Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

土曜の夜から日曜の午後へ

2012-10-28 20:50:09 | 出たもの
この週末はイベント出演が二つ続いた。27日土曜の夜が馬野ミキさん主催、高円寺無力無善寺の「OPEN MIC 高円寺」へのゲスト出演、28日の午後が新宿GOLDEN EGGでロックバンドKpakpadu(パパデュ)の2012年秋公演へのゲスト出演だ。

27日、家を出ようとすると菊池奏子さん詩のボクシング全国制覇のニュースを聞く。おめでとう!おめでとう!おめでとう!

無力無善寺は、2010年の正月に猫道さんのイベントに出演して以来だから、けっこう久しぶりである。独特の雰囲気、としか形容のしようがないその空気は健在だった。

馬野ミキさんの丁寧で誠実なイベント運営と懐の深さは本当に素晴らしい。十数名のオープンマイクを続けて聴いて、「いつまでやってんだよ」と思った瞬間が一度もなかったのは本当にすごいと思う。共演のチェン・スウリーさん桑原滝弥さんにもすごく刺激を受けた。自分の意志と意思で何かに取り組んで、緊張感のある場数を踏んで、その先へ踏み越えていこうとしている人間の声と言葉、醸し出す時空間に触れるのはとてもハッピーでパワフルな体験だ。

私は「大蛇をください」「小さな王様と大きな女王様」の二篇を朗読した。

帰りの電車でも途中までチェンさん、桑原さんと一緒だったのだけれど、そこでの会話も得るものが多かった。

桑原さんは11月の7日、つまりPoe-Triと同じ日に五反田でオープンマイクイベントをスタートさせる。実はPoe-Triとのハシゴが可能な時間帯なので(Poe-Triの方が後)、桑原さんとも相談したのだが、両方来ていただいた方にはPoe-Triの受付でちょっとした記念品など出そうと考えている。詳細はあとでまた宣伝します。

そして、明けて28日の日曜は新宿GOLDEN EGG。Kpapaduの公演に出演するのは4月に続いて二度目、今回はKpapaduとのセッション朗読の他にソロで30分頂き、共演は長野のロックバンドBlue Rush、そして篠塚義成さんである。もとはと言えば篠塚さんと私との関係というのは2009年の詩のボクシング・神奈川大会で対戦したのが最初で(私が負けた)、その後、昨年の10月のPoe-Triに篠塚さんにゲストとして出演して頂き、その時にお客さんとしてご来場くださったのがKpapaduのリーダーであるAさんだったのである。人の縁というのは時として、鎖みたいにつながっていくものなのだ。自分がその場所にいることは偶然のように思えても、実のところそうでないこともある。

私はオープニングを担当し、「京都物産展」「神様工場」「花火大会の夜」「どこにもいなかった」を朗読した。その後、Kpapaduさんとのセッションで「二人で一緒に電車に乗ろう」を朗読した。

篠塚さんは落語、そしてKpapaduのAさんとのセッションでロックに関する詩を朗読し、その説得力は素晴らしかった。ここで篠塚さんのパフォーマンス、そして二つのロックバンドの演奏に浸って、自分が愛し、そこにエネルギーを注ぎ込んだ何かを通じて現出されたものの持つ力について考えた。

待っていれば明日は来る。待たなくても明日は来る。明日まで寝ていても明日は来る。明日に向かって歩いても明日は来る。

また新しい一週間が始まる。

始まったばかりだぜ。

2012-10-21 16:35:30 | 出たもの
ずいぶん前になるが、TREASURE RIVER BOOK CAFEでバイトしているI君に、「今まで千葉詩亭のオープンマイクとかで見た中で誰が良かった?」と尋ねた。I君は即答した。「uraさんですね!」

I君は千葉詩亭開催時にはだいたいいつもスタッフで入ってくれていて、ほぼすべての出演者、オープンマイク参加者を間近で見ている。しかも日頃はおそらく詩集なんて読んだりしないし、詩人の知り合いもいない人だ。それだけに、彼の言葉には重みがある。

別にI君に推薦されたからuraocbさんをゲストに招聘したということはないが、ずっと頭の片隅にあったことは間違いない。そして10月20日、「千葉詩亭・第十八回」において実際にuraさんに千葉でオーディエンスの前に立って30分のパフォーマンスを展開してもらう日が来た時、私は、彼を呼んだことが大正解だったことを改めて確信した。



uraさんのパフォーマンスは、その表現圧力の強さにもかかわらず、聴き手の精神を不愉快な暴力でグリップすることが決してない。それでいながら、I君の心をつかんだように、全く予備知識や先入観のない人にもしっかりと印象を残す。これは物事と誠実に向き合う作業を厭わない本人の性格もあるだろうし、また、常に「一対多数」、必ず「第三者」が存在する状況の中で一瞬一瞬の判断を積み重ねてきたその前歴によるものもあるだろう。ポエトリーリーディングといい、スポークンワーズといい、あるいはラップという。しかし、ジャンルや能書きがどうであれ、最終的に人の無意識下の領域にアクセスするのは、結局のところそれをやっている人間に備わっている説得力である。uraさんにはそれがある。

パフォーマンスの時間が終わってしまうことを寂しく思った。もっと聴いていたいと、正直に思った。それが私の、正直な感想だ。

そして今回のオープンマイク参加者は、

あしゅりんさん
池上宜久さん
さとうさん
ジュテーム北村さん
ケイコさん
三木悠莉さん
多悶さん

という皆様だった。大阪から登場した池上さんが客席を笑いの渦に巻き込む光景と、下ごしらえから完成まで、プリンの作り方について丁寧に語るケイコさんが印象に残る。

オープニングはイダヅカマコトが、ラストは私が朗読した。私の朗読動画は下。



全ての関係者、ご来場・ご参加いただいた皆様、心にとめてくださった皆様に心からの感謝を。

次回、12月15日(土)の「千葉詩亭・第十九回」は、三周年記念イベントとして開催する。

今回に限りゲストは招聘せず、オープンマイクによるお祭りにしたいと考えている。詳細は近日告示させて頂きたいと思う。

永遠に続くものはあり得ない。でも、私は千葉詩亭を永遠に続けたい。

まだたった三年だ。まだ、始まったばかりだぜ。お楽しみはこれからだ。

見ても楽しい、聴いても楽しい、のために。

2012-10-04 19:15:56 | 出たもの
お陰様で2012年のPoe-Triは、ここまで全ての月で前年同月の集客数を上回っている。主宰としては大変嬉しいことだが、最近ではオープンマイク枠がかなり早い時間にいっぱいになってしまうというのが恒例化してきた。昨夜のVol.52でも、20時20分を前に13枠全てが埋まっていた。テキストを携えて朗読しにいらっしゃって、にもかかわらず間に合わなかったという方も多くなってきた。

そのような方々、そして、はじめから純粋な観客としてご来場くださった方々のことが、いつも心に残る。

この時空間で起こる出来事、そこで発せられる言葉を、受け手として、見て、そして聴いて、楽しんで頂けること。オーガナイザーとしてもひとりの朗読パフォーマーとしても、そこのところを決して忘れてはならないと改めて思う。

今回のオープニングは、初のキャスト枠となったmerry-andrew


ブルースハープ、オカリナ、ザフーンといった様々な楽器をとっかえひっかえ吹奏し、合間に誠実でまっすぐなポエトリーリーディングをはさんでゆく、得意のパターン。今後ともこのスタイルで突き進んでほしい、と思う。

二番手は騒音天獄主宰・福田理恵。


心臓の鼓動のようなリズムで畳み掛けるようにフレーズを重ね、オーディエンスの前に、ヘビーでダークなファンタジーに満ちた世界を描き出す。本人もしきりと言及していた通り、昨今「詩人の世界の人」ではなくなってきている感がたたずまいなどからして確かにあり、そのことが逆に異物的な迫力を産んでいた。

後半のキャストはモリマサ公


モリマサ公の詩と朗読は、自分が紡いでゆく言葉、その言葉によって血肉を与えられる、疾走感あふれるトリッキーな作品世界への、彼女自身の圧倒的な誠実さによって成り立っている。その剥き出しの誠実さは聴き手にリアルな痛みをもたらし、だからこそ感動的だ。

私は新作の「ハラキリ」を朗読した。


<撮影・uraocb>

オープンマイクに参加したのは、登場順に、

死紺亭柳竹


ともちゃん9さい


イダヅカマコト


北村しいこ


馬野幹とジュテーム北村



村田活彦


三木悠莉


アンセル


りゅうどう


MELODY KOGA


uraocb


菊池奏子


工藤


今回は比較的、初参加の顔ぶれが多かった。ポエトリーリーディング、スポークンワーズ、ラップ。Poe-Triのオープンマイクは、スタイルやバックボーンには何ら制限はない。5分という時間を守って、何か言葉によるパフォーマンスをしてくれればあとはだいたいなんでもいい。これを読んで「やってみようかなあ」という方がもしいらっしゃったら、是非参加して頂きたいと思う。

次回、Vol.53は11月7日だ。

声と言葉の動物園、Poe-Tri。キャスト枠にはまたおもしろい動物を揃えておきますので、一月後にまたお会いしましょう!