漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「羅ラ」<鳥あみ> と「羅ラ」「邏ラ」「蘿ラ」「鑼ラ」「罹リ」

2023年11月09日 | 漢字の音符
 ラ・あみ  罒部  

解字 甲骨文は「网(あみ)+隹(とり)」 の形で、細い糸でできた目の細かいカスミ網で、隹(とり)を捕えること。篆文は、これに糸をつけて鳥あみが細い糸でできていることを表した。現代字は、网(あみ)⇒ 罒に変化した羅となった。意味は細かい鳥あみ、(支柱を立てて鳥あみをいくつも)並べる、鳥あみのような細かい薄絹をいう。
意味 (1)あみ(羅)。鳥あみ。あみで捕える。「網羅モウラ」(網は魚をとるあみ、羅は鳥あみ。もらすことなく、すべて収め入れること)「雀羅ジャクラ」(雀をとらえるあみ)「門前雀羅モンゼンジャクラ」(門の前に雀羅を張れるほど人の出入りが少ない。さびれている) (2)(鳥あみを)つらねる。ならべる。「羅列ラレツ」(つらなり並ぶ) (3)うすい絹。あやぎぬ。「羅衣ライ」(うすものの着物)「綺羅キラ」(あやぎぬと、うすぎぬ。うつくしくきれいな衣服) (4)梵語の音訳。外国地名。「羅漢ラカン」(梵語のarhan(阿羅漢アラカン)の略。仏教修行の最高段階に達した人)「羅馬ローマ」(イタリアの首都) (5)「羅針盤ラシンバン」とは、磁石の針を利用して方位を知る装置。船や飛行機の航行に用いる。語源は、中国の風水術で地相占いに使われる羅盤ラバンというアミの目のように細かく方位が書かれた盤の中央に方位磁針を組み込んだので羅針盤と呼ばれた)

イメージ 
 「とりあみ」
(羅・邏・蘿)
 「とりあみにかかる」(罹)
 「ラの音」(鑼)
音の変化  ラ:羅・邏・蘿・鑼  リ:罹

とりあみ
 ラ・めぐる  辶部
解字 「辶(ゆく)+羅(とりあみ)」の会意形声。鳥あみの目のように細かくすみずみまで歩いて巡回すること。
意味 めぐる(邏る)。見回る。「邏卒ラソツ」(見回りの兵士)「警邏ケイラ」(見回って警戒すること。また、その人)「巡邏ジュンラ」(巡回して警備すること。パトロール)
 ラ・つた  艸部
解字 「艸(くさ)+羅(とりあみ)」の会意形声。とりあみのようにからまって生える草で、つた・かずらをいう。
意味 (1)つた(蘿)。かずら。「蘿経ラケイ」(つたのしげった小道)「蘿月ラゲツ」(つたにかかって見える月)「蘿衣ライ」(こけの一種。さるおがせ)「蘿蔔ラフク」(大根の漢名。すずしろ)「海蘿ふのり」(①海産の紅藻類の一種。②フクロフノリを干し固めたもの。煮て糊に用いる) (2)つのよもぎ。

とりあみにかかる
 リ・かかる   忄部
解字 「忄(こころ)+羅の略体(とりあみにかかる)」の会意形声。あみにかかった鳥の心情を人に例えて、うえれる・なやむ意となる。また、鳥が不幸にもあみにかかることから、病気にかかったり災難に出会う意で用いられる。
意味  (1)うれえる。なやみ。「百罹ヒャクリに逢えり」(多くのなやみに逢う)(2)かかる(罹る)。こうむる。病気にかかる。「罹患リカン」(病気にかかる。罹も患も、病気にかかる意=罹病リビョウ)「罹災リサイ」(災難や災害にあう)

ラの音
 ラ  金部
 
銅鑼(石川県「無形文化財」より)
解字 「金(金属)+羅(ラ)」の形声。ラと呼ばれる円盤状の金属製打楽器をいう。銅製のものを銅鑼ドウラといったので、短縮したドラという名称で知られる。[説文解字]になく新しい字、明末の[正字通]に「銅を爲し之を築く。形は盆の如し。楽書に銅鑼と有る」とする。
意味 どら(銅鑼)。銅製の盆形の打楽器。紐で吊り下げてバチで打ち鳴らす。仏教の法要、民俗芸能の囃子、歌舞伎の下座(舞台の左方で演奏される)音楽、茶席に入るときの合図、出帆の合図などに用いられる。「銅鑼焼ドラやき」(銅鑼の形をした和菓子)
<紫色は常用漢字>

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