ドナウ川の白い雲

ヨーロッパの旅の思い出、国内旅行で感じたこと、読んだ本の感想、日々の所感や意見など。

『舟を編む』ほか

2013年02月13日 | 随想…読書

 三浦しをん『舟を編む』(光文社)は、辞書づくりの世界を描いた題材そのものが新鮮で、面白かった。

 読後感もすがすがしい。

  世間では頼りないと思われるであろう主人公も、辞書づくりの責任者としては大いに頼もしく、やがて妻となる女性の登場の仕方も鮮やかで、お互いをリスペクトしあう結婚後の二人がカッコいい。

 辞書づくりという目的に向かって、それぞれがそれぞれの個性とやり方で貢献し、悪い人が一人も登場しないのも良い。

             ☆

 宮本輝『約束の冬』(文春文庫)は、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した作品のようだが、ちょっと冗長な感じ。登場人物も類型的かな。

             ☆

 紅山雪夫『魅惑のスペイン』(新潮文庫)を、他のものと並行して読んでいる。

 サブタイトルに「添乗員‥ヒミツの参考書」とあるが、この人のヨーロッパ旅行ガイドは、本当にすごいと思う。

 その博識ぶりに感動するが、そればかりでなく、例えばスペインの歴史といった込み入った話を、わかりやすく、かつ面白く、かつ要領よく叙述する力量に感心する。

 博識といっても、枝葉の細切れ知識ではなく、かなり本質的なところで知識欲を満足させられるから、読んでいてわくわくする。

 

 

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