり8月の回から、偶数月の第三日曜日の開催に変ることとなりました。

「千葉で朗読イベントを継続していくこと、また、そのことがどのような意味を持つのか」をより一層、深く考え、関係者一同、今後も精一杯、努力してゆく所存です。

千葉詩亭は打ち上げ花火でも、焼き畑農業でもありません。

これからもずっと、千葉で続きます。千葉で千葉詩亭を続けてゆくことが、私にとっては長い長い旅のようなものです。皆様と旅の途中の時間を共有することができて、本当に嬉しく思い、また心から感謝しています。

ありがとうございます。

また、近いうちに!

SLAMons&Friends、ありがとうございました。

2015-04-03 17:57:14 | 出たもの
3月27日から29日まで、欧州文化首都・ベルギーのモンスで開催された国際ポエトリースラム、橘上、三角みづ紀、大島健夫の3名からなる日本チームは準決勝で敗退し、決勝ラウンド進出はなりませんでした。

応援してくださった皆様、ありがとうございました。決勝に進めなかったのは残念ですが、予選ラウンドでは1日目、2日目ともグループ1位、全24チーム中最高得点で通過し、我々を招聘してくださった主催者側への最低限の責任は果たすことができたかと感じています。

今回、出場全チーム中、アジアからの出場は我々のみ、あとは全てEU圏内でした。24チーム全72人のスラマー、その全てが、故郷に帰ればファンの方も多くいて、「なんとかのカリスマ」とか「なんとかのスター」とか言われているような人たちであったことでしょう。ポエトリーリーディングをこれまで続けてくるにあたっては、一人一人に様々な背景があったはずです。時には食べたいものも食べられないようなこともあったでしょうし、恋人に「私とポエトリーとどちらが大事なのか」と迫られたようなこともあったかもしれません。72の笑顔の裏には、これまで刻まれてきた72の物語があったはずです。

しかし、ステージに上がれば、誰もがたったひとりです。たったひとり、今ここでオーディエンスの前で何事かを証明する以外に、その一つ一つの物語の次の瞬間を生きる術はないのです。

スラムはたった三日間ですが、スラマーにとってはこれまでの人生にプラスすることの三日間です。互いにほとんど言語も理解できない、ひとりひとりのパフォーマンスを見ながら、私はそれらのことを怒涛のように感じていました。スラムは勝敗を決める競技です。けれども自分の出番と対戦相手の出番が終れば、その瞬間に誰もがあっという間に心からの友人になっていました。互いに全精力を尽くしたなら、友人になる以外にどんなことができるでしょう。

準決勝ラウンドが終った瞬間、我々のところに走ってきて「おまえはウォリアーだ、おまえたちは俺たちの中にいる、俺たちはお前たちと一緒に決勝を戦う、だからおまえたちが戦うのと同じなのだ」と言い、決勝で火の玉のような素晴らしいパフォーマンスを展開しながら、3秒超過による減点という紙一重過ぎる原因により準優勝に終わったバルセロナチーム。

表彰式の後、全員の見ている前で「ほんとうに決勝にふさわしいのは日本チームだった、だからこれを贈る」といって、決勝ラウンド進出者記念品の猿の像を贈ってくれたアントワープチーム。

全てがあまりにもいい瞬間でした。

日本チームの橘上、三角みづ紀もまた最高のチームメイトでした。

自らのパフォーマンスに対して思うところはいくつかありますが、それはここには書きません。ただ、この大会を通じて圧倒的にパフォーマンスの数々を目の前にしてきましたが、私たちはそれをまねる必要はないということは強く感じました。私たちは普段、自分たちが積み重ねてきたことを超完璧にやれれば必ず戦うことができるのだ、という確信も得ました。

これは詩のイベントであり、またスポーツであり、大げさに言えば、そこにはひとりひとりがベストを尽くすことで平和に近づくという精神が宿っていました。

大会終了後、多くの詩人たちと話す中で、そのほとんどが異口同音に口にしていました。「私は書き続ける。君も書き続けよう」

あとはここから帰ってきた自分自身が、この先に何を生かしてゆくのか。「SLAMons & Freinds」出場者の誇りを胸に、また新しい瞬間と向き合っていきたいと思います。

ありがとうございました。