一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

十二たび大野教室に行く(前編)・大逆転負け

2011-10-22 00:15:16 | 大野教室
15日(土)は「大野教室」のある日だった。大野教室とは、日本将棋連盟の大野八一雄七段が主宰する将棋教室で…。以下はバックナンバーを読んでください。
仕事が休みだからといって毎回大野教室に行く義務はないのだが、いまの私にはやはり、誰かとの交流が必要である。
これが広告代理店務めの時だったら、いくらでも愚痴をこぼせる相手がいたのだが、現状ではそうもいかない。午後1時すぎ、私は家を出た。
京浜東北線に乗っていると、中井広恵モデルのスマホにメールが入る。W氏からだった。
「今日、来ないんだっけ?」
私がスマホを持ったのはいいが、現状ではそれを有効活用しているとは思われない。
最大の目的だったAyakoさんとのメアド交換は、飲み会がツブレておじゃん。中井女流六段とはメル友になれたが、いざなってみると、ああこんなものか、という感じで、格別の感慨はなかった。全国の中井ファンが聞いたら怒るだろうが、実感としては、そうである。
以上がスマホ所持の収穫だとすれば、あまりにもさびしい。W氏からもときどきメールが来るが、前述のように、「きょうは大野教室に来るの?」とか、「植山先生いるけど…」とか、どうでもいいメールばかりだ。
それどころかスマホを持ったせいで、沖縄の離島でのんびり海を眺めていても、北海道の雪まつりで雪像鑑賞をしていても、博多でどんたくを楽しんでいても、つねにメールや電話が来る心配をしなければならない。いやだ。私は何人にも束縛されない、自由が好きなのだ。
そうか…。旅行中は電源を切っておけばいいのだ。
「いま、上中里をでるところ」
とりあえず私は返信し、その後、大野教室に入った。
きょうは何があったのか、室内は大勢の人である。W氏、His氏、Ue氏、以前もお見かけしたことがある成人男性2人、それに少年4人、Akiちゃん、Hanaちゃんだ。のちにHon氏と大野七段の弟子の奨励会員も来て、私も含め総勢14人となった。
「大沢さん、待ってたよ。早速で悪いけど、彼と指して」
臨時手合い係のW氏が、早速手合いをつける。大野教室は大野七段にみっちり指導を受けられるのがウリだが、最近は生徒が多いので、将棋道場の雰囲気も漂っている。きょうは植山悦行七段の助っ人がなく、余計その感が強かった。
さて相手の少年とは何局か指しており、たしか2日(日)にも指した。
私の先手で対局開始。▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩、と進む。そうだ…彼は居飛車党だったんだ。私もどちらかといえば居飛車党だが、相居飛車は嫌いというエセ居飛車党である。
数手後△8八角成とされ、さらにイヤな展開になった。私は角換わりの将棋が嫌いなのだ。
まあ一手得なのでその利を活かして棒銀に出たが、△5四角が定跡の一手(▲1五銀に△5四角が定跡だった)。対して▲3八角と打つ気にならず、私は中央に戦いを求めた。しかしこれでは、▲2六銀が取り残されてしまった。
ただ、その後の少年の指し手が甘く、私が優勢から勝勢となった。
少年の△6七成桂に、私は▲8四角から詰ましに出る。もちろん詰みありと見たものだが、これには少年も意表を衝かれたのではなかろうか。
右では奨励会の少年が将棋を指していたが、「このオッサン、何者なんだろう」という顔で、私の顔と指し手を交互に見ていた。
ではこの局面の一部の駒の配置と、終局までの指し手を記す。

先手・一公:1三竜、8二成香、8五歩 持駒:角、銀3…
後手・少年:5二金、6一金、6二玉、6三銀、6四歩、6七成桂、7五歩、8一桂、9一香、9五歩 持駒:角、金2、桂、香…
(△6七成桂まで)
▲8四角△7三角▲7一銀△同金▲5三銀△同金▲5一銀△6一玉▲7一成香△同玉▲6一飛△8二玉▲7三角成△同玉▲8四金△8二玉▲6二飛成△7二桂▲7一角△9二玉▲9三金△同玉▲同角成△同玉▲6三竜△8三歩▲同竜△同玉▲5三竜△7四玉 まで、少年の勝ち。

角の王手から、銀捨ての三連打で後手玉に迫る。▲7三角成△同玉で、後手玉は風前の灯だ。ところが私は手拍子で、▲8四金。△8二玉▲6二飛成に△7二桂とされ、意外に詰まない後手玉に、私は「やべええええ」と叫んだ。
戻って、▲8四金では▲7一飛成で簡単に終わっていた。これなら少年も投了だったろう。この時点で私の持ち時間は7分以上あったのに、何をやっているのだ。
私は投げ切れず後手玉を追い掛けるが、△7二桂がよく利いて、後手玉はどうしても詰まない。▲5三竜に△7四玉と逃げだされ、私はここで投了した。
いやあ…勝負事は最後まで分からないものだ。こんな手を社団戦でやらかしたら、後悔どころでは済まない。
局後の感想戦では、△8二玉に▲8三金と突っ込んでも、後手玉が寄っていることが分かった。何てことだ。こりゃもう、どうしようもない。
Hanaちゃんと目が合う。
「たしか、Hanaちゃんだったね?」
「たしかはいらないよ!」
きょうのHanaちゃんは、ちょっとご機嫌ナナメだった。
また一般対局がつき、2局目は、奨励会の彼と指すことになった。
(つづく)
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「忘却の角」裏ばなし

2011-10-21 00:04:54 | 将棋ペンクラブ
「LPSA芝浦サロン」の11月の担当が発表された。それを見ると、何としたことか、わが将棋合宿と中倉宏美女流二段の担当日がぶつかっていた。
となれば、残念だが、今回の宏美女流二段の合宿参加の話は、ナシとせざるを得ない。
しかし、なんだかなあ…。今回はけっこう、本気で誘ったんだけどなあ…。宏美女流二段には、たいへんご迷惑をお掛けしました。

「将棋ペン倶楽部」2011年秋号に、拙稿の「忘却の角」が掲載された。これは今年の5月20日に行われた竜王戦6組準決勝・大野八一雄七段と吉田正和四段の一戦を、大野七段の視点から描いたものである。
6月19日(日)の大野教室のあと、恒例の食事会があったのだが、その席で、大野七段のこの一戦の解説が始まり、私たちは身を乗り出して拝聴したのだった。
そのときの模様は、当ブログ6月22日・23日にエントリした。当初は、これでオワリのはずだったが、将棋ペン倶楽部の秋号原稿〆切が1ヶ月に迫り、私はこのエントリ分を焼き直して、投稿しちゃおうと考えた。
なんたって、原文はできているのである。これなら焼き直し(リライト)もラクだと思った。
ところが6月が終わり、カレンダーが7月になっても、なかなかリライトが進まない。キーボードを叩く手が重いのだ。
そこで思い出したのが、5月の「将棋ペンクラブ関東交流会」でM幹事が言った言葉だった。
私は飲み会の席で、将棋ペン倶楽部への投稿に困ったとき、ブログにアップした原稿を流用しちゃおうかと考えたことがあります、と言った。
対してM幹事は、
「(流用は)そう簡単ではないと思いますよ」
と応えた。それが私には意外だった。こんなもん、おかしなところをちゃっちゃっと書き直して、すぐに投稿できるじゃないか、と考えていたからだ。
しかし〆切日が近づくにつれ、私はM幹事の言葉の重みを、ひしひしと感じることになる。
ブログは、容易に書き直しが利く、ラクガキみたいなものである。
対して「将棋ペン倶楽部」は、会員が会費を払って読む、れっきとした読み物である。会員の投稿する文章に、ひとつの瑕疵も許されない。
当然書き手にも多大なプレッシャーがかかるわけで、ブログの文章をちゃっちゃっとリライトして投稿できるほど、安易なモノではなかったのである。
極端な話、まったく新しい文章を一から書き始める、という感覚に陥った。これはキツかった。
とりあえず、エッセイのタイトルを決めなければならない。小説やエッセイを書くとき、最初にタイトルを考えるか、途中で決めるかは、人による。
私は前者で、最初にタイトルを決めないと、あとの文章が続かないタチである。しかし今回は「忘却の角」というタイトルがすぐに浮かんで、これはクリアできた。
続いて、例の将棋の棋譜用紙を拝見しなければならない。6月19日の自戦解説では、手元に棋譜用紙がなかったから、正確な指し手や、消費時間が分からなかった。投稿するとなれば、そこは正確を期す必要がある。
そのため私は、7月3日(日)に、再度大野教室を訪れた。このときまだ私は大野教室の敷居が高かったので、棋譜用紙を見るためだけに教室へ出向くことが億劫だった。
大野教室に入ると、大野七段はすでに棋譜用紙を用意してくれており、すぐに拝見することができた。その日は将棋も指して帰った。
ところがそれから何日経っても、やっぱり筆が進まない。ブログは毎日の更新だから仕方なくキーボードを叩くが、将棋ペン倶楽部のほうは〆切まで間があると思うから、つい執筆が後回しになってしまう。
そしてついに、〆切の7月20日が過ぎてしまった。私はWas幹事に1週間の猶予を申し出る。泣きたい気分だったが、何とか受け容れてもらった。
これであとがなくなった私は、やっと執筆にとりかかった。私は何事も、追い込まれないと動かないタチなのだ。しかしときにはそれが手遅れになって、泣くハメになることも度々ある。
執筆の時間はないが、頭の中である程度の文章はできていたので、書き始めると早かった。何だかんだいっても、6月22日と23日にアップした「下敷き」が大きかった。

9月初旬、「将棋ペン倶楽部」秋号が発行される。私は御徒町(おかちまち)駅近くのドトールコーヒーで、拙稿を読んだ。
こういうとき、私は書いた内容を忘れ、まっさらな気持ちで読むことにしている。しかし今号は、食事会の雑談を基にしたとは思われない、崇高な内容に仕上がっていた。
またこの時期は心身ともにどん底だったので涙腺も弱くなっており、最後のほうは、ホロッと涙がこぼれたほどだった。
ただ中には、あれっ? と思う表現もあった。
今回のエッセイは7月末現在の状況で書いているので、6月19日の食事会(取材)では手許に棋譜用紙がなかったにもかかわらず、本文では指し手の消費時間が記されており、読者が混乱した可能性がある。
また本文では、大野七段がこの将棋で最も悔やんだ一手は、記憶から消えてしまった「▲6六角」としているが、先日大野七段ご本人に確認したところ、本局で最も悔やまれる一手とは、ふつうに▲3一飛と下ろせばよかったのに、みすみす相手に1歩を渡し、銀を引き戻した悪手「▲3四歩」とのことだった。
これは本文には記されていない、「新事実」である。
さて全編を読んで、まずまずの出来だったと思うがそこはそれ、やはり訂正したい箇所はあった。
ここで、同誌を持っている方のために、訂正部分を記す。

86頁下段8行目…「フリークラス在籍の」→削除(トルツメ)
86頁下段19行目…「フリークラス経験者同士の対戦となった」→「注目の」
87頁下段22行目…「勝ちを決める決め手になる。」→「勝ちを決める一手になる。」
88頁上段5行目…「大野、遅ればせながらの」→「大野の」
89頁中段3行目…「厳しい。」→「厳しかった。」
89頁中段16行目…「大野は▲3九歩と…」→「吉田の△7六桂に大野は▲3九歩と…」

個々の訂正の説明は省く。
パソコンから投稿するときは、これでもう直すところはない、と自信を持って送信するのだが、活字になると、なぜかアラが見えてしまう。これは読者に失礼だったと痛感するのだが、いつも同じ過ちを繰り返す。
さてこの将棋、大野七段は負けた。まるで救いがないようだが、文章の最後は、
「大野は竜王戦の本戦トーナメント進出はならなかったが、ランキング戦には昇級者決定戦がある。大野の昇級の目は、まだ残されている。」
と希望を持って結ばれている。
すなわち、このエッセイはまだ終わっていないのである。
大野七段の昇級者決定戦の相手は、伊藤真吾四段と決まった。伊藤四段は現在、フリークラス脱出を目指す新鋭である。この対局にも、注目したい。
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中倉宏美に将棋愛はあるか

2011-10-20 00:15:23 | 女流棋士
LPSA日めくりカレンダー・11月11日右下のミニ広告に、「中井広恵女流六段 20年目の結婚記念日です」と書いてあるが、中井女流六段が結婚したのは平成元年。今年で結婚20年目ということはない。編集部がどうしてこんな間違いを犯したのか分からぬ。

18日(火)、自宅に2通のハガキが届いた。中倉宏美女流二段と、大庭美樹女流初段からである。
LPSAは16日(日)にファンクラブイベントを開催したが、今回は「LPSA総選挙」と題して、事前にファン投票を行った。この上位4人が、第44回1dayトーナメント「ファンクラブカップ」に出場できるのだ。このハガキは、その投票者への御礼。つまり私は、このおふたりに投票したのだった。
宏美女流二段の文面を見る。
「今回も残念な結果で…決め手に欠けますね」
私信をブログに載せるのは道徳に反するが、宏美女流二段は当ブログの読者でもあり、それに免じて赦していただこう。
「今回も残念な結果で…」とは、めでたくファン投票に入賞した宏美女流二段は、1回戦で石橋幸緒女流四段と対戦したが、善戦むなしく敗れた。これはその悔恨である。
また「決め手に欠ける」とは、私が第5回の女流棋士ファンランキング改訂版を発表したとき、その順位に不満をもらした宏美女流二段に、私が投じた言葉でもある。
現在宏美女流二段はランキング3位だが、これより上にあがるためには、将棋に勝つなどの決め手が欲しい、と苦言を呈したのだ。上の一節はそれをそっくり私に返したもので、宏美女流二段、なかなか機知に富んでいた。
さらに文面は続き、
「努力しかないと思うので、勉強がんばります」
とあった。
この言葉をどこまで信じればいいのか。宏美女流二段はかつて、私の飲み会の誘いを、「将棋の勉強をするから」という理由で断ったことがある。
「将棋の勉強」が断りの口実なのは百も承知でそれは構わないが、それでもどこかで、本当に将棋の勉強をしたんだろうなあ…と信じたい自分がいる。
ここで宏美女流二段に提案がある。私たちは来月、旧LPSA金曜サロン有志で、2泊3日の将棋合宿を予定している。場所はいつもの山荘だ。宏美女流二段、それに参加してみてはどうだろうか。
この合宿に「遊び」はなく、宿に着いたら対局時計を使ってリーグ戦を行い、食事と入浴を挟み、それを夜中まで続ける。指し将棋以外には詰将棋トライアルや大局観養成問題があり、最終日には、プロ棋士による模範対局も用意されている。
息抜きの時間は10秒将棋やリレー将棋。雑談も将棋のことばかり。まさに将棋漬けの3日間なのだ。
ゆえに、たとえ女流棋士が参加したとしても、私たちにナンパする時間などないから、その方面の心配も無用である。
宏美女流二段に参加の意思があるならば、その筋に一本連絡を入れるだけでよい。
ただしその運びになったら、「女流棋士」という肩書を外し、一般女性として参加していただく。指導棋士として同行し、ギャラをもらおうなどと、さもしい考えを持つようでは困る。みんなといっしょに将棋を勉強しよう、香一本強くなろう、という謙虚な気持ちを持つことが肝要である。
当然参加費もお支払いいただく。…が、その点は心配ない。合宿に参加する熱烈な宏美ファンが、費用を全額負担してくれるからだ。
私は決して、往復の車中で宏美女流二段とバカ騒ぎをしたいというわけではない。
湯上がりの宏美女流二段を見たいというわけではない。
ジャージ姿の宏美女流二段を見たいというわけではない。
一杯飲んでる宏美女流二段を見たいというわけではない。
寝起き姿の宏美女流二段を見たいというわけではない。
ただ、模範対局での宏美女流二段の聞き手は、見てみたい。

中倉宏美女流二段に将棋愛はあるか。私はこのブログを通して、宏美女流二段に問う。本当に将棋の勉強をしたいなら、本当に強くなりたいなら、今回の合宿参加を、どうか真剣に考えてほしいと思う。

ちなみに美樹女流初段の文面には、
「ご来場いただけなくて残念でした…」
とあった。書き遅れたが、今回のファンクラブイベントは、私は行かなかった。所用があったからだが、なくても行かなかった。
まあ、行くも自由、行かないも自由である。去年2月14日(日)、旅行の行程を削ってまでファンクラブイベントに参加した日のことが、いまでは夢のようだ。
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沈黙のジョナ研

2011-10-19 00:07:08 | ジョナ研
KARAの5人を仕分けます。
奥さん…ジヨン
恋人…ハラ
妹…スンヨン
飲み友達…ニコル
愛人…ギュリ

7日(金)は、ジョナ研があった。ジョナサン将棋研究会こと通称ジョナ研は8月まで月1回の開催だったが、9月に2回開催したところ、このペースでもまったく無理がないことが分かった。
もとより私たちは、毎週ジョナサンに通っていたのである。裏ルートで会員に確認したところ異を唱える声もなく、ここに月2回の開催が決定した。
きょうの参加予定は5人だが、一番乗りが誰か判然としなかった。そこで私が早めに出向くことにした。
午後6時半に入店すると、珍しやR氏の姿があった。たまたま所用で近くに来たとかで、これはジョナ研に呼ばれる運命だったんだナと、そのままこちらに寄ったという。
テーブルには、6人分のお冷やが載っていた。R氏に請われて、スマホのメールアドレスを教える。R氏に教えても何の利益もないと思うが、こうした地道な開拓が重要である。いつ、誰が女性を紹介してくれるか分からないからだ。
ウエイトレスさんの呼び出しボタンを押すと、Ayakoさんが来た!
「おおAyakoさん、この前は却ってすまなかったね」
「はい」
何だか、振られた彼女と話しているみたいだ。Ayakoさんが、見えないバリヤーを張っている。W氏が、またAyakoさんと飲みに行けるかどうか確認しろ、と言っていたが、この雰囲気では無理である。Ayakoさんとの飲み会は事実上、なくなったと考えざるを得ない。残念だが仕方ない。植山悦行七段の言葉を借りれば、「縁がなかった」のだ。
7時もすぎて、パラパラと人が集まってくる。W氏、Kun氏、Kaz氏が来た。
Kaz氏にもメアドを教える。これでスマホのメル友は、中井広恵女流六段、W氏、A氏、R氏、Kaz氏の5人になった。
さらに遅れて、Fuj氏が来た。きょうの参加者は、全部で6人となった。
では例によって席の配置を記そう。

   壁
Fuj   R  W

Kaz 一公 Kun

「この前さあ、大沢さんのブログの中で、オレが中井先生のことを『ヒドイ顔だ』って言ったことになってて、オレ慌てて、大沢さんに訂正を求めたよ」
とW氏。
「イヤすまんすまん。オレもヒトの会話いちいち覚えてないからさ、自分のセリフはともかく、ヒトのセリフは、あとで適当に再生しちゃうんだよね」
「頼むよー、大沢さん!!」
Ayakoさんが料理を運んでくる。親しくなったわけではないのに、意識してしまう。ちょっとドキドキする。

「Ayakoさんもいいんだけど、あと5センチ背が高かったらなあ」
彼女が去ったあと、私がつぶやいた。
「大沢さんはやっぱり背の高い女性がいいの?」
と訊いたのはW氏だったかKaz氏だったか。
「ウン、背の高い女性がいいね。最低でも165センチ。170あれば言うことない。いやさ、小柄な女性と立ち話すると、どうしてもオレが見下ろす形になっちゃうじゃない。それがイヤなのよ。170センチくらいの女性だと、立ち話してるときホントにラクなんだよね」
「大沢さん、そんなことやって篩に掛けてるからダメなんだよ。外見から入ってたら、本質を見失うよ」
「ああ、でもそれダメ。オレいつも見た目から入るから。基本的に一目惚れだし」
「……」
食事をした後、また私のダメ話を中心に話が展開される。現在私の精神状態は、日々激しく乱高下している。ひとりでいると気が滅入るが、大勢でいると気が紛れる。
注意すべきは、こっちは最初から脈がなかったと割り切ろうとしているのに、大沢さんが誘えば逆の目が出たんじゃない? と話を蒸し返す輩がいることだ。
相談者は、無意識に自分の望む回答を持っている。回答者は、そこを十分、踏まえてもらいたい。
R氏が将棋盤を拡げて、横歩取りの研究を始めた。私も適当に口を挟む。
しかしそれが終わると、もう実戦しかない。向かいにいる私が、引き続き相手をすることになった。
R氏の居飛車明示に、私は藤井システム。しかし▲3六歩に△9五歩とのんびり伸ばしたため、すかさず▲3五歩と仕掛けられて悪くなった。▲3六歩には△6二玉が絶対だった。
中盤の入口で敗勢になり投了も考えたが、それは相手に失礼なので、もう少し指し継ぐ。と、R氏に疑問手が出て、最後は私が幸いするところとなった。
R氏は、終盤がもう少し何とかならないか。せっかく中盤で優位に立っても、終盤が腰くだけでは何にもならない。月並みだが、詰将棋の勉強が必須であろう。
いつの間にか、Kaz氏とFuj氏も将棋を始めていた。私はKun氏と席を替わって、今度はKun-R戦。私はW氏と雑談となった。
「AKBってさ、かわいいコいるか?」
W氏が訊く。
「いない」
「だよね。昔のアイドルはかわいいコばかりだったけど」
「うむ。大島優子も前田敦子も、かわいいって感じじゃない。どこにでもいる感じ。でもそれがいい」
「だよね」
「うん。オーラがある」
「そう、言いようのないオーラがバリバリ出まくってるよね」
「Wさん、AKBン中じゃ、誰がいいの?」
「それはひとりしかいないでしょ。篠田麻里子」
「それは認める。タカミナ(高橋みなみ)はどう?」
「ダメ」
「そうか…。オレは最近、河西智美もいいんじゃないかって思ってる」
「なるほど」
という、四十男の気持ち悪い会話が続く。
Kun-R戦が終わった。R氏、会心の指し回しだった。どうしてその指し方が社団戦ではできないのだろう。
今度はR氏とFuj氏が席を替わり、Kun-Fuj、R-Kaz戦が始まった。これは本当に将棋道場だ。ヘンな緊張感が出てきて、妙に会話が少ない。
「うおおー、これじゃブログのネタがないよー」
私は思わず口走る。
「大沢さん、最近ネタに走ってるよね」
「なんかねー、自分の中じゃ、ブログがかなりのウエイトを占めてるよね。いや沖縄旅行以後さ、自分のブログ読んでておもしろいと思うもん。これやって2年半になるけどさ、たぶんいまが一番おもしろいときだよ。なんたって主人公が大変なことになってるからね。文末に『つづく』って書いてあると、早く続きが読みたくなるもん。だけどその続きは、オレが書かなきゃ読めないんだよね、ハハ」
「ハハ。でもあんたの身の上話はもういいよ。将棋雑記なんだから将棋の局面を載せてくれよ、前みたいに」
「……」
なるほど、以前のように指し将棋ネタを載せられるようになったら、そのときが「一公の将棋雑記」の完全復活なのだろう。
Kun-Fuj戦は、Kun氏の敗勢。きょうのKun氏は変調である。私と対局しているときの、鬼のような強さはどこへ行ったのだ。
R-Kaz戦は実戦が終わり、何かの研究に入っているようだ。みんな将棋バカだ。私はタダのバカだ。
Ayakoさんはもう仕事を上がったようだ。以前は、彼女が帰るとき、私たちに挨拶に来たこともあった。しかしいまはもう、彼女と私たちとの間には、見えない壁がある。酒に誘ったのは余計だったかと思う。動かなければよかったのかと思う。
11時すぎにKun氏が退席、その30分後にKaz氏が続き、残りのメンバーは午前0時すぎに散会となった。
帰りはW氏、Fuj氏、私が山手線の利用。W氏のみが池袋方面行きの利用だが、いつもそちら方面の電車が先に来る。今回もその例にもれず、私たちは地団駄を踏んで悔しがったのだった。
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十一たび大野教室に行く(後編)・親子の縁を切れ

2011-10-18 00:07:36 | 大野教室
きのうの「笑っていいとも!」、「テレホンショッキング」のゲストはKARAだった。KARAは5人ともかわいいが、彼女らのいちばんの魅力は、たどたどしい日本語をしゃべることだと思う。
私はスンヨンのファンだったが、きのう見た限りでは、ジヨンがいちばん、私のタイプだった。いっしょにいて、癒される人がいい。

(きのうのつづき)
3局目は大野八一雄七段と。いつもはしょっぱなに教えていただくので、3局目は珍しい。
迷ったが、きょうも角落ち戦である。相居飛車の出だしになったが、居玉のうちに仕掛けられて困った。
しかし中盤、私が△6四銀取りに▲6五歩と打ったのが好手だった。銀が逃げれば▲4八の角で△7五の金が取れる。上手はやむなく△6五同金だが、▲同桂△同銀で金桂交換の駒得になっては、急に下手がよくなった。
しかし終盤、また私が崩れる。上手△4二王△5三金△5四歩△6五銀△6六歩・持駒桂…、下手▲2六角▲3五歩▲3六銀▲4六飛▲4九金▲5九玉▲7五金▲7八金▲7九銀・持駒歩… の局面から、△6七桂▲4八玉△7九桂成▲6五金△7八成桂▲5五歩△6七歩成▲5四歩△5七銀 と進み、私が負けた。
上手の△6七桂は半分形作りで、▲4八玉以降も、どう指しても下手がよかったようだ。
簡明なのは▲5五歩で▲6六飛と歩を払う手で、これで上手は金銀のみだから、攻守ともに見込みがなかった。
本譜は6七にと金を作らせ、△5七銀の王手飛車まで打たせているのだから、下手お話にならない。
いままでに何回も書いてきたが、どうも大野七段に教えていただくと、終盤で乱れる。何か、ここまで指せたんだからいいやと、自分自身で勝負を諦めているフシがある。これでは下手が勝てっこない。何か妙薬はないものだろうか。
どんどん対局がついて、4局目はHon氏と。Hon氏の先手三間飛車に、私は玉頭位取りを目指す。△3四銀に、Hon氏は▲5五歩~▲7四歩。
何を考えてるんだろうと△7四同歩と取ったら、▲7四同飛が△3四銀取りと飛車成りの両狙いとなって、一本取られた。
私は仕方なく△7三歩だが、▲3四飛に△4五角が、飛車取りと8九桂取りとなって、まだむずかしい形勢なのは幸運だった。
数手進み、▲2六飛、△3二香の局面で、Hon氏は▲4五角。これが▲2三角成と▲6三角成の両狙いで好手に見えたが、ここで私に△3四桂(飛車取り)の切り返しがあった。
実はこのあたり、猛烈な睡魔に襲われ、半分意識がなかった。
こんなことは初めてで、明らかな寝不足である。精神的にも肉体的にもそろそろ再生しないと、本当にこの身があぶない。
将棋は何とか私が勝った。私は負けるといつも機嫌が悪いのだが、Hon氏は勝っても負けてもニコニコしていて、感想戦も実に楽しそうだ。私も見習いたいところである。
5局目は、将棋関係者のMi氏と。前回は、終盤で私が致命的なミスを犯し、転がってきた勝機をミスミス逃してしまった。同じ人に連敗はできないので、本局は気合を入れて臨んだ。
将棋はMi氏の後手番一手損角換わり。私は先日のマイナビ女子オープンで、中井広恵女流六段が貞升南女流1級相手に指した将棋を目指した。
中盤の入口で、私が▲3七角と打ち、△6四歩取りを目指す。この歩が存外受けにくく、後手、△7三角と手放さざるを得ないようでは、私が一本取った。
さらに進んで、5五の地点で銀交換になり、▲5五同角にMi氏が△6五歩と角交換を挑んできた。ここで私が▲6四銀と打ったのが好手。△5一角に▲5三銀不成が歩得と飛車取りとなって、さらに優位が拡大したと思った。
しかしアマ同士の将棋は、この程度の指し易さでは、優位のうちに入らない。このあと私が疑問手を指し、形勢がひっくり返った。
しかしMi氏も時間が切迫しており、ココセのような悪手を指して、最後は戦意喪失の投了となった。
「戦意喪失」は私の専売特許なので、逆をやられるのは珍しい。しかし指し継いでもMi氏に勝ち目はなく、私に楽しい時間を与えるばかり。ここでの投了がいいところであろう。
ちなみに私がなぜ早く投げるかといえば、勝ち目のない将棋を粘って、相手に楽しい時間を与えるのがイヤだからである。
大野七段に戦績を聞かれる。本日は5局指して、プロに2敗、一般対局で3勝。まだ軽い後遺症は残っているが、きょうはまずまずの将棋が指せたのではないかと思う。
「ボクとの将棋も、大沢さんどうやっても勝ちだったでしょう?」
「……」
大野七段も、ヒトのカサブタを剥がす癖があるようだ。

放課後の食事会は、クルマでちょっと走ったところにある、「華屋与兵衛」で。参加者は大野七段、植山悦行七段、W氏、Hon氏と私。
中井女流六段がいない今回はほとんど意味がないが、一応席の配置を記しておこう。

植山   大野
  テーブル
W 一公 Hon
   壁

まあ、中井女流六段がいなきゃいないで男同士の会話ができ、それも楽しい。
ちなみにW氏とHon氏と私は同学年だ。この事実は以前から何度も聞かされていたのだが、私はヒトの話を全然聞かないので、それを理解したのはごく最近のことである。
さしずめ将棋バカ三兄弟といったところだ。いや、ただのバカ三兄弟というべきか。中でも一番のバカが私であろう。人間のクズというべきか。
こういうチェーン店の食事は外れがない。私の頼んだ料理も美味かったが、ドリンクバーがないので長居ができない。食後は近くのガストに河岸を変えて、雑談となった。
「中井先生ってさ」
W氏がいう。「少女みたいにかわいい笑顔をするときがあるよね」
「うむ。オレもそう思う。あの笑顔はいい」
当人がいないのにホメても意味がないように思えるが、そうではない。向かいには植山七段がいる。この会話は、植山七段を通じて、中井女流六段の耳に必ず入る。第三者からのホメ言葉は、直接言われるより効果がある。絶対彼女はよろこぶはずだ。次に中井女流六段に会ったときの反応が楽しみである。
植山七段が、中井女流六段からの伝言を交えて、ある将棋企画の話になった。一応植山七段があちら持ち。しかし企画自体に無理があるので、容赦なく私たちが咎めてしまう。とくに私などは、もう何の義理もないので、遠慮がない。
「いまから何の企画をやってもムダ。終わっとります」。
結局、この企画は行われることになった。結果やいかに。

どこかのバカ団体が、ある母子に、親子の縁を切れ、と迫った話が出る。
この話はだいぶ前から知っていたが、改めて俎上に乗ると、呆れるのを通り越して、爆笑してしまう。
私がいつか間違って作家になったら、実名で洗いざらいバラしてやろうか。
きょうはスマホを傍らに置いて、つねに現在時刻を把握していたから、終電には余裕で間に合った。
かくしてきょうも、楽しい大野教室であった。
コメント (4)
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