一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

覚醒・山口女流二段

2022-02-21 00:35:06 | 女流棋士
17日に指された第4期清麗戦・伊藤沙恵女流三段VS山口恵梨子女流二段戦で、山口女流二段が勝ったのにはビックリした。それも快勝である。
将棋は山口女流二段の先番で、初手▲2六歩。山口女流二段は振り飛車党だから珍しい。ただ最近は居飛車の勉強もしているらしく、これも当然の一手だったか。
山口女流二段は▲2五歩△3三角を決めて左美濃に組む。いっぽう伊藤女流三段はこの形を活かし、以下△4二銀とした。
伊藤女流三段は元来銀冠の採用率が高く、その形で勝率もよい。ただどちらの形も、私には損な形に見える。それなのに勝てる女流棋士がいないのが不思議で、みんな何を研究しているんだと訝ったものだ。
山口女流二段は7筋で得た1歩を2筋の継ぎ歩で使い、△2四角に▲4五歩(第1図)。私のモヤモヤした気持ちを払拭した手順で、見事に△3三角型を咎めていると思った。

▲4五歩を△同歩なら、▲6五歩△5五銀▲同銀△同歩▲同角で先手優勢。よって伊藤女流三段は△4六角と出たが、▲4八飛と切り返して先手好調だ。△1九角成と香は取られるが、攻め駒が4筋に集中し、香損など物の数ではない。
そのあとは「攻めるヤマトナデシコ」よろしく、バリバリ攻める。
そして第2図となった。

ここで1歩があれば▲4四歩と攻めを継続できるが、あいにく歩切れだ。
そこで山口女流二段は▲4四桂!(第3図) 歩の代わりに桂を打った。

これを△同金なら、▲5三銀△4三金▲3三桂成で先手勝ち。よって伊藤女流三段は△6一銀と受けたが、▲6二銀がまた詰めろだ。
以下も山口女流二段は細い攻めを繋ぎ、勝ち切ったのだった。
それまで山口女流二段は、伊藤女流三段に5戦全敗だった。その屈辱をまとめて払拭する、見事な快勝劇だった。
最近はユーチューバーとして頑張っている山口女流二段だが、ユーチューブをほとんど見ない私は、ここでの活動をほとんど評価しない。盤上での活躍がすべてである。
そこで山口女流二段の戦績を見ると、今年度は21勝9敗の好成績。しかも直近12局は11勝1敗と絶好調だ。山口女流二段はこの好調を維持し、ぜひともタイトル戦登場を実現してほしい。
コメント (2)
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