一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

伊藤沙恵女流名人誕生

2022-02-26 23:09:08 | 女流棋士
24日に行われた女流名人戦第4局は、挑戦者の伊藤沙恵女流三段が里見香奈女流名人を114手で降し、3勝1敗で、初のタイトル・女流名人を獲得した。

第4局は先番里見女流名人が中飛車に振った。すると伊藤女流三段も向かい飛車に振った。
伊藤女流三段は20手目△2五歩。実はこの局面、第2局とまったく同じだ。第2局では里見女流名人が▲3八金と備えたが、激戦の末、伊藤女流三段が制した。
そこで第4局は▲2八飛と修正したのだが、個人的には、この手が精神的敗着になったと思う。
伊藤女流三段は、中飛車には三間飛車か向かい飛車がよいと、指し馴れないながらも向かい飛車に振ったわけだ。それなのに自分が居飛車に戻しては、アドバンテージが解消されてしまった気がするのだ。
▲2八飛の局面は先手の純粋な2手損で、代わる主張は5筋の位となる。しかし居飛車に戻したいま、これも薄れてしまった。
昨今は手損がそれほど問題視されないが、先手は気分が悪かったと思う。伊藤女流三段は気分がよくなったはずで、この折衝が勝敗を分けたと思うのである。
以下は伊藤女流三段が強く指し、最後は△7八桂成のシャレた手でフィニッシュ。女流名人を獲得したというわけだった。

伊藤女流三段は9回目のタイトル戦で初の戴冠。トーナメントプロである限りタイトルはつねに狙っているわけで、途中でクサリはしなかっただろうが、対里見女流五冠に限れば6勝21敗、タイトル戦に至っては0勝5敗である。私が同じ立場だったら、「今回も負けるんだろうなあ」と、戦う前から闘志が萎えてしまうところである。そこを奮い立たせ、勝ち切ったのが偉い。
「伊藤名人誕生」は、十一世名人・八代目伊藤宗印以来、143年ぶり。

伊藤沙恵女流名人

いい名だ。
伊藤先生、あらためて、おめでとうございます。
コメント (5)
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