Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

勇気を。

2012-03-08 21:16:15 | 出たもの
人間は物事を続け、成長してゆく時、様々な段階を通る。かつて難しかったことがやがて簡単になり、広いと思った道はやがて狭く感じる。初めは大変な勇気を要したことも、繰り返すといつしか当たり前のことになってゆく。

だが、当たり前になってしまったことを当たり前にこなしてゆくことは、かつて恐怖や不安と戦いながら震える足を一歩前に出したことと比べて、例えそれが自分の能力と経験がずっと向上したことの成果でではあっても、果たして尊いことと言えるだろうか。

もし、誰かの表現物が、非常に高いスキルでまとまり、非の打ちどころのない流麗な完成度を持つものに仕上がっていても、それが、表現者自身が不安や恐怖、逡巡、葛藤、そして希望といった人間的な要素から離脱することによって獲得された成果であるならば、それは表現物として本当に、この世界を生きる数多くの人間の精神にとって必要なものとなり得るのか。

慣れてはいけないと言う。初心を忘れるなと言う。朗読者の武器は声と言葉だ。その声と言葉が、「自分の楽にできる範囲内」で、ただその時点でのスキルに応じて形作られたものであるならば、それは誰に届くか。

いや、それは自分自身の内面にすら本当に届くのか。

Poe-Triは昨夜で45回目の開催となった。

それがほんの少しでも、勇気を伴った一歩でありたいと強く願う。


☆☆☆


今回のオープニングを飾るのは、後藤理絵さん


その静かな言葉には、湧き上がるような怒りと強靭な愛が確かに存在していた。

二番手はイシダユーリさん。


後藤さんの静に対して、こちらは動。叩きつける波動が地下のライヴハウスを満たす。

後半のキャストは初出演・黒川武彦さん


一見、朴訥に綴られてゆく詩の世界、穏やかな描写の水面下に、人の心の営みが浮かび上がる。

私は「嵐が近づいてきて」「ステアリング」「卒業式」の三篇を朗読した。

今回も、オープンマイクは13枠全てが埋まった。参加してくださったのは登場順に、

死紺亭柳竹さん


工藤さん


今村知晃さん


三木悠莉さん


菊池奏子さん


midoさん


あおばさん


uraocbさん


晴居彗星さん


あしゅりんさん


ジュテーム北村さん


灯汰さん


rabbitfighterさん


という皆さんだった。

出演者、スタッフの方々、お疲れ様でした。

ご来場のお客様、本当にありがとうございました。

次回、Vol.46は、4月4日(水)の開催です。

繰り返しになるけれど、

そこに、新しい勇気を。

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3 コメント

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ありがとうございました!! (後藤理絵)
2012-03-09 16:13:59
「勇気」とはいつも闘っています。
それが、面倒だとか大変だとか、そう思った方向に行ったほうが、後になって「得した!」と思えることが多い。でもそのときは気づかないものですけどね。
そういう意味で、久しぶりに呼んでいただいたことに感謝します。
去年より、もっと大切にその「場所」に飛び込んでいける自分でありたいと思います。
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Unknown (後藤理絵)
2012-03-09 16:16:10
大島カメラマンの写真、好きです!
(しっかし、こわいかおーー笑)
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Unknown (大島健夫)
2012-03-10 11:33:54
>後藤理絵さん
7日はお疲れ様でした。
表現者としても主宰としても、一歩先に出なければ、と最近強く思っています。その場で受けるのではなく、前に出て攻めなければ、と。

写真、これがこの夜の真実の姿であります(笑)
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