一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

激闘に拍手

2017-02-25 10:21:58 | 女流棋戦
23日未明に見た夢を軽く記しておく。
私はどこかの駅にいた。同行は高校時代の友人。彼とは現実の世界で15年以上も会っていないが、なぜ夢に現れたのかは分からない。鉄道は全長4.2キロのミニ路線だが人気があって、駅前の広場では乗車待ちの長い列ができていた。
女性の車掌さんがきて切符の提示を求められた。私は買った覚えはないが、服の下から切符が出てきた。
いよいよ乗車となったが、列がぐにゅぐにゅしているのでほうぼうで途切れ、混乱をきたした。
…という感じで目が覚めた。23日はほかにもいろいろ夢を見たのだが、忘れてしまった。

   ◇

22日は女流名人戦五番勝負最終局があった。ここまで里見香奈女流名人の●●○○。上田初美女流三段から見れば○○●●となる。これが私には少なからず意外で、まさか上田女流三段がこんなに素晴らしいダッシュを掛けるとは思わなかった。
何しろ上田女流三段は先ごろ出産し、現在は子育ての真っ最中。将棋の勉強もはかどらないだろうし、子供の笑顔を見ていれば闘争心も薄れる。
片や里見女流名人は女を捨てて将棋一本に賭けている。しかも押しも押されもせぬ女流五冠、奨励会三段である。どう見ても里見女流名人が有利で、私は女流名人の3連勝で幕を下ろすと信じて疑わなかった。
ところがフタを開けてみればかくのごとくで、第1局、2局は好手妙手を織り交ぜて上田女流三段が快勝。私はあっけにとられたのである。
だが私は、これでやっと五番勝負がおもしろくなったと思った。つゆほども「里見防衛」を疑わなかった。上田女流三段にはわるいが、里見女流名人への信用はそのくらいのものであった。事実そこから里見女流名人は巻き返し、2勝2敗。22日が天王山の一戦となったのである。
将棋は後手里見女流名人のゴキゲン中飛車に上田女流三段の居飛車穴熊。どちらも得意形で、熱戦が期待された。
序盤は上田女流三段の作戦負けのような気もしたが、そこはうまく駒を捌いて、▲8六に馬を作ることに成功した。その後竜は作られたものの、端を押し返し、控室の見解は先手有望。これ、私たちアマならそのまま先手が勝つ。しかし後手は奨励会三段の里見女流名人である。やがて里見女流名人が形勢をひっくり返すと思った。
…というところで▲5四歩△6四角▲7七馬△4九竜▲4八銀。これが私のようなアマには不可解な手順だった。ここ、△4七に竜がいるから、一刻も早く自陣に引いてもらいたくなるのが人情である。すなわち▲4八銀△4四竜の2手を入れたくなってしまう。
然るに上田女流三段は△4九竜と潜らせてから▲4八銀とフタをした。しかしこれ、銀が動いたら竜が暴れ出すわけで、私にはとても指せない順だった。
事実上田女流三段は▲5七銀。里見女流名人は△3九竜。とたんに竜が暴れ出した。以下▲5八飛△2九竜と進んでは、もう後手持ちである。アマ同士なら、今度は絶対後手が勝つ。実際控室の見解も後手有利となった。
私は女流棋士のファンランキングを発表しているが、ランク外同士の対戦はニュートラルである。だが本局に限っていえば、上田女流三段を応援していた。大豪に挑むママさん棋士の構図となれば、応援したくなるではないか。
だがこの展開はいかにもまずい。この後数手見たところで私はスマホでの観戦を打ち切った。すなわち「里見防衛」を断定したからだった。
夜になって散歩に出る時、スマホを繰ってみた。もう将棋は終わっているが、再生を進めると、意外や上田女流三段が再逆転していた。あの里見女流名人を相手に終盤で逆転するとは並大抵のチカラではなく、私は上田女流三段の力量を大いに再評価した。このひとは本当に強い。
だが再生を進めると、上田女流三段は大事な終盤でことごとく正着を逃す。これがふだんの彼女かと訝った。だが極限状態の中での秒読みだし、里見女流名人の指し手もいくぶんよれていた。これがタイトルへのプレッシャーということなのだろう。
最後は里見女流名人が抜け出し、202手まで上田女流三段が投了。里見女流名人は薄氷の防衛となったのだった。
ふたりは5年前の第39期でも五番勝負をまみえ、最終局は将棋大賞・名局賞特別賞を受賞した。本局もそれに準ずる内容だったと思う。
里見女流名人は女流六冠に向け視界良好。上田女流三段は残念だったが、たたき上げの女流棋士でも奨励会三段と対等に戦えると証明したのは大きい。そしてこの二人がマイナビ女子オープンの挑戦者決定戦で相まみえるとは、作ったようではないか。
対局日を心待ちにしている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする